部活動 1-1.3
お目汚しをお読みいただきましてありがとうございます。
いろいろご意見もおありでしょう。鉄臣君に頑張ってもらいます。
お花見は少し時間が遡ります。ではでは~
鉄臣君、まだ昼前なのに黄昏ていた。
数日前、お花見の日程が決まったと堀田さんから告げられてからの出来事を思い出していた。
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生徒会室で堀田さんがお茶くみをしていた鉄臣君に話しかけたのが始まりだった。
「三石君、お花見は今度の土曜日にできるから」
「はーい、わかりました。堀田さん、だし巻き、いりますか?」
「なんだい、急に」
「好物だって言ってたでしょ。だったら、二人分っていうか、多めに作ろうかと思って」
「ああ、そうだったね。・・・三石君!だし巻き作れるの!?」
「えっ。そんなに驚くことですか?そりゃ、板前さんみたいな完成度じゃないですけど、ウチで食べるくらいはできますよ」
「すまん。予定外だったから」
「予定外?」
「いやいやいやいや。予定、そう、予想外だったんだよ。三石君が料理が得意だなんて」
「別に得意じゃないですよ、ハハハ。寮で食堂使うと食費がかさむんで、時々自炊してるだけですから」
「すごいなぁ、僕は目玉焼きでも焦がすのに」
「すごくないですよ、慣れの問題ですよ。あとは余裕ないのも理由ですね」
「余裕?」
「もったいないじゃないですか。失敗しても食べないと飯抜きになっちゃいますから、だんだん体が覚えるんです。不味いのは食いたくないってね」
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そして金曜日、生徒会室は開いていなかった。
「あれ?閉まってる。今日は休みかな?」
雑用係はしばらく待っていたが、誰も来そうもないので
<今日は材料を買いに行きます、三石>
とメモを戸の下に残して、スーパーへ買い物に出かけた。
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鉄臣君、スーパーで昆布やいりこ、鰹節、その他の食材を買い込んで寮に帰った。
「さあ、今から出汁だけ仕込んどけば、明日の弁当は大丈夫。花見かぁ、酔っぱらいとか焼肉の匂いとか久々だよなぁ」
ウキウキしながら食材と献立を確認して、仕込みを始めた。
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あくる朝。
鉄臣君、だしの仕上がりに満足して、早朝、無事弁当を作りあげた。
用意は晩に済ませておいたので、身支度して集合場所に向かった。
集合場所は、学園の駐車場だった。
寮を出て駐車場に向かう途中、校庭の方からは運動部の練習の声や音が聞こえてくる。
(体育系は休みの朝早くから練習か。吹奏楽とかはまだ練習とか始まっていないみたいだな)
寮と学園は、同じ敷地に建てられているので、クラブ活動の音は寮に居ても聞こえてくる。
土日も朝から音が聞こえてくるので知っていた。
駐車場につくと一台のリムジンバスが停車していた。
「デカっ!、今日、部活の遠征とかあるんだ?」
堀田さんから聞いていたのは、駐車場から車で出発するってことだけだった。
学園内の喪部部員が10人程度とも聞いていたし、ラノベで描かれるような2台に分乗するとかマイクロバスで出発するのだろうと思っていた。
「あのでっかいバスだとチャーターするのって、いくらくらいなんだろうな?」
と独り言をつぶやいていると
「おはよう、三石君」
鉄臣君、振り向くとつややかなロングの少女が微笑んでいた。
「会長、おはようございます」
「外のときは、久遠寺でも紫苑でもいいのに」
ちょっと残念そうにする生徒会長。
鉄臣君、それを様子を見て、少し冒険してみる。
「じゃあ、し・・をん・さん、げへっ!ごほっ!おぉぉぉぉっ、がふ!げほ」
「なによ、わたしの名前でどうしてそうなるの!?」
「ぜぇー、ぜぇー。ん、すびまぜん。なんが、緊張して呼吸がー」
「フフフ。いいわ、好きに呼んでくれて。・・・わたしが我慢すればいいだけだから、よよよ」
にこやかに泣き真似をする生徒会長に思わず見とれる雑用係。
(わー、ぎゅーってして、頭をガシガシしたくなるくらいかわええー)
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ふたりで話していると生徒会役員やってきて、続いて喪部部員が集まりだした。
「みんな、おはよう、全員集まったかな?」
堀田さんが声をかけて集まった部員たちを見回す。
「「「たぶんだいじょぶでーす」」」
数人から返事があった。
「堀田さん、堀田さん、堀田さんってもしかして部長?」
「そうだよ、言わなかったっけ?」
「部長なのは聞いてませんよ。ボクはてっきり会長、久遠寺さんが部長なのかと」
「ちがうちがう。久遠寺さんは言うなればご意見番、最高顧問ってところかな」
「え?部長より凄そうじゃないですか!」
「うん、そだね」
「正輝君そろそろ出発じゃない?」
「あぁ、じゃあ、みんな荷物を預けてバスに乗って!」
弥刀さんの言葉に堀田さんがさらっととんでもないことを言った。
鉄臣君、固まった。
(え?生徒会以外で部員ってひぃふぅ6人!全員でも12人でバス!!)
当たり前のようにリムジンバスに乗り込む喪部部員について行った。
大型バスの中はシートではないくソファーになっていた。
(おおぉ!こんなバス初めてだ、高そうだなぁ)
鉄臣君、最後に乗り込んで豪華な内装を見てびっくりし、それ以上奥に進めず、運転席の後ろに座る。
「三石君、三石君、こっちだよこっち。君の席はこっち」
後ろから堀田さんの声が聞こえてくる。
ぎぎぎと後ろを見るとににこにこしながらイケメンメガネが最後尾のボッスクシートの中央を指さしていた。
バスガイドの誘導でバスが学園の駐車場で転回しているときのことだった。
さあ、喪部って得体のしれない活動ですね。
オチだけ決めているんですが、キャラたちがどんどん好き勝手し始めて
あらすじ通りに動かなくなってきました。
仕事の合間の更新ですので、気長にお待ちくださると幸いです。
頭の中では彼らはGWの真っ最中です。