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部活動 4-1.5

ここまでお読みいただいてありがとうございます。


鉄臣君の運命はいかに。


ではでは~

「ほら、こっちに座りな。飯も食わせなかったと言われたら、竹腰の名折れさね」

「え゛、え゛」

鉄臣君、大広間の上座にぐいぐい引き出される。

婚約は延期となったが、そのまま親睦を深めるための会食と様変わりした。


上座の中央に堀田家と竹腰家の若い二人が並んで座り、仲よく言葉を交わしていた。

友人関係は良好なので、招待客はその光景をほほえましく思って見守っていた。


その娘の隣に竹腰家側に呼び出された若者の席が設けられ、隣の老婦人にガッチリ捕らえられていた。


 = = = = =


両家の若者を見つめる客席側の一部から黒いモヤモヤが出ているように感じられた。


「もう、正輝君、ニコニコしちゃって」


「あらあら。いつもと違う要さんを拝見してしまいましたわ、ねぇ、皆さま」

「ほんとに。いつもは、リア充そのものですのにぃ」

「ご主人がおモテになる方は気苦労に堪えませんことね。おほほほほ」

3人が小芝居でご近所奥さんを演じていた。


「うー」

いつもと立場が逆転して、からかわれる弥刀さんは唸るしかなかった。

料理をフォークでブスブス突き刺し鬱憤を晴らしていた。


 = = = = =


「鉄臣、食ってるかぁ?」

「は、はい」

「どうした、どうした。さっきの威勢は、どこに置いてきたぁ?」

「すみません、すみません」

「ダーメだ。今日は気分がいいんだ。最後まで付き合えよ」


「おばあさま、飲みすぎですよ」

上品な女性が後ろから声をかけてきた。

「うれしいじゃないか、真綾のこと心配してくれてさぁ。真綾の笑顔が見れなくなってたら、死んでも死にきれないよぉ」

「おばあさま、鉄臣さんが困ってますよ」

「鉄臣、お前は、自分を磨きな。そして・・・・」

「おばあさま?」

「グー」


「嫁いで初めてですね。こんなにはしゃいだおばあさまを見たのは」

「なんか、すみません」

鉄臣君、とりあえず女性に謝る。


「いいんですよ。おばあさまには、あちらで休んでいただきますから。ゆっくり召し上がってくださいね。ここの料理はお薦めよ」

「は、はい。ありがとうございます」

酔いつぶれた曾祖母は、黒服にお姫様抱っこで運ばれていった。



「ねえねえ、三石さん。お母さん、美人でしょう?」

鉄臣君、声のする方に顔を向けると間近に竹腰さんの顔が有ってびっくりした。

「ぅわっ!竹腰さん、びっくりするから。俺、臆病なんだから」

「ぷ、臆病って。お曾祖母様と一緒にご飯食べてるのに?」

「それ、ちょっとお婆さんがかわいそうだよ」

「そう?ちょっと意外。三石さん、迷惑そうにしてるのに」

「そりゃ、ここに座らされてるのを感謝はしていないけどいい人だと思うよ。話は聞いてくれたし、家族思いな人だとわかったし」

鉄臣君、そういって食事の続きをしている横で、竹腰さんが俯いた。

「そ、そぅ?」

鉄臣君には、暖色系の発色は見えなかった。


 = = = = =


「あらあら、三石君ってば、真綾ちゃんに何か言ったのかしらぁ。俯いちゃったぁ」

弥刀さんは、並んで食事をする友人に聞こえるように独り言をいう。


「うー」

「うーぅ」

「うーー」

食事の手が止まり、唸る美少女が3人。

その鋭い視線の先にごちそうに舌鼓を打つ少年がいた。


 = = = = =


ぞくっ

「エアコン効きすぎ?でも嫌な汗が出てくるし、暑寒い?寒暑い?」


 = = = = =


コース料理もデザートになるころには、席を移動する人も増えてきて、所々で談笑する光景が見受けられた。

特に大人同士は名刺交換を行い、ビジネスチャンスにつなげようと躍起にも見えた。

女性はとりとめもない会話を楽しんでいた。


上座で食事をしていた堀田さんと竹腰さんは、生徒会役員のところで会話していた。

「あらあら、どちら様ですか?」

と眼鏡美少女の口撃。

「まあ、堀田さんのお知合いですか?」

応戦する曾孫。


「こちらは、堀田さんとおっしゃるのですね。わたしは弥刀要と申しますの」

堀田さんに容赦ない言葉。

「堀田さん、おきれいな方ですわ。隅に置けないですわね」

「あらあら、お世辞がお上手ですこと」

「「オホホホホホ」」


「ふたりとも、ごめん。僕は打たれ弱いから勘弁してください」



「さすがの堀田さんもこの状況だと厳しいわね」

「みついし君に優しくしてあげようかなぁ」

「三石クン、また捕まってますね」


 = = = = =


「鉄臣、食ってるかぁ?」

「はい!いただいてます」

鉄臣君、復活した竹腰のゴッドマザーに捕まっていた。


「美味しいだろう。ここの料理は、昔からウチが好きでさぁ、倹約して貯まったときに通ってたんだぜ」

「・・・」

「なんだぁ?しんみりしやがって」

「いえ、美味しいです」

「だろう。うちの人がさあ、若いときにしくじって、ぜーんぶ借金に変わっちまったときにさぁ」

「・・・」

「んだよ。だから、しんみりすんじゃねぇ。でさぁ、必死に働いて、少しづつ仕事が軌道に乗ったときによぉ」

「・・・」

「黙ってんじゃねえ、食えよ。あの人が、煙草銭や付き合いを節約してさ、貯まったら、ここに連れて来てくれるんさね。ウチの顔見てニコニコしてさぁ。はずかしいったらありゃしない」


「美味しかったよぉ。ほんと、ご褒美だったぁ。今の今まで、忘れてた。ここに来るのが当たり前になっちまってた」

「美味しいです」

「よーし、もっと食え。残すんじゃねえぞ。ハハハ、・・・グー」


「俺も頑張りますから、見ていてください」


 = = = = =


「ここで食事するけど、今まで一度も聞いたことなかった」


「三石君に感謝してもしきれないな」


「正輝君、ごめんなさい。わたし、三石君に迫られたら断る自信がない」


「「「「「!!!」」」」」

いかがでしたか?


竹腰の大ババ様の昔話でした。

実はモデルがいるんです。

有名人じゃないのでみなさんは知らない人です。


次話をお待ちください。

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