部活動 5-7.21
リア充の存在に圧倒される鉄臣君。
鉄臣君、桧山従兄弟を崇拝すべきか迷っていた。
桧山先輩はハーレムリア充、桧山君は面と向かって交際相手を確認してくるほどリア充。
おそらく交際相手がいないことを現実に起きうることだと認識できないほどのリア充なのだと。
その点、堀田さんは一度リア充を諦めかけたことがあり、パンピーの気持ちが少し解っていると思った。
鉄臣君、それでも【リア充は敵だ!】と思いとどまることができたのは、現実が辛いからだった。
ただ心の奥には、ひとりで花見や花火を見たりクリスマスを過ごしたりと悟りの境地になりたくなくて、幸せになりたいと思いもしていた。
鉄臣君、心の中で有名な【リア充にも負けず】を繰り返し詠唱する。生きろ!覚えるほど繰り返してきたんだもんな。
= = = = =
「三石君、橘君お待たせしたね」
さっぱりしてイケメン度アップの堀田さんと渋沢君が大広間に戻ってきた。
「あ、じゃあ橘さ「せーんぱい、行きましょうよぉ」」
鉄臣君、この際、終い湯まで待とうと思っていたが、その試みは無視された。
気がつくと右手が橘きゅん、左手がバスローブを着たサフラさんにガッチリ掴まれていた。
「ゆっくりしてくるといいよ。僕たちはトランプしながら待ってるから」
堀田さんの娯楽はぶれなかった。
「三石さん、早くしてください。超過勤務です」
サフラさんは嘘か本当か確認しようのないこと口にする。
鉄臣君、遠慮は無視され風呂場に入れられた。
= = = = =
鉄臣君、脱衣場では何事もなくホッとしていた。
サフラさんから大きめのタオルを渡され腰に巻くように言われたおかげだった。
そのままサフラさんが出て行ったので、やや拍子抜けのような感じもした。
何かを期待していたわけではなく、油断したところを何かされるんじゃないかと内心警戒していたのだ。
(サフラさんの悪ふざけって、後で反省会につながったりするから気が気じゃないよ)
鉄臣君、さりげなく後ろに回り込むように立ち位置が移っていった後輩のことに気がつかなかった。大丈夫か、後輩結構肉食系だぞ。
≪コンコン、三石さんご用意できましたか≫
「あ、はい。ちょうど入るところです」
≪コロコロコロッ≫「失礼します」
断りなく当然のように戸が開き、マリンさんが入ってきた。
鉄臣君、マリンさんのいで立ちに平静を装う自信がなくなりそうだった。
マリンさん、メイドのフリルのヘアバンド、ホワイトブリムをそのままに白の水着姿だった。
鉄臣君、続けてあることで思わず見入ってしまった。
心が邪なためか目の錯覚か、何となく普通の水着より生地が薄く透けているように見えたからだ。
「あ、あ、あの、あの」
「三石さん、そのまま動かないでくださいね」
鉄臣君、何が起きているのかわからなかった。
黒い幅の広いベルトみたいな何かを構えて水着メイドが近寄ってくる。
頭の中では警報が鳴り始めた時には遅かった。
痛くはなかったがガッチリ目隠しをされていた。
「ちょ、何ですか、これ」
「クスッ、シャンプーハットと思っていただければよろしいですよ」
鉄臣君、マリンさんの言葉がすぐに理解できなかった。
「・・はっ! シャンプーハットってシャンプーのときに目を瞑らなくて済むアイテムですよね。これってただの目隠しじゃないですか?」
「三石さん、詮索しすぎると橘様が・・クスッ」
「ええーっ! ちょ、橘さん大丈夫?どうしてこんなことするんですか?もしかして、桃園さんが」
「フフッ、気になりますか」
鉄臣君、油断したことを悔やんだ。
桃園さんとは友達にしてもらったつもりでも、メイドさんたちには目ざわりなままだったのだろう。
この合宿の間、好意的に接してくれていた気がしていたのは、ただの営業スマイルだったと今になって気がついた。
(そうか、桃園さんには彼氏さんがいるんだし、ボクは普通に目障りなんだよな。彼氏さん、メイドさんたちから慕われているんだろうな)
鉄臣君、調子に乗っていたことを顧みて反省していた。
自分ごときがリア充の近くにいるというのが、とても見苦しく滑稽だということ改めて噛みしめてしまった。
