部活動 2-5.11
若いっていいですね。
気の置けない仲間が集まってると大胆になったりもします。
ここで、いきなり暴走が始まるとどうなるか。
大人の階段を2段飛ばしで駆け上がるのか?
ここまでお読みいただいてありがとうございます。
ただひたすら感謝です。
ではでは~
いろいろあり過ぎで、混浴はお開き。
「堀田さん、俺たち部屋に行きましょうか」
「どうしたんだい?」
「ほら、女の子が水着で歩くと廊下がびしょびしょになりますから」
「三石君、その気配りは、着替えを持ってきていないから無駄だよ」
「え?」
「だってわたし、万が一、三石君に下着を見られたら恥ずかしいもん。ほかの人は知らないけど。フフ」
鉄臣君、意味ありげに微笑む弥刀さんの言っていることがわかったような、わからないような感じだった。
「じゃあ、廊下は俺がモップ掛けしますんで、みんな着替えに行ってください」
「悪いよ、君ばっかりだと」
「良いですよ。バイトの内ですから」
「じゃあ、着替えたらリビングに集合ね」
「「「「「ハーイ」」」」」
「・・・」
一人だけ神妙な面持ちの迫田さん。
ちなみに迫田さんは桃園さんに誘われ、桃園さんの部屋で着替える。
= = = = =
桃園さんの部屋で黙ったまま着替える迫田さん。
モールで新品の下着を買っていて、それを身に着けている。その表情は何故か硬たく暗かった。
「若葉ちゃん、そのインナー、大人っぽいね」
「えっ、ダメですか?」
「ダメじゃないけど。どうして?」
「いえ、何でもないです」
= = = = =
風呂上りに春の夜は心地よい。
全員、リビングに集まって車座に座る。
真ん中に座布団。
「さあ、始めようか」
堀田さんがウキウキしてる。手には小さい箱。
迫田さんはその小さい箱を凝視して、ますます表情が硬くなる。
『あっ、やっぱりだ。えー、まだ心の準備がー。うーん、仕方がないと思うけど。やっぱり最初は・・・。ダメダメ、ここで失敗したら、親戚含めて目をつけられちゃうかも。それだけは避けないと。あーん、わたし不幸。神様、酷いことをされませんように。良い思い出になりますように。せめて、嫌な思い出になりませんように』
誰にも聞こえない小声でつぶやく迫田さん。
表情が、硬く悲壮な感じさえする迫田さん。
気が付いた弥刀さんが話しかけた。
「若葉さん、どうしたの?気分悪いの?」
その問いかけに小声で答える迫田さん。
『あ、あの、わたしの番には、ゴムとかつけてくれるんですか?』
「?」
『お薬ですか?、わたし危険日かも知れないんです。どうしても避妊だけはお願いしたいんですけど』
話を理解した弥刀さんが口をパクパクさせて、言葉が出なかった。
「あー、わたしはお口ですかぁ。じゃあ、妊娠しないですね」
少しホッとした迫田さんの言葉。
「わ、わ、わきゃばしゃん?」
狼狽え声が裏返る弥刀さんに迫田さんが不安そうに尋ねた。
「え、違うんですか?」
「え?え?妊娠って、あの妊娠?って、いったい何の話!?」
堀田さんも狼狽える。
「堀田さん、もしかして、今までにこの山荘で・・・」
「三石君、違うよ、なんか誤解だよ」
「若葉さん、なんでそんな話になってるの?」
堀田さんの援護に入る弥刀さん。
「その、初めてなのでお口ですればいいんですよね?上手くできるかどうか心配です」
「そうじゃなくて、妊娠とかって何?」
「堀田さん、マジで、いろいろしてるんじゃ?」
「三石君、勘弁してくれよぉ。迫田さんもバカなこと言わないでくれよぉ」
「バカなことって!わたしにとっては初体験なんですよ。女の一生の内で重大問題なんです!そりゃ要さん達に敵わないことくらい自覚してますけど、いくら堀田さんでも酷いです。最後には、わたしもしちゃうんでしょ?」
とんでもない下ネタで話がかみ合わない。
= = = = =
「はいはい、若葉さん、あなたはとんでもない誤解をしているわね」
迫田さんに対して久遠寺さんが指摘する。
「え?誤解ですか?で、でもこれだけ美少女を侍らしている堀田の若旦さんが夜、何もしないなんて」
「だからぁ、勘弁してくれよ」
「?、ああー、すみません。わたしったら、早とちりしちゃいました」
得心のいった素振りを見せた迫田さん。
「そうだよ。解ってくれてよかった」
「ですよねー。わたしレベルだと除外されちゃいますよねー。自惚れが恥ずかしいぃ。あの、その、三石さんのお相手なんですね」
またまたとんでもない言葉が飛び出してきた。
「ちょ、ちょ、えー!迫田さん?」
「あの、その、初めてなので、できれば優しくしてください。お願いします!」
「鉄臣!あなた、いつの間に若葉さんを誘惑したの!」
「鉄臣君、ひどいですぅ。若葉ちゃんの初めてなんですよぉ」
「鉄臣君、そんなこと許されると思ってるの!」
「えー、ボクが悪者ー!?」
「みなさん、あたしなんかに。・・・大丈夫です、一夜のことですし、避妊だけしてもらえば」
「だからー、なんでそうなってるのさー」
「え、堀田さんが4人とする間、三石さんの相手がわたしなんでしょ?」
「なんでボクが、迫田さんと一夜とか、その、ほら」
「え?気が済むまでですか!?その、三石さん、赤ちゃんできたら責任取ってくれるんですか!逆らうようですけど、そんな風に扱われる意味がわかりません!」
「意味がわからへんのはこっちじゃ!なんで、すんの前提で話してんねん?」
鉄臣君、思わずお国言葉になる。
「わたしじゃ、遊んでもらえるだけありがたいと思えってことですか!?」
「だから、何もせぇへんわ。する前提がおかしいんじゃ」
「なんですか?抱くほどの価値もないって逆ギレですか!バカにして!」
「鉄臣。若葉さんに謝って」
「そうです。酷すぎですぅ」
「若葉ちゃんを傷つけて、あなたに何の得があるの?」
「えー。問題そこー!?」
「わかった。じゃあ」
迫田さんは鉄臣君の手をつかんで自分の胸に押し付けた!
「わ、わ、ちょ、ちょ」
「少しは解った?ちゃんと女なんですからね!胸だけは自信あるんだから!」
鉄臣君、わかり過ぎるくらい自信が感触として手に伝わってる。
「鉄臣、今すぐ若葉さんから離れなさい」
「鉄臣!ダメー」
「もう。止めてよ」
鉄臣君、久遠寺さんが腕に縋りつかれ、桃園さんに抱きつかれ、楠木さんの胸に頭を抱え込まれた。
「あれ?こっちが5人で、するの?」
迫田さんの言葉に堀田さんと弥刀さんががっくりと肩を落とした。
= = = = =
日付が変わったころ、ようやく迫田さんの誤解が解けた。
生徒会メンバーは、今までに味わったことの無い疲労感を味わっていた。
迫田さん、暴走しました。
素面です。ここでお酒が入ってたら、もうとんでもないことになっていたかも。
楽しんでいただけだでしょうか?
次話は余韻が残ります。




