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部活動 4-1.7

ここまでお読みいただいてありがとうございます。


家に帰るまでがお見合いです。


ではでは~


鉄臣君、想像を絶する相乗り(商用バン)のセンター席で灰になりかかっていた。

さっきの3通のメールも読むのが怖くて開いていない。

気が付くと着信音が次々になっている。


どれもこれも隣で鼻歌交じりで流れる景色な眺めている老婦人が原因だった。


 = = = = =


「さあさあ、乗った乗った。眼鏡のお嬢ちゃんと堀田のあんちゃんは2列目。ほかのお嬢さん3列目」

運転手が、後部のスライドドアを開く。

パーティドレスとタキシード、スーツ姿の美少女が商用のバンの乗りこんでいく。

ホテルの正面玄関には、釣り合いそうでアンバランスな光景だった。

2列目の最後に竹腰さんが乗る。

堀田さんが手を差し伸べるとごく自然にその手を伝い車内に身を滑り込ませる。


運転手が丁寧に慎重にスライドドアを閉じる。


運転手は、同僚の噂から雇用主の令嬢が着ているドレスが自分の給料二ヶ月分くらいと聞いていた。

お嬢様は、いつもはCMで見かけるブランドとかをシーズンオフのバーゲンで買い物しているしっかり者。

今は、この日のためにあつらえ仕立てたドレス。

それを台無しにしたヤツがいる。


あろうことか、大奥様がまでがバンにお乗りになる。


運転手は、助手席のドアを開く。

(邪魔だよ。大奥様やお嬢様と乗れるわけねえだろ。身をわきまえろ、ガキ)


鉄臣君、ドアに伸ばした手を払いのけられたような気がした。

「じゃあ、俺はこれで」

「何、言ってんのさ。ほれ乗りな」

(え!大奥様?)

「え、でも、狭いですよ?」

「大丈夫、昔はもっとちっこいトラックで得意先まで回っていたさね。ほら、真ん中の席に座んな」


一列目

大奥 鉄臣 運転

二列目

真綾 正輝 要

三列目

桃 楠 紫苑


運転手が、助手席のドアを丁寧に閉める。


「うーん、いいねえ。眺めがいいさね。いつも、前の見えない低い椅子に座らされてさ。さ、出しとくれ」

「はい、大奥様」


 = = = = =


「ふん、ふん、ふん♪ かな坊、ラジオつけとくれ」

「はあ」

鉄臣君、商用バンの2バンドラジオのスイッチを入れる。

「AMで面白そうなのを頼むよ」

「はいはい」

「はいは、一つさね」

「すみません」

「うん、うん。そういう素直さは、うちの人にそっくりさね」


このやり取りを車内で聞いていたひとりは、老婦人が何を考えていたかを理解したような気がしていた。


 = = = = =


車内にラジオ局のアナウンサーの軽妙な番組とCMが交互に流れる。

「こういうのずいぶんと聞いてなかったねぇ」

「俺も親父のクルマに乗らなくなってからなんで、久しぶりです」

「かな坊、ご両親は?」

「おかげさまで、健在です。俺がひとりでこっちに来てるんです」

「へぇー、寂しくないかい?」

「寂しくはないですよ。メールや電話がありますから」

「家族は大切にするんだ。と、これをお前さんにいうのは、余計なお世話だったね」

「すみません、すみません。堪忍してください」


「かな坊、飯はちゃんと食ってるかい?」

「はい、寮でバイトして賄いが食えますから」


「みついし君はお料理が上手なんですぅ」


3列目からの突然の言葉にほんの少し雰囲気が変わる。


「へー。三石さんって、料理できるんですかぁー」

竹腰さんが関心したように相槌を打つ。

「お曾祖母様。これは、ごちそうしていただかないといけないと思います」

「そりゃ、いい考えだ。かな坊、今度ごちそうしな」

「え、ええー。ボクの料理なんて、ままごとレベルですから、大奥様のお口に合いませんよ」

「かな坊、今なんて言った?」

「ままごとレベル「そのあとさね!」・・・大奥さ、・・・ま」

「はあ、お前さん、メールで送った名前で呼ぶのが礼儀だろ」

「は?」

鉄臣君、慌てて携帯のメールを確認するとそこには<竹腰アヤメ>と書かれていた。

「アヤメさ「ん!」・・・ん」

鉄臣君、語気が鋭かったので<ま>を呑み込んだ。


「お前さんは、大奥様なんて呼ぶんじゃないよ。何なら、お姉さんとお呼びさね」

「わかりました。お姐さん」

「・・・、年寄りをからかうんじゃないよー」

鉄臣君、会心の一撃。アヤメさんにダメージを与えた。


 = = = = =


道順の関係で、最初の立ち寄り場所は男子寮だった。

寮前にバンが止まると運転手が運転席から飛び降り、素早く助手席側に回り込む。

ドアが開く寸前でドアノブに手をかけ、ドアを開く。

「ありがとな。でも自分でも開けられたさね」

「お足元にお気を付けてくださいませ。大奥様」

鉄臣君、座席側から自然と手を添えて介助する。

「すみません、わざわざ降りていただいて。でも、俺、運転席側から降りれましたけど」

「何、言ってんだい。これから<反省会>さね」

スマホをひらひらと見せるアヤメさん。魅力的な笑顔だった。


「ヒィーーーーー!!!!!」


ひとりの男子生徒の悲鳴が水平学園男子寮に響き渡った。


 = = = = =


「ほほー、これが年頃の男の寮生活なんだね」


「お、お姐さん、むさくるしいところなので、止めましょうよ」

「何言ってんだい!お前さんの部屋だろ」


「病気にでもなったら、お詫びができませんよ」

「いやいや、今、ウチは10、いや15才は若返っってるさね」

いかがでしたか?


反省会の発生となりましたw


次話をお待ちください。

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