口の中が苦く、目が熱くなってきた。
幸い涙を流しても誰にも見られない。
(今更見栄を張る値打ちもないよな、ぐすっ)
鉄臣君、浴室に誘導され濡れた床を踏んだ途端押し倒された。
それだけではない。
肩を押さえ込まれ、両腕はすぐ誰かふたりに拘束された。
鉄臣君、予想を越えた仕打ちに愕然とした。
(うっかりしてたなぁ、明日から気まずくても帰るべきだったんだよな)
失敗の後悔を通り過ぎて、後ろめたいとさえ思い始めた。
鉄臣君、気力がなくなりぐったりしてしまった。
(このまま醜態を撮影されネットに流すと脅迫され続けることになるのかなぁ)
ケイティさんの趣味を見ていたおかげで、かなり酷な結末まで想像してしまっていた。
「三石さんお湯を掛けますね」
そのクリスさんの声は優しかった。
鉄臣君、恐怖で漏らしそうになっていた。
(熱湯じゃありませんように)
目隠しの奥で眼を強く瞑る。
歯を食いしばり、身体中をこわばらせる。
≪シャパー、チャパチャパ、シャパー≫
鉄臣君、勢いもさほど強くない温水が掛けられたのが判った。
心底ほっとした。
脅迫され続けるのはいずれ死にたくなるのだろうが、今苦痛がないだけでも気が休まってしまった。
「失礼します」
鉄臣君、クリスさんの声が聞こえたら、仰向けの自分の上に何かの気配を感じ取った。
「三石さん、手を広げてください」
鉄臣君、オクスナさんの声が左手のほうから聞こえた。
言葉に従って既に押さえ付けられている両手のひらを恐るおそる広げると掴まれた。
= = = = =
「かゆいところはございませんか?」
「大丈夫です」
鉄臣君、マリンさんにシャンプーされていた。
「あ、あの手のマッサージありがとうございます。気持ちいいです」
鉄臣君、肝を冷やしたが、オクスナさんとケイティさんに手のひらマッサージをしてもらっていた。
女性らしいほっそりとやや硬いにしてもスベスベな手が心地よかった。。
「三石さん、絞り込んでいるのですね」
「いえ、痩せているだけです」
鉄臣君、必死で耐えていた。
見えないがクリスさんが間違いなく自分に跨っている。
そして、ボディーソープでニュルニュルと上半身を洗ってくれている。
もの凄くエッチなことじゃないかと童貞には刺激が強すぎた。
鉄臣君、大部分でホッとしていた。
もうこれ以上のことは起きないだろうと結論を出していた。
(クリスさんと3人がこっちなら、サフラさんは橘さんの背中を流しているしね)
鉄臣君、考えが甘かった。残念だったな、うれしい誤算だぞ。
「脚はまかせて」
「え、えっ。ちょ、サフラさん!橘さんも何してんの!」
鉄臣君、突然のことに焦った。
今両脚が洗われ始めた。
足首から先がスポンジでジャボジャボ洗われた。
スポンジはほどほどにニュルニュルと手で洗い始め意図的にくすぐりが含まれている気がする。
「あ、あの、足の裏はもういいです!」
鉄臣君、耐えきれず叫びに近い声になってしまった。
「あ、あの、そろそろ終わりますよね」
鉄臣君、耐える気力が尽きていた。
隠しようのない生理反応が収まらない。
腰に置かれたタオルが虚しいだけだった。
「サフラ、任せますね」
「イエス、マム」
それは短いやりとりの直後だった。
鉄臣君、とんでもないところがとんでもない刺激に襲われた。
四つの手がニュルニュルと動き回る。
手は確実にタオルの下に潜り込んでいる。
「ちょっと、橘さん!へんなことは止めようね」
「クスクス」
鉄臣君、橘きゅんに訴えたが二つの手が減ることはなかった。
「三石さん、サフラは不器用なのでご容赦くださいね」
「一生懸命」
耳元でクリスさんの声、下半身のほうからサフラさんの声だった。
鉄臣君、大人の階段で手摺にしがみついて昇らないように踏ん張っていた。
= = = = =
鉄臣君、戦い済んで湯船で打ちひしがれていた。
洗い場にふたり残っていた。
橘きゅんがサフラさんに背中を流してもらっている。
「ふたりともかわいいなぁ」
鉄臣君、何気なくつぶやいた。
思考力が一足先に休んでしまっていた。
鉄臣君、警戒するあまり、周りとの距離が縮まりません。
そのうえ、最後の一言が余計でした。




