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部活動 5-6.30

ここまでお読みいただいてありがとうございます。


重大告白に鉄臣君は?


ではでは~


「はぁ。そうですか」

「フフ、軽蔑した?」


「え? どうしてですか? 女の子は進んでるなぁとは、思いますけど」

「な、なによ。その当然って反応」

「だって、前にも言ったかと思いましたけど、久遠寺さんは相手を選び放題なんだし。彼氏さんだっているでしょ?」

「彼氏なんて、いないわよ!」

一転、久遠寺さんの泣きそうだった声に怒気が混じる。


「すみません」

「別に謝ってほしいわけじゃないわ」

久遠寺さんが拗ね始めた。


陸地の方向でヒュルヒュルと音がしたら最初の花火が上がった。

≪ドッドーーーン、パラパラパラ≫

「あ、花火、始まりましたね。みんなのところに行きましょう」

鉄臣君、ウキウキしはじめ、ひとり先に戻ろうとする。


「もう、あなたって。身構えていた私の方がバカみたいじゃない」

≪ドッドーーーン、パラパラパラ≫

花火の音に独り言がかき消される。


「はい、何か言いました?」

「何も言ってないわよ」

久遠寺さんも階下に降りようとする。


「あ、足元、危ないから」

鉄臣君、ごく自然に久遠寺さんの手を握り、支えながら一歩一歩確かめながら、彼女が安全に降りられるように気を払い降りていく。

その姿に目を細める彼女に、彼は気付いていない。


 = = = = =


「花火が近いと思ったら、わざわざ近くに停泊していたんですか?」

「らしいよ。錨が届く深さだから近くなるんだろうね」

「花火の音で耳が痛くなったのは初めてです」

「花火って近くだと衝撃があるんだね」

花火見物が終わり、喪部部員たちは、揃って屋台村で少し遅めの夕食を摂っていた。


桃園さんとユートさんの周りは、増員されたメイドさんと黒服で固められていた。

メイド姿でありながら、腰には各々剣を携えている。

黒服は、アタッシュケースのようなものを持っていた。

オスプレイから降りてきた作業着のメンバーは、銃のようなものを見せるように持ってフロアが見渡せる位置にいた。


「ちょっと窮屈だな」

周りを見回しため息混じりに漏らすユートさん。

「危険がある以上、多少の窮屈は仕方ないですよぉ」

ユートさんをなだめる桃園さん。

「あ、あの」

「あ、ホノカ、ケチャップ取って」

「はい、ユートさん」

「あ、あの」

「ユートさん、お塩お願いします」

「どうぞ。プェッファー(胡椒)もいる?」

「あ、あの」


「あーん、もう!ふたりとも、この男から離れた方がいいわよ!」

「そうね、彼が不純な気持ちを隠している間に離れた方がいいわ」

「鉄臣クン、わたしの横が開いてるよ」

「「あおいちゃん!」」


「丸美、また先輩たち怖いよー」

「しっかりしなさいよ」


 = = = = =


鉄臣君、ユートさんと桃園さんの間に座らされていた。

理由は、ふたりの危機を救った人間であり、邪魔者として狙われる可能性があるということだった。

「できるだけ、近づいておきましょう」

「そうだね。僕としても、こういう状況は仕方ないと思うよ」

空調は効いているものの、密着して蒸れそうだった。


「そ、そんなに引っ付かなくても」

鉄臣君の言葉は蒸し蒸しする中で無視される。


「クリスさん、どうですか?」

「サフラとも相談した結果を申しますと、三石さんにお嬢様が抱っこしていただい方が警備はしやすいのですが」

「そ、そうですか。うーん、仕方ないですねぇ。【桃園】の方はなんと?」

「はい、【事故(・・)報告】で良いと奥様から」

「今、【じこ】って言いましたよね。事故って解ってるなら止めてくださいよ」

鉄臣君の抗議の言葉は、クリスさんが微笑みさらりと無視する。


「カナミ、なんなら、僕が抱っこしてあげようか。背もたれに程よいクッション付きの人間椅子だよ」

「ユートさん!そこまで言ったら、俺が変態みたいじゃないですか!」

「うーんと。・・・違うの?」

「ヒィーーーーーーーー」

「アハハハ。カナミは愉快だな」


 = = = = =


「鉄臣さん、もうニヤニヤするの止めてよね。何よ、わたしの時にはそんな顔しないの・・・に」

「ふーん。真綾さんは、なぜ、そんなに不機嫌なの?」

「真綾ちゃん。もしかして」

向かえに座る竹腰さんの態度が気になる久遠寺さんと楠木さん。


「そ、それは、この男が、竹腰の婚約を白紙にしたのに、わたしを放ってイチャついてるからよ」

「そう?」

「ほんとにぃ?」

言葉に詰まる竹腰さんを疑問視するユートさんと桃園さん。

気のせいか、ふたりの密着度が上がる。


「か、鉄臣さん!破廉恥よ。お曾祖母様に言いつけるから。淫行方正よ!」

「ちょ、竹腰さん、ちょっと待って。俺もこの状況はさすがにダメだと思ってるから」

鉄臣君、竹腰さんの言葉に反応を返した。

次の瞬間、鉄臣君は空調の温度が5℃下がった気がした。


「かなみ君は迷惑なの?」

「カナミ、僕なんかじゃ近寄るのはダメなのかい?」

ふたり揃って悲しそうな声を出す。

俯いて表情は見えなかった。


「いえいえ、その、【事故】で【変態】なわけですから、ご家族に余計な心配をかけないように俺を遠ざけた方が良いと」

「「じゃあ、嫌じゃない?」」

「嫌なわけないですよ。でも、彼氏さんとかに悪いと思いますし、俺ももし彼女がそんな状況だとあんまりいい気はしませんから」

鉄臣君、ふたりに申し訳ない気持ちを正直に告白する。


「そ、そんな心配はいらないよぉ」

「そうだよ。僕は日本に来たばかりだし」

「まあ、俺がそう思うだけですよ。ハイスペック彼氏と比べたら、消しゴムのカスみたいなモンだし」

鉄臣君、ぱぁっと明るい表情で安心するふたりに、ホッとして本音を漏らす。


「失礼します」

「マス」

鉄臣君、なぜかメイドふたりにうしろから抱きしめられた。


「ク、クリスさん! サフラさんまで!」

「あー、ど、どういうつもりー!」

桃園さんとユートさんは動揺を隠せなかった。

「お嬢様、マーリンベルグ様、この際、既成事実が一番かと存じます」


「「「「「ゴクリッ」」」」」

その場に居た誰もが、生唾を飲み込む音が聞こえたような気がした。


その後、食事は静かに続いた。

ただ、異様な緊張感に包まれたその場で、竹腰の老婦人ふたりだけが楽しそうに盃を傾けていた。

いかがでしたか?


おかしいなぁ、ハーレム展開のはずなのに。


次話をお待ちください。

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