部活動 3-2.2
待っていてくださった方に感謝です。
執筆は休んでいないんですが、次話投稿作業が滞ってしまっています。
ではでは~
体育館では、喪部部員やリア充を中心にパンピー生徒が取り巻くように勉強していた。
「ここの解き方は・・・」
「この文の要点を・・・」
勉強会三日目、学園内の空いていたホワイトボードが体育館と講堂に集められ
問題の解き方や要点など予備校さながら書き出され、生徒たちが熱心に取り組んでいた。
喪部部員やリア充と言っても全員が全教科の成績が良いというわけがない。
得意教科、不得意教科があり、その教科によって、生徒が流動していた。
「喪部が仕切っているだけあって、すごい熱気ですね」
「もう喪部は関係ないよ。チャンスを作った誰かの発案の結果だよ」
鉄臣君、ホワイトボードの所在を確認するために体育館に来ていた。
堀田さんは生徒会室に向かう前に体育館の様子を見に来ていた。
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(今日も先輩来ないのかな)
橘ひよりは考えていた。
「たちばな、たちばな!」
「え?ゴ、ゴメン。聞いてなかった」
「寝不足?お肌に悪いよ」
「ぼ、僕はそんなんじゃないよ」
「アハハ、去年のメイド姿見たい?」
「ヤメテー」
スマホを準備する級友に橘ひよりは覆いかぶさっていった。
橘ひよりは、級友の丸美音奈と会話を交わしていた。
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勉強会会場の盛り上がりは、祭りのそれに似てきていた。
いつもは近寄りがたかったり、遠くから眺めていた憧れの対象が自分と同じ高さにいるという事実が生徒たちのやる気を引き出していた。
いつもは目立たない生徒も得意教科だと他の生徒に教えることになり、自信につながるのは小さくなかった。
すべてが上手くいったわけではない。
目当ての異性の近くを確保しようとして、揉め事が起きたりもした。
その都度、喪部部員あるいは生徒会メンバーが仲裁に入ることも度々あった。
聞き分けない生徒には、勉強会は、学校行事ではなく、喪部による自主活動であることで、参加拒絶を言い渡すところまで行った。
最初に言い渡された生徒は、態度を改め、続けて参加している。
これ以降、目立った揉め事は起きなくなったかに見えた。
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「なんだよ?偉そうに!」
「ですから、勉強場所は自由なので譲り合ってですね」
「だから、俺は最初からココなんだよ!後から来たヤツにどうして渡すんだよ」
「えーとですね。人数的にこの辺まで今から一年生の数学なので、協力して場所を開けて欲しいんです」
「何の権利があって、俺に命令してんだよ?」
「命令とかじゃなくて、お願いなんです。少し移動してください」
「なんだと!ちょっと喪部に入ったからって、調子に乗るんじゃねえぞ」
「・・・」
「なんで、何も言わないんですか?」
声の先には、涙目の橘ひよりがいた。
「三石くん、あなたが後輩を心配させてどうするの?」
「会長・・・」
生徒会長がその場にいることで一般生徒に少しばかり緊張が走った。
「すみません。ボクじゃ、説得できませんでした」
大きなため息を吐いて、久遠寺さんがつぶやいた。
『そんなんじゃ、・・・ダメじゃない』
「良いですか?ここは今から一年生の数学です!二年生は移動してください」
「だけど、俺は」
ごねる男子生徒は食い下がる。
「じゃあ、いいわ。これだけの女子生徒に記憶される道を選ぶなら、わたしは何も言わないわ」
引っ込みがつかず、ごねていた男子生徒の向けられる視線は、冷ややかだった。
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「俺も好きで喪部じゃねえよ。いつでも辞めてやるから許可とってこいや」
鉄臣君、体育館の裏で、壁に拳を叩き込んでいた。
喪部になってから、一部の人間が妬んでいるのは知っている。
喪部に入りたがってる連中だ。
鉄臣君、喪部に入部して、ほかの部員と少しだけ交流があるだけでも、その桁違いの凄さが認識できる。
それに比べて、自分のお粗末さがどうしようもない諦めになって、時々眠れないこともある。
合宿で一応仲良くしてもらったのも、苦学生に対しての憐れみなのだと理解しているつもりだった。
鉄臣君、自分に言い聞かせるように
「調子に乗るな」
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鉄臣君は生徒会室に荷物を置いたまま、帰ってこなかった。
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鉄臣君の携帯は、カバンに入れられていた。
「会長、連絡が付きません。寮の呼び出しにも出ませんでしたし、生徒会室にも戻ってきませんね」
「正輝君、探しに行った方が」
「要、そういう問題じゃないんだと思うよ」
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鉄臣君は、そのまま寮に帰っていた。
一人、自室に置き忘れていた教材で試験勉強をしていた。
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鉄臣君、翌朝、生徒会室に現れた。
「三石くん!」
「会長」
「もう、教科書とか置いて帰るなんて、カギが閉められなくて、困るじゃない!」
ホッとした表情で、少し弾む声で久遠寺さんが鉄臣君に話しかけた。
「そうですよね。困ると思うので、俺、生徒会と喪部を辞められないなら、この学校辞めます」
いかがでしたか?
鉄臣君、ちょっと拗ね気味です。
きっかけを作ってあげようと思っています。
次話をお待ちください。




