部活動 3-5.3
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勉強会の延長戦です。
ではでは~
「おじゃましまーす」
橘ひよりが喜々として鉄臣君の部屋に入る。
続いて生徒会役員たち。
「捜索なしですよ」
鉄臣君、念押しをする。
「み、三石クン、寮ってシーツとかの洗濯はどうしているの?」
「一階のコインランドリーで洗えるよ」
「ふーん、そうなんだ」
楠木さんがそういうとベッドの方にすすんで、ベッドに倒れ込んだ。
「楠木さん?」
「え、ええーと。この枕が抱き心地よさそうな大きさだなって思って。ゴメンね」
「ふぬ、別にいいけど」
「ボクもー」
橘ひよりも楠木さんの隣に倒れ込む。
「えへへー。先輩のベッド」
鉄臣君、何やら照れくさくなる。
「じゃあ、食堂で勉強会しましょう。ね、会長」
「そ、そうね。仕方ないわね」
クスクスと話しかける弥刀さんにチラチラとベッドを見る久遠寺さんが言葉を返した。
= = = = =
「あら、みっちゃん。今日は大勢ね」
「すみません、食堂で勉強会なんですが、いいですか?」
「いいわよ。もうすぐ、みんなが食べに来るけど」
「邪魔にならないようにします」
生徒会+2は、端のテーブルに座り、体育館の続きを始めた。
「みついし君、ここの現代語訳は判る?」
桃園さんが、鉄臣君の後ろから抱きつきそうにかぶさり、ノートを見せる。
緩いウェーブの髪が鉄臣君の顔の近くで揺れる。
おそらくはシャンプーの香りが鉄臣君の鼻腔をくすぐる。
(桃園さん、近い、近い、近い、息の音が聞こえる、聞こえる、聞こえる)
鉄臣君、無意識に香りを堪能してしまった。
「えーと、それはね」
鉄臣君、平静を装い、訳を説明していく。
その間、桃園さんが頷きながら顔を近づけ、鉄臣君の唇を見ていた。
「判った?」
鉄臣君、一通り、訳が終わったところで桃園さんに確認すると
「ひょぇ?」
「判りにくい?」
「う、ううん。ありがとう、みついし君」
= = = = =
(うー、ほのか近過ぎー)
(むー、さっき、ベッドにダイブしたからー)
(三石君。こっち見てあげてー)
(せんぱい)
(たちばなー、アイツに騙されてるってー)
「みっちゃん、夕飯はどうする?」
「あー、いつもので」
「ウンウン、みっちゃんは素直でいい子だね。ウチの子になる気になった?」
「アハハ、またですか?」
「ウチの娘はどう?頭悪いけど素直だよ」
「俺、経済力無いっすから」
「あはは、いいよ。みっちゃんがウチの子になればいいのよ」
「じゃあ、お願いします。アハハ」
「三石くん、不真面目ね」
「え?」
「嘘つきですぅ」
「な」
「冗談で言うことじゃないわ」
「ちょ」
「みっちゃん、ウチの子にするのは、諦めるわ。あはは」
= = = = =
寮生で食堂が混み始めた。
「すみません。俺、そろそろバイトの時間なので」
「お疲れさま。こっちはキリのいいところで解散するから」
堀田さんが告げた。
鉄臣君、荷物をまとめると部屋に戻っていった。
「三石君は、やっぱりすごいよ」
堀田さんが誰かに聞かせるでなくつぶやいた。
その場にいた全員が、頷いた。
= = = = =
鉄臣君、着替えて食堂に戻ってきた。
「今から、入りまーす」
「みっちゃん、頼むね」
「了解です」
鉄臣君、どんどん帰ってくる食器を洗い始め、捌いていく。
食器洗いも追いつき、落ち着いてきた食堂の厨房で
「みっちゃん」
「なんですか?」
鉄臣君、食器の水気を切り、乾燥機の中に並べながら返事を返す。
「今日の賄い、何がいい?」
「今日は、俺が当番でしたよね。どうしたんですか?」
「みっちゃん、がんばってるしね、みんなで協力してあげようかと思ってさ」
「ありがとうございます。でも、作りますよ。気分転換になりますから」
「みっちゃん、やっぱり、うちの子になりなさい」
鉄臣君、結局この日の賄い当番を替わってもらった。
= = = = =
生徒会+2は、厨房で働く鉄臣君を見ていた。
「みついし君のお料理は美味しいんだよぉ」
「お昼は、みんなでシェアしているのよ」
後輩達に生徒会室の昼食の話をする副会長のふたり。
「先輩の手料理」
「橘、涎出さないでよ」
「ふたりとも、そろそろ生徒会室に来るかい?」
「堀田さん、私用で出入りするのは、どうかと思いますけど」
「正輝君、紫苑さんのいう通りよ。引継ぎ作業を始めないと。ね、紫苑さん」
「引継ぎ作業なら、私用ではないので許可しましょう」
翌日から、後輩ふたりが生徒会室で昼食をとるようになった。
いかがでしたか?
生徒会室がにぎやかになりそうです。
次話をお待ちください。




