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部活動 5-7.19

桃園家の夜が始まろうとしています。


ではでは~

「すみません、変な音で」

鉄臣君、上座で立ち上がると下座にまとめて置かれている荷物のところに歩いていく。

忘れ物がないか確認して、デイバッグとスポーツバッグを拾い上げると肩に掛けた。


挨拶しようと振り返ると予想外のことに呼吸が止まった。

(アレ?)


大広間の全員が注目していた。

後ろに何かあるのかと振り返ったが、襖しかない。


「カナミ君、どうかしたのかしら?」

鉄臣君、ほのかママから質問される。


「えっと、そろそろ帰ろうかと・・・」

「どうして?」

「電車無くなるんで」

「じゃあ、泊っていっていいわよ」

鉄臣君、ほのかママの言葉がすぐには頭に入ってこなかった。

(えーと、泊まっていいと言ったかな?)


鉄臣君、まさか自分なんかにそういうことは言わないだろうと何かと聞き間違いだと判断する。

(帰り損ねるわけにいかない)


「終電に間に合わないと困るん「じゃあ、ここでいいさね」・・・で・・・」

「桃園さん、かな坊は、竹腰(・・)の料理のバイトをしているんさね。よかったら、桃園さんもどうだい?」

「・・・・そうですね。カナミ君、ウチの厨房()使い慣れていますから、よろしいんじゃございません」


クリスさんを除いて侍女隊は、この2人のやり取りを目の当たりにして、平静を装っていながら、立っているのがやっとだった。

クリスさんも膝の震えを抑えるのに苦労していた。


フラウ=モモゾノ(ももぞのふじん)、僕も泊ってもいいですか?」

「あらあら、お義母さまったら。かな坊さん、楽しみにしておきますね」

ユートさんと薫子さまの言葉が、緊張を解いた。


駐日大使は、このことは本国に連絡しなければならないと思った。

ユートさんの相手は、情報部が掴みきれていない要人かもしれないと。


 = = = = =


ユートさん歓迎会は、そのままお泊り会へ延長された。


ソンマーバック駐日大使は、桃園家を後にする。

彼は、大使館の公用車車中からマーリンベルグ家に直に暗号変換したメールを打っていた。

<ユートライフェンお嬢さまは、早々に日本に馴染まれたとのこと。

 身辺警護は、予定通りモモゾノに口頭で依頼。

 ご心配なきよう>

<追伸。お相手については、情報部で継続調査を提案いたします>


 = = = = =


大広間に布団が敷かれる。

「あらあら、男女一緒なのね」

弥刀さんが、布団の数を数えて気が付いた。


「使えるお部屋が足りないのでぇ。でも、要さんたちだけ、お部屋の用意できますぅ」

「クフフ。いいのよ、そのお部屋はほのかちゃんたちが使ってくれたら」

弥刀さんはウインクしてみせた。


鉄臣君、間近だったので、会話が聞き取れた。

(桃園さんの彼氏って、この中に居るんだ。リア充って、もう体験済みなのかぁ)

鉄臣君、男子を見渡す。

渋沢君か桧山君だろうと思った。

桧山さんの相手は、久遠寺さんじゃないかと予想していた。

この二日間、ふたりが会話をしているのを度々見かけたからだった。


 = = = = =


「正輝君、男性陣が先にお風呂に入ってきて。女の子は色々を時間が掛かるから」

「そういうことなら、仕方ないね。じゃあ、先に貰おうか」


堀田さんに連れられ、男どもはお風呂に到着。


「ははっ、参ったな。感覚がズレてたよ」

桃園邸の風呂場は全員が入るには狭かった。

個人宅としては大きい方だが、湯船が一つ、大人3人くらいの大きさしかなかった。


そこで順番を決めることにした。


「俺、最後でいいです」

「ボクも最後がいいです」

鉄臣君、最後に片付けて出るつもりで言うと橘きゅんが立候補した。


「橘さん、俺すぐに上がるんで、先にのんびり入ってくれたらいいから」

「えー、せんぱいと別々に入ったら、その分だけ時間が掛かっちゃいますよ」

「俺、3分で出るから」

「せんぱい、洗いっこしてくださいよー」

「それはちょっと」

鉄臣君、男同士だが橘きゅん相手だと照れくさかった。その勘は正解だぞ、大人の階段を斜め上に上っちゃうかもしれないからな。


「それでは、皆さまのお背中をお流しいたします」

クリスさんが言った。

次の瞬間、男子全員固まった。


気が付くといつの間にかサフラさんを除く桃園メイドが水着姿で並んでいた。


 = = = = =


「男子が上がるのを待つのも時間を持て余しそうね」

久遠寺さんは、場が白けるのが少しつまらなかった。

大したことではないが、なんとなく嫌だった。


「シオン、僕スーパー銭湯とやらに入ってみたい」

ユートさんが目を輝かせながら言った。


「クルマを用意しますね」

早速ほのかママが応えた。

「ママ、いいの?」

「いいわよ。

 警備員(みんな)も寛げるでしょうし」

ほのかママは、乗り気だった。


「仕方ないねえ、ウチら年寄りは、戻るとするか。なぁ薫子さん」

「そうですね。お義母さま」

アヤメさんたちは、仕方ないという割にニコニコしていた。


「真綾、お従姉に来てもらいな」

「え゛」

「なんだい、嫌なのかい?」

「お従姉ちゃんは、そのままお泊りなんでしょ」

「そりゃ、桃園さんちの都合さね」

竹腰さん、アヤメさんの話に少し戸惑っていた。


「ウチの方は、よろしいですよ。大したおもてなしはできませんが、竹腰の方々に泊まっていただいて」

ほのかママはすんなりOKした。

「あのね、真綾ちゃんのお従姉さんたちって、銀髪がきれいで真綾ちゃんとよく似てるのよ」

桃園さんは自分が驚いたところをママに伝えた。

「そうなのね。美人さんの家系なのね」

ほのかママは、竹腰さんのほうを向いて、にっこりと微笑んだ。


「・・・じゃあ、お風呂に来てもらう」

そういいながらチラリとユートさんを見る竹腰さん。

一瞬目が合った後、ふたりはアヤメさんと薫子さんをじっと見る。


アヤメさんと薫子さんは、ふたりに微笑み返すだけだった。


 = = = = =


「アレ、みんなどこに?」

鉄臣君、がらんとした大広間を眺めて不思議だった。


一番目を桧山従兄弟に譲って大広間戻ってきてのことだった。


「皆さま、スーパー銭湯にお出かけでございます」

その声に振り向くと白のビキニを着たサフラさんがいた。

一言言い残すとスタスタと廊下を歩いていくのだった。


鉄臣君、一部がプルンプルンとリズミカルな後姿を見送った。

いかがでしたか?


これから喪部男子部の事情が少しだけ。

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