部活動 5-7.8
ここまでお読みいただいてありがとうございます。
喪部イベントも終わりに近づきました。
ではでは~
鉄臣君、食後のひと時をプールに浮いたエアマットで過ごしていた。
船上なので波間に漂っているような錯覚をする。
日差しが眩しい。
のんびりした時間の過ごし方は、久しぶりだった。
= = = = =
家計の具合は薄々感じていたから、中一から水平を目指していた。
小遣いを貯め、自炊を練習し、受験勉強をした2年半。
水平学園には中等部があり、そのままエスカレーター進学する学生が多い。
偏差値はさほど高くはないが、高校から受験だと試験成績が良くないと合格できないと噂をネットで読んだ。
不安を抱えたまま、とにかく頑張った。
合格したときはうれしかった。
努力が実った達成感は、言いようがなかった。
それもつかの間。
寮に入り、今度は学費のために頑張った。
賄いの出るバイトを選んで食費を浮かせる。
それでも、貯めた小遣いはどんどん出て行った。
要因は、成長期で服にかかる出費が想定を超えていた。
安物だと型崩れとかで買い替えるサイクルが早くなり、かえって高くつくことになった。
父親に相談したら、古着を送ってくれたり、ホームセンターで気に入ったモノを探すようにアドバイスをくれた。
「親父、送ってくれた古着、イタリアとかフランス製ばっかりでなんか勿体ないよ」
古着の段ボールの中に茶封筒を見つける。
中には1万円札が5枚入っていた。
仕送りを断っているから、大事に保管している。
父はこれから数ヶ月間、自分が知っている以上に節約するのだろう。
その時、自分はもっと頑張ろうと思った。
= = = = =
「カナミ、僕をほったらかしにして優雅だね」
プールサイドでむくれているユートさんの表情は厳しかった。
「あ、すいません。つい、くつろいでしまいました」
「仕方ないなぁ。・・・それ、僕も乗れそうだね」
「あ、はい。そっちに持っていきますね」
鉄臣君、プールに降りて、エアマットユートさんの許に押していく。
「プカプカ浮いてるのって、いいですよね」
「・・・」
「押さえておきますね」
「・・・」
「ユー「ヒエン!」ヒ、エン」
「コレ、大きいと思わないかい?」
「大きいですね」
「浮力も充分だと思わないかい?」
「まあ、それなりに浮くでしょうね」
鉄臣君の言葉にニヤリと笑うユートさん。
「カナミ、一緒に乗ろうよ?」
「はい?」
「押さえていてくれよ」
「あ、はい」
ユートさんがプールサイドから恐る恐るエアマットに乗り移り、マットの中央で女の子座りをする。
「じゃあ、カナ、ミ?どこ?」
鉄臣君がいなかった。
ユートさんは周りを見回すが、やはり鉄臣君の姿はなかった。
「もう、エスコルテなのにディーンスト不足だよ」
= = = = =
「ユートさん、冗談キツイよ。あれにふたりで乗ったら、身体寄せないとひっくり返るのに」
鉄臣君、落水した後の状況をシミュレートする。
「ああーダメだ、罵声を浴びることしか浮かばない」
鉄臣君、プールを抜け出し、救命ボートの影に隠れていた。
「三石さん、お嬢様がたがお待ちです」
「うおっ、サ、サフラさん、びっくりさせないでください」
「ご冗談を」
「別に冗談を言ったつもりはないですけど」
「三石さん、どこの部隊でした?」
「はぁ?」
「・・・、いつか、教えてください」
サフラさんはスタスタ歩き出した。
鉄臣君、そのあとをついていく。
サフラさんはメイド服ではなく、プールサイドで目立たないようにハーフスーツの水着を着ている。
普通の水着より、身体の曲線がシームレスで見えてしまう。
鉄臣君、目の前で小気味良くプリンプリンと自己主張する双丘をついつい意識してしまう。
健全な高校生男子には、うれしくもつらい状況だった。
「三石さん」
「ひゃ、ひゃい」
鉄臣君、不意を突くようにサフラさんに呼ばれ、変な声で応えてしまった。
「わたし、男嫌い」
「すいません、すいません」
鉄臣君、振り返ったサフラさんに身の危険を感じる。
「三石さんは特別」
「はい?」
「命の恩人」
「へ、何かしましたっけ?」
「ぷっ、・・・ヒドイ」
鉄臣君、間抜けた顔を笑われた上に責められた。
「すみません、すみません」
鉄臣君、怖い人にビビったしまって平謝り。
「行きます」
サフラさん、微笑み踵を返し、スタスタ歩き出す。
「あ、待ってください」
鉄臣君、後を追いかけた。
= = = = =
「正輝くーん、もうすぐ準備終わるってぇ」
「ありがとう、じゃあ、船内放送してもらうよ」
しばらくすると船内放送が流れる。
「ご乗船のみなさまにお知らせいたします。これよりビンゴ大会を行います。最上階下ホールにてビンゴ大会を行います。ご参加お待ちしております」
いかがでしたか?
鉄臣君、周りの気も知らず、気の休まる時間がなさそうです。
次話をお待ちください。




