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部活動 2-6.8

ゲストキャラ迫田さん退場です。


交流行事で再登場の可能性はあります。

ご要望があれば、出てもらおうかと思います。


では、合宿の帰りの列車内の続きです。


ここまで、お読みいただいてありがとうございます。


ではでは~


「すみません。俺の分、出してもらって」

「鉄臣くん、一人で帰ろうなんて、ひどいですぅ」

「わたしも、少し怒ってるよ」

「ほらぁ。だいたい、一緒に駅まで来たのに一人だけ別行動なんてさせるわけないだろう」

「すみません。特急代は持ち合わせが無かったんで」

「このバイト、交通費は支給だったはずだけど?」

「そりゃ、そうですけど。普通は最低限しか出ませんよ」

「はあー。そうだったね。合宿のことは言ってなかったから、三石君の性格だとそう考えるだろうな。気が回らなかった僕のミスだな」

「正輝君、褒めて褒めて!」

「ほんと、要のおかげだよ。特急券を渡し忘れていたから、三石君、僕らを見送る気満々だったもんなぁ」

「でも、もう帰るだけですから、ボクは一人でもよかったと思うんですが?」

「三石君、君は自分を知るべきだよ」

「えー?ここでそれが出てくるんですか?」


 = = = = =


「危なかったね、正輝君」

「ホントだ。残り少ない時間、針の筵になるところだった」

「そうね、こうしていられるのもあと少しかぁ」

「ああ。・・・ごめん」

「いいのよ。正輝君はわたしに正直でいてくれたんだもん。わたしはだいじょうV」

その時、堀田さんは微笑む弥刀さんの悲しそうな瞳をただ見ているだけだった。


 = = = = =


三人のスマホに着信があった。

「「「<<<紫苑さん、田んぼの方にいるんだけど、見つけられる?>>>」」」

「若葉さん、見送ってくれるみたいね」


線路が田園地帯を通過していると道路が線路と平行に並ぶ場所に差し掛かった。

「あ、あれだと思います」

鉄臣君、景色の開けた先にワンボックスを見つけ、車外に二人立っているのを見つけた。


 = = = = =


「もしもし、迫田さん?見つけたよ。前から3両目の一番後ろ。見える?え?・・・ああ、そりゃ、美人はすぐ見つけるよ」

鉄臣君、迫田さんと話しながら、ワンボックスの前を通過する。

迫田さんと和田さんが手を振っているのが見えた。

客席のみんなで手を振ってみたが、窓ガラスの反射ではっきり見えなかったらしい。

「迫田さん、今替わるから」

通過した後、携帯をスピーカーにして桃園さんに手渡す。

「若葉ちゃん、鉄臣君は女の敵だからね」

「そうそう、何人も犠牲になってるよ」

「ごめんなさい、わたしの監督不行き届きだわ」

「若葉さん、裁判だけはやめてあげてね」

「迫田さん、僕ができることがあったら、遠慮くなく言ってくれ」

「わーわー、なんですか!いい感じに終わりそうだったのに、ボクがすごく悪者じゃないですか」


「クスクス、三石さん。無理しないで、元気でね」

「あ、はい。ありがとう。迫田さんもお元気で、じゃあ」

迫田さんから、じゃあと返事があって、電話を切った。



「ひどいなぁ、いきなり女の敵とかいうし」

「女の子の電話して、美人とか言って口説こうとするからですぅ」

ぷぅと頬を膨らませる桃園さん。

「え?ボクそんなこと言った?」

「鉄臣、前から聞きたかったのだけれど。あなたって自分がしゃべったこと記憶しないの?」

「な、なんですか!バカにしないでくださいよ。だいたいは覚えていますよ」

「じゃあ【もしもし、迫田さん、見つけたよ。前から】のあとに【ああ、そりゃ】と言って、迫田さんが何だからすぐ見つけたの?」

「な、なんですか、そりゃ美人・・・。ヒィーーーー」


鉄臣君、恥ずかしさで身悶えするも、生暖かい目で見守られていた。


 = = = = =


鉄臣君、座席で正座していた。

最初は床に座ろうとしたが、周りに止められた。


「あのー、俺って、やっぱり生徒会に向いていないんじゃないかと思います」

「却下」

「ですけど、自分の言ったことも意識していなんだし、失言とかすると」

「庶務係の発言なら、会長のわたしが責任を負います」

「久遠寺さんに迷惑「そう思うなら、もっと注意して。特に女の子と話す時は!」・・・はい、すみません」

鉄臣君、いつも以上にきつく言われて、しょんぼりする。


鉄臣君に気づかれない位置で楽しそうに久遠寺さんを眺める弥刀さんが居た。

その視線に気づいた久遠寺さんがまっ赤な顔で弥刀さんを睨む。その表情は怒りでなく、照れていた。


「三石君って、尻に敷かれるタイプじゃないのに、紫苑さんには弱いのね?」

「違いますよう。久遠寺さんは会長ですから。ボクに彼女ができたら引っ張って行くタイプですよ・・・たぶん」

「どうしたの?声が小さくなってしまってよ?」

「彼女、いつできるんだろ?」

鉄臣君、自分の言葉にがっくり肩を落とす。


堀田さんが鉄臣君の隣で口を押さえ、肩を震わせる。


「クフフ。あらー、三石君、そんなの試してみないとわからないじゃない?」

「試すって?」

「彼女になってくださいって、誰かに言ってみれば?」

弥刀さんがチラリとほかの三人を見る。

スマホを弄りだす桃園さん、寝たふりの楠木さん、ひたすら弥刀さんを睨む久遠寺さんだった。


鉄臣君、弥刀さんの言葉が理解できず、

「弥刀さん、彼女って、その子がボクを好きになってくれるのが前提ですよね?」

その問いに首をかしげる弥刀さん。

「そのつもりで言ったつもりだけど?」

「ですよねぇー。脈がありそうなっていうか、ボクを意識してる女の子っていないから、ダメですよ」


固まる弥刀さん、俯いて震える堀田さん、無表情の会長と副会長ふたり。


鉄臣君、車窓からの景色を眺める。

「あー。彼女って、いつできるのかな」

そのつぶやきは、誰の耳にも入らなかった。


鉄臣君、帰路はトイレに行く以外、ずっと正座させられた。

いかがでしたか?


鉄臣君、記憶力に問題?がある人みたいですね。

正直なので、嫌われるのは稀です。

堀田さんと弥刀さんは訳アリなのは伝わったでしょうか?


次話をお待ちください。

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