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部活動 4-1.3

ここまでお読みいただいてありがとうございます。


婚約発表の会場で何が起きるでしょうか?


ではでは~


「要ちゃん、どうして、ここに」

「ごめんなさい、おば様。知らなかったんです」


「「「わたしたちもこの婚約は反対です」」」

弥刀さんに寄り添うように3人の美少女が立っていた。


「あなたたちは?桃園さんのお嬢さん?」

「はい、何度かお会いしたことがございます」

堀田さんの母親と桃園さんは、面識があった。


「君達、正輝の友達だね」

「「「はい」」」


「しかし、これは、さすがに失礼じゃないかね」

堀田さんの父親は、言葉は静かだったが怒気が混じっていた。

「失礼は、お詫びします。ですが、婚約に関しては、友人として賛成できません」


「弥刀さん、君まで。約束だったと思うんだが」

「わたしが呼びました。彼女は何も知りません」

「なんてことをしてくれたんだね、一体、君は」

「わたしは久遠寺紫苑、水平学園高等部生徒会長です」


ざわざわ


「水平学園の生徒会長が、この婚約に反対だって?」

「堀田さんのお家騒動でもあるんですかね」

「竹腰さんを認めていないということでしょうか?」

「桃園さんのお嬢さんも来ているようだし」

「もう一人は、もしかしたら楠木師範の娘さんじゃ?」


 = = = = =


「ずいぶん騒がしいね」

老婦人が、騒ぎの中心に姿を見せる。

和服が似合う姿勢の良い女性だった。


「かわいい曾孫の婚約を荒らされて、引っ込んではいられなくなってね」

「お曾祖母様」

鉄臣君、後ろの竹腰真綾の声に憂いのようなものを感じた。

そして、この老婦人を説得できれば、何とかなりそうな気がした。


「初めまして。お騒がせしたことは謝ります」

「ふん、そんなことはどうでもいいんだよ。お前さん、何の権利があって、真綾の邪魔をしてるんだい?」

「邪魔、ですか?」

「真綾は堀田の家に嫁いで、この年寄りに玄孫を見せてくれるんだよ」


「真綾さんの人生が、それが幸せなんですか?」

「結婚なんざ、惚れるより慣れろだよ。結婚しちまえば、何とかなるもんさね」

「それって、相手に好きな人いない時だけでしょ」

「そうかもしれないし、そうじゃないかもしれないよ。真綾がウチの自慢の曾孫だからね」

「それ、絶対おかしいですよ」

「お前さんみたいな若造に何がわかるんだい?」

「う、たぶん、わかりません。堀田さんみたいに誰かと相思相愛になったことないですから」

「じゃあ、すっこんどきな。婚約は家と家の繋がりでもあるんだからね」


 = = = = =


「要ちゃん、いいお友達を持ったわね」

「わたしには勿体ない友達です」

「ごめんなさいね。正輝の婚約は決まっているから仕方ないのよ」

「気にしないでください。正輝君とはいい思い出、です」

「要ちゃん。わたしはね」

「おば様、それ以上は言わないでください」


 = = = = =


「家と家の繋がりなんかに頼って何が幸せですか!」

「ほう、大きく出たね、ボク。何もわからないんだろう」

「今は昔と違うんです。家の繋がりなんか、いざとなったら、切り捨てるでしょ」

「言うに事欠いて、それかい。うちらはそんな薄情なわけないだろ」

「じゃあ、真綾さんの気持ちは切り捨てといて薄情じゃないって、何ですか!」

「いつ、ウチが真綾の気持ちを切り捨てたっていうんだい!」

「真綾さん、あなたの慣れろの話したんですよ、初対面の俺に!」

「!」

「わかっていただいたみたいですね」


「堀田家との繋がりは竹腰のためになるんだよ」

「そこですよ。おかしいでしょ」

「婚姻以上の繋がりはないだろ」

「家同士なら友情を築いていけばいいじゃないですか」

「ふ、友情なんざ、役に立「立ちますよ!」」

「夫婦だって離婚することがあるんですよ。それだったら、友情の方が役に立ちますよ・・・きっと」

「ほう、じゃあ、お前さんが、堀田のせがれとの友情はどうするつもりなんだい?」

「えーと・・・」


「ほら、何もないじゃないか」

「堀田さんの子供、何かあったら俺が育てます!俺じゃ、楽をさせてやれないけど、俺が育てます」

「ふ、なんだい堀田の子供って」

「愛情のない夫婦の間に生まれた子供が幸せになれるわけないですよ」

「な」

「堀田さん、本当に弥刀さんが好きなんです。弥刀さんも堀田さんが好きです」

「・・・」

「ふたりの間を裂いて、真綾さんと結婚したって、堀田さんの中には弥刀さんがいて、真綾さんはその身代わりですよ」

「・・・」

「真綾さん、子供ができても幸せなんてないと思います。もしかしたら、弥刀さんと子供ができたりしたら、それこそ不幸ですよ」

「・・・」

「だから、・・・です」

鉄臣君、勢いで溜めていたことをぶちまけた。

少なくとも現時点の婚約は誰にとっても良くないと考えが彼を支えていた。


「あんた、名前は?」

「三石鉄臣です」

「よし、わかった。婚約は、破棄だ。堀田とは縁は結ばねえ」

「ちょ、ちょっと待ってください。ボ、ボクはそこまで」

「なんだい、啖呵切っといて、逃げるのかい?」

「逃げじゃないです。堀田さんと真綾さんがお互い結婚したくなったら、反対しません」

「なんだい、今の彼女をかすめ取るつもりなのかい」

「そういうんじゃありません。堀田さんと弥刀さんが結婚するかどうかボクなんか関わることじゃないです」


「あんた、面白いやつだね。ここにいる連中でウチに意見するのは1人もいねえのにさ」

「知らないからです。ボクは基本的にヘタレですから」

「アハハハ、いいねえ。婚約は延期だ。真綾」

「はい、お曾祖母様」

「お前は今から好きな男を見つけな。婚約はその後だ。堀田の若造は、お前が惚れさせな」

「は?」

「何、抜けた顔をしてんだい。真綾、結婚はいい女になってからだ。いいね」

「は、はい。お曾祖母様!」

「うん、いい顔だ。久しぶりに見たよ」


「坊主、少し付き合いな」

「は?ボ、ボクですか?」

「お前さんだけだろ?この色男」

「へ?」

「ウチがもう少し若かったら、あの人の墓前で結婚を報告してたよ、アハハハ」

いかがでしたか?


鉄臣君、婚約をつぶしました。

このまま済むわけがありません。


次話をお待ちください。

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