部活動 3-3.2
時間が開きましたが、次話投稿です。
リアル時間が迫ってきます。
逃げ切りたい。
ではでは~
「要、ここで、その話題はどうかと思うよ」
「えー、正輝君も喪部部長として気になるでしょう?」
「あー、気にならないと言えば嘘になるけど。今はまずいよ」
「ねえねえ、三石君、好みのタイプはどんな感じ?」
「そんな、言えませんよ」
「有名人に例えると誰かな?」
「言いませんよ」
「もう、じゃあ、生徒会の中に好みのタイプっている?」
「「「「!!!」」」」
その一言は、計算高い会計長の罠だった。
鉄臣君、危うし!
「・・・」
鉄臣君は、黙ったまま。
いつの間にか体育館の隅から沈黙が拡がって、声の聞こえていた範囲が聞き耳を立てていた。
鉄臣君、何かに気が付いたように表情が変わった。
その表情を変化が判った生徒たちは彼の言葉を待っていた。
「眼鏡が似合う子が良いですね」
鉄臣君、何かを確信した顔で答えた。
「ふう、そう来たのね」
「え?何か?」
ため息交じりの弥刀さんにとぼける鉄臣君。
鉄臣君、罠をうまくかわした。
「仕方ないなぁ。じゃあ、お姉さんが膝に座らせてあげるわ」
「ヒィーーーーー」
生徒会の雑用係は会計長には勝てなかった。
= = = = =
「じゃあ、始めましょうか」
久遠寺さんがコホンと咳払いして何やら立ち姿を整えた。
「すう、三石くん!君は、生徒会長のわたしの許可なく生徒会を辞められると思わないことね!」
「この僕、堀田正輝が会長の任期中は、喪部の退部は許さないから、諦め給え!」
久遠寺さんと堀田さんが体育館で居合わせた生徒に聞こえるように宣言した。
鉄臣君の思いが通らない、無理強いされているような言葉が使われた。
鉄臣君、送られてくる久遠寺さんの視線に若干の抗議と感謝の視線を送り返した。
視線を受け取った久遠寺さんは席について
「じゃあ、わたしたちも勉強会を始めましょう」
= = = = =
「こんにちは、堀田先輩」
生徒会の机で挨拶をする生徒が居た。
「やあ、調子はどうだい、橘君」
「はい、ボク、理系科目が苦手で」
「良かったら、わたしが教えようか?受験で復習しているところだし」
理系女子の弥刀さんが声をかける。
「ありがとうございます。でも弥刀先輩の勉強の邪魔になりますから」
「かわいいー、くぁわいい後輩のためだから、気にしないで。ただメイド服を着てくれるとお姉さん嬉しいな」
「ええー!高校でも着るのは恥ずかし過ぎますよー」
鉄臣君、恥ずかしがる仕草がかわいくて思わず言ってしまった。
「橘さんは、何着ても似合うから、自信を持てばいいのに」
「先輩!」
「は、はい」
「先輩を尊敬していますけど、ボクをバカにするんでしたら、怒りますから」
「え?え?」
「失礼します!」
かわいい後輩は、ぷりぷりと怒りながら立ち去って行った。
「はあー、弥刀さんの時と態度が全然違うんだ」
「そうねぇ。ひよりちゃんは、三石君には言われたくないかもね」
鉄臣君、立ち直りかけていた気持ちがまた折れそうになっていた。
= = = = =
鉄臣君、鉄壁の包囲網に観念して、教室に荷物を取りに行ってきた。
逃げたりしたら寮に押しかけてきて勉強会と反省会が待っている。
「試験前に反省会なんかあったら、絶対に赤点になるよ」
体育館の入り口まで帰ってきたところで愚痴をこぼしていると
「先輩」
鉄臣君、聞き覚えのある声の方を見る。
橘ひよりが立っていた。
「先輩!さっきはすみませんでしたー!」
腰を90度曲げて頭を下げて謝ってきた。
「いや、こっちが謝るよ。すみませんでした」
鉄臣君、凹んでいるのでボソボソと言いながら、頭を下げる。
「先輩。やっぱり怒ってますよね」
「怒っていないよ」
「怒っていますよね?」
「怒る理由はないから」
「すみません」
「謝らなくてもいいよ。俺が悪いんだから」
「やっぱり怒ってる」
後輩は今にも泣きそうな顔で謝り続ける。
通り過ぎる生徒たちにはどう映るだろう?
鉄臣君、非常にまずい状況だと認識した。
「橘さん、立ち話もなんだし、体育館に行こうか」
鉄臣君、強行手段を取って、手を引いて体育館に入っていく。
「ごめん、ごめん。あそこだと通行の邪魔だったから」
「先輩、ダジャレですか?」
「何が?」
「ボクが橘で、立ち話って」
「?・・・、あー。そう聞こえるけど、ほかに言い方思いつかなくて」
「別にいいです///」
「ほらぁ、心配いらなかったでしょ?」
弥刀さんはそういいながら、ポケットティッシュで鼻を押さえた。
「仲直りしてくれて安心したよ」
鉄臣君と橘ひよりに声をかける堀田さん。
「気の利かない俺が悪いだけですから」
いかがでしたか?
橘ひより、なかなか難しい相手かもしれません。
次話をお待ちください。




