部活動 3-5.2
さて、後輩乱入か!
そこまでじゃないか。
ここまでお読みいただいてありがとうございます。
ではでは~
「橘さん、ほんと俺に教わってもダメだって」
「先輩、教え上手ですよ。ボク、定理の意味がわかりましたから」
「そんなことないって」
「あら、三石くん、謙遜しなくていいのじゃない?」
「謙遜なんかしていませんよ。成績なんて大したことないんですから」
「ほーん」
悪いこと企んだような印象の久遠寺さん。
「なんですか?弥刀さんみたいな仕草ですね?」
「1年の最終模試、あれ、新学期前だったわよね」
「ええ、そうですけど?」
「この学校で、全国22位の人って誰か知ってる?」
ギクッ
「まぐれでボクでした」
鉄臣君、順位まで知られてたことで、抵抗せずにあっさり白状した。
「あの模試はまぐれで上位になるのかしら?」
「あの時は、たまたま、ほんとたまたま、いつも苦手な英語が94点だったからですよ」
「そうよね、模試で94点」
「だから、まぐれで」
「英語の94点だけで全国22位になれるのかしら?」
「他の教科は85点前後でした。選択教科は97点でしたけど。でも英語はいつも60点ぐらいですから」
「橘くん、英語以外は教えてくれるそうよ。【先輩】は」
「先輩。・・・ご迷惑だと思いますが、よろしくお願いいたします!」
鉄臣君、力いっぱいお願いしてくる後輩に勝てなかった。
「できる限り、がんばる」
「先輩!」
鉄臣君、橘後輩に抱きしめられていた。それまで意識しなかった後輩のいい匂いが鼻腔をくすぐった。
= = = = =
丸美音奈は、話を聞いていた。
「この学校で、全国22位の人って誰か知ってる?」
「まぐれでボクでした」
「あの模試はまぐれで上位になるのかしら?」
「あの時は、たまたま、ほんとたまたま、いつも苦手な英語が94点だったからですよ」
「そうよね、模試で94点」
「だから、まぐれで」
「英語の94点だけで全国22位になれるのかしら?」
「他の教科は85点前後でした。選択教科は97点でしたけど。でも英語はいつも60点ぐらいですから」
(普通にすごい。まぐれって言っても英語が低いだけじゃない」
「ごめん、英語はどうもダメなんだよ」
鉄臣君、橘ひよりに抱きつかれたまま、もう一人の後輩に申し訳なさそうに言いった。
「ヒッ!聞こえれましたか」
「丸美、先輩に謝って。言い過ぎだからね」
「いいよ。結果がそうなんだから。苦手な分、頑張っているんだけどね。赤点ギリギリなんだよ。グラマーが弱いかな」
「えろいし君は、グラマーさんに弱いんですもんねぇ」
鉄臣君、桃園さんがからかってると思って軽口で返そうとする。
顔を見るとどうも本気で怒っているらしく表情が無い。
「も、桃園さん?グラマーって文法のことだからね。英語の文法だからね」
「え?」
「それに桃園さんもスタイル抜群でかわいいから怒る理由がないと思うんだけど」
「だってぇ、鉄臣君のエッチな本って、胸の大きいひとが多いもん」
「!ちょ、それ、ここで言わないで・・・」
鉄臣君、ギギギと音が鳴りそうな動きでふたりの後輩の方を見る。
はにかむ後輩と胸を隠す後輩。
「せんぱい、ボク、気にしませんよ。だって、男ですから」
「サイテー!見直して損しました」
= = = = =
最終下校のチャイムが鳴る。
「じゃあ、今日はここまでね」
いつものように生徒会長の言葉を合図に片づけ始める。
片付けながら、橘ひよりは鉄臣君に提案をする。
「先輩、この後、先輩の部屋で続きをお願いできませんか?」
「あー、食堂でいいならいいよ」
鉄臣君、反省会の記憶が蘇る。このかわいい後輩からも尋問されると思うとテストのさんざんな結果になると確信していた。
後輩の願いを拒むのも悪い気がしたので、一瞬で妥協案で回答をひねり出した。
「はい、ありがとうございます。でも、先輩の部屋が見たかったです」
「寮の部屋は狭いから、見るだけなら招待しよう」
「じゃあ、続きを食堂でしましょうか。ね、紫苑さん」
弥刀さんが提案すると全会一致で食堂に場所が移った。
= = = = =
「じゃあ、荷物を置いてきますから、食堂で待っててください」
そう言い残して自室へ向かう。
なぜか、後ろから複数人付いて来るような気がするので振り向いた。
「ちょ、なんで、全員来てるんですか?」
「反省会の資料探しよ」
「えろいし君の持ち物検査ですぅ」
「うーんと、ちょっと見たくなったかな」
「先輩、いいですよね」
「橘が心配」
「面白そうだもんね、ね、正輝君」
「いやー、僕だけ残るのも寂しいからね」
「テスト前に反省会なんてされたら、テスト、ボロボロになりますから止めてください」
「「「「ジー」」」」
「先輩の部屋」
「三石君、相変わらずモテモテね」
「ほらほら、みんな、三石君をイジメちゃダメだよ」
「テスト明けなら反省会でもなんでもしてくれていいですから、お願いしますよ」
「そこまで言われたら、仕方ないわね」
久遠寺さんは諦めた。
「橘さん、1人だけならいいよ」
「それ、ズルいー」
意外なことに楠木さんだった。
「楠木さん?」
「ね、三石クン、わたしもいいでしょ?」
「捜索しませんか?」
「うん、しないよ」
「じゃあ、いいです」
「わたしもぉ、わたしもぉ」
「桃園さんまで、なぜですか?」
「うーん、内緒」
「なんですか、それ?」
「三石くん、その・・・」
「判りました。みなさんいいですよ。その代り、捜索は無しですからね」
鉄臣君、久遠寺さんのダメ押しで折れた。
いかがでしたか?
なんか、勉強している感がありませんね。
鉄臣君、成績は中の上くらいです。
模試なんかだと上の中の下の方です。
実は、定期テスト勉強の記憶がぽっかり無いからです。
受験勉強の方が印象濃いからでしょうか?
次話をお待ちください。




