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部活動 5-7.23

はてさて鉄臣君は無事就寝できるでしょうか。

『カナメ、知ってたら教えてくれないか?』

『何?』

『カナミは、責められるようなことをしたのかい?』

『うーん・・・・』

弥刀さんは、ユートさんの質問に即答できなかった。


弥刀さんは堀田さんのお見合いの件以来、特別な気持ちで意識することがある。

鉄臣君の性格から、自ら行動を起こすようなことはまずない。

しかし、甘美な誘惑、それも好意的だったとしたらと考える。


『まあ、三石君も男子だしね』

言葉にした弥刀さんが動揺していた。

ユートさんは弥刀さんの顔を覗き込んむ。

『カナメ、顔赤いよ』

揶揄うように言った。


 = = = = =


審議の結果、鉄臣君が充分反省していると判断された。


それを受けて反省会は平穏のうちに終わった。

そもそも反省会自体が平穏では無い訳だが。


「もういいかな?」

「みたいさね」

「あらあら」

ユートさんが待ちくたびれたように言うと竹腰の従姉ふたりが返す。


ユートさんは鉄臣君の傍にしゃがんでポンポンと肩をたたく。

「じゃあカナミ寝よう」

「はぁ!?」

ユートさんの発言は爆弾そのものだった。

ようやく放免されたばっかりのところに投げ込まれた爆弾。

「僕は抱き枕がないと眠れないんだ」


当たり前のように説明するユートさん。


「・・・・それがボクと関係ありますか?」

鉄臣君、どうにか思考をつなげ問う。だよな。


「僕は抱き枕が必要だし、初めての男性と一夜限りっておかしいじゃないか」

ユートさんの言葉に鉄臣君は【おかしい】という単語の使い方を見失った。


生徒会役員(女子)+自主参加によって、速やかに<抱き枕事案>は破棄された。


 = = = = =


「ごめんね、ミクレ」

「い、いえ、光栄ですユート先輩」

ユートさんは土肥原さんに後ろから抱きついている。


「ミクレみたいな妹が居てもよかったな」

「そんな、あたしんひゃひゃーーー」

「フフフ、ミクレはここが弱いんだね」

「ちょ、ユート先輩、変なところ触らない、んひゃーーー!」


「土肥原さん、ユーちゃんは乳首が弱いから」

少し不機嫌な竹腰さんが助言した。

「え゛!そ、そんな」

土肥原さんは助言を受け入れられなかった。

行動に移すにはハードルが高すぎた。


そのやり取りを聞いて固まる喪部男子(条件付き)


 = = = = =


堀田さんは、弥刀さんから敏感な部分まで抓られ苦悶していた。

桧山従兄弟たちは、やり場のないまま苦悶していた。

渋沢君はただただ苦悶していた。

橘キュンがスヤスヤ眠っていた。

鉄臣君は橘キュンが背中に縋りついてから、背筋に冷たい何かを感じているような気がしていた。

金縛りとはこのような状態じゃないのか。

なぜか冷たい何かを確かめることに恐怖を感じ苦痛だった。


鉄臣君、背後から寝息が聞こえることに気が付いてから動かなかった。

かわいい後輩の安眠を壊したくないと思ってから、就寝前のトイレも我慢して動かなかったのである。

思えば、それがきっかけだったような気がした。


 = = = = =


「マーヤ!そんなこと言うなら、僕も考えがあるからね!」

「ユート先輩、い、痛いです」

ユートさん、我を忘れて、土肥原さんの胸を鷲掴みしていた。


「あっ、ごめん」

「いえ」

土肥原さんはユートさんのスキンシップが嫌ではなかったが、気不味い状況だった。


「ふン、ユーちゃんが土肥原さんにちょっかい出すからよ」

竹腰さんは少し不貞腐れていた。


「ハハーン、やっぱりだ」

勝ち誇るユートさん。


「ユーちゃん、野暮はなしさね」

「そうよ、真綾ちゃんてば、ユーちゃんがゴネ足りないのが不満なのよぉ」

ニコニコ微笑む竹腰従姉ズだった。

「ちょ、おば、お従姉ちゃん!」

顔を真っ赤にする竹腰さん。


「お嬢様方、夜も更けておりますのでお休みください」

年長桃園メイドが釘を刺す。


竹腰従姉ズは毛ほども意に介さなかった。

『アヤ姉、それって?』

『ほらぁ、ユーちゃんが頑張ったら、真綾も参加できたじゃないさぁ』

『ユート先輩、何のお話なんですか?』

『美紅ちゃんにはまだ内緒よ、ふふ』

土肥原さんを抱っこしたまま、ユートさんは従妹ズとヒソヒソと話す。

この会話は、横にいる竹腰さんまでしか聞こえなかった。


『そんなんじゃないから!』

半ば意地になって<何か>を否定する竹腰さんだった。


 = = = = =


色々あったせいか桃園関係者以外は眠りについた。


スススっと襖が開くと鉄臣君の布団が廊下に引き出された。

気づかない鉄臣君と橘キュン。


一つの影が布団に潜り込む。


『鉄臣様、若いメイドは無防備ですよ、後ろから召し上がれ』

『いい、いいわぁ、サフラ、ミッションはバッチリ記録してあげる』

ケイティさんは数台のカメラを設置済みだった。

『それはダメ、最初はお嬢様』

『えー、でもー』

『これは演習』


数分後、サフラさんとケイティさんは気を失い、懲罰として庭に寝かされていた。

朝には二人のメイドが蚊に食われた痒みに耐えることになった。


『マリン、オクスナ、これから起きることは起きなかった、見なかった、いいな』

『『イエス、マム』』

廊下の布団に潜り込むチーフ。

30分経っただろうか、延々深呼吸し、堪能したチーフが居た。


 = = = = =


「ねぇ、マリン」

「なんですか?」

「チーフだけ、ずるくない?」

「そうでしょうか?」

「そりゃ、マリンは充実してるもんね」

「はてさて、何のことでしょう」

「くーーーー、若様のお情けを何回貰ったのよ!?」

「ふふふ、内緒」

「こここ、このド畜生!リア充なんか爆発しろーー」

「オクスナ、夜中に騒がないでね」


【リア充なんか爆発しろやーーーーーーーーー!】

その晩、とある屋敷の屋根の上で雄たけびならぬ雌たけびを上げる不審者が居たという。


薄い本と出会わなければ、いささか違った意味で真っ当な人生を送れた女性。

彼女は泥沼の中にいた。

「神よ、どうして私が女だったのですかーーーーーー!」

彼女は根本的に立ち位置を見失っていた。

いずれにしても恋焦がれる相手が男性であることに違いがないということに。

夏休みもまだお盆前。

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