部活動 1-1.1
いよいよ、喪部活動開始。
「ヒソヒソ」
「ヒソヒソ」
「ヒソヒソ」
「ヒソヒソ」
「ヒソヒソ」
「ヒソヒソ」
(うー、この状況はつれー)
翌日、鉄臣君の喪部入部の記事を新聞部が貼り出していた。
学園内ネットワークにも配信されている。
喪部は非公式部。そのため部員は学園内にとどまらず他校の学生もいたりする。
おかげで学校間交流も円滑になり共催行事も可能となっている。
OGOBは著名人も多くOGOB会で会うことができたりもする。
学園生あこがれの喪部。
ちなみに始業式であいさつした元総理大臣は喪部OB。
大部分の学生は喪部への入部を希望し、長所を伸ばし入部テストに臨むのが普通だ。
ところが入部テスト前に入部、生徒会入りのおまけつき。
何の特長もない貧乏学生三石鉄臣君の入部が新聞部の取材で明らかになった。
学校中で憶測が飛びかう。
<実は学校外ですごい>とか<生徒会の弱みを握った>とか<外国の王族のご落胤>とか面白半分に噂する。
教室に居るのが辛い。
幸い悪意は向けられてはいなかったが、好奇の視線でも結構痛い。
そうこうしているうちに放課後。
鉄臣君はそうそうに教室を出る。
足取りも重く、生徒会室に向かう。
「君は帰宅部だそうだが、喪部の部活動をするからには生徒会に入ってもらいたい」
書記長から告げられる。
鉄臣君、拒否権は所有していなかった。
(あーあ、なんでボクなんだよぉ。視線がいたいよ)
学校中に知れ渡っている今、360度死角なし!いや安息の場所なし!
「あっ。生徒会室」
鉄臣君は気がついた。生徒会室なら役員以外の視線は無い。
足取りが速足になった。
しかし、残念なことに彼の周囲は何も変わりはしていない。
= = = = =
鉄臣君は、生徒会室の戸をノックする。
「どうぞ」
返事があった。おそらく会長だろう。
中に入るって挨拶をする
「こんにちはー」
会長以外に女子生徒二人居た。
ひとりはふわふわした感じの美少女
もうひとりは凛とした美少女
(うわー、美少女が3人だぁ。部屋の中、いいにおいがするー)
「三石君、こんにちは」
ふわふわと凛が一斉に会長の方を見た!
(えっ!何、今の?会長がボクに挨拶したのがおかしいの?)
会長は何事もなかったように微笑んでいる。
(ほんと美少女だよなぁ、落ち着きがあって、かわいいなぁ。あれ?ちょっと顔が赤い?」
「三石君、座ってください。じきに二人も来るから。それから紹介するわ、彼女は桃園ほのかさん、彼女は楠木あおいさん。ふたりは喪部部員で副会長をしてもらいます」
(おお、やっぱり超エリートだったのね。出てるオーラが違うよな。いい匂いだし)
「こんにちは、三石です。生徒会の雑用係です。なんか喪部部員になりたてです。よろしくお願いします」
(わー、なんかよそ行きの話し方になっちゃってる?緊張するなぁ)
「こんにちは、ほのかです」
(ふわふわさん、笑顔かわええ)
「あおいです、よろしく」
(凛さん、男前ーまつ毛なげー)
鉄臣君、超エリートの存在感に圧倒されつつひきつった笑顔で会釈した。
= = = = =
コンコンとノックの後に堀田書記長と弥刀会計長が一緒に生徒会室に入ってきた。
鉄臣君は戸の方に目を向けて、見てしまった。
ふたりは手を繋いでいた。
それも指を絡ませての恋人つなぎ!!
(うおっ!リア充だ!超エリートだ!なんでボクがここにいる?)
「揃ったので、会議を始めます。会計長議事進行をお願いします」
「はい、今日は本年度のクラブ予算についての・・・・・」
庶務(雑用係)には特に仕事もないので、役員にお茶を入れることにした。
(まあ、美女四人を間近で眺められるのも役得なのかも)
生徒会の構成は
会長 1名
副会長 2名
書記長 1名
会計長 1名
庶務(雑用)1名
です。
役員の指名が会長が行うことになっています。