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部活動 閑話 楠木あおいの場合 その2

ここまでお読みいただいてありがとうございます。


楠木さんは、少し落ち着いたみたいです。


ではでは~


「お風呂ありがとうございました」

「落ち着いた?」

「はい、おかげさまで」

脱衣場で寮母さんにお風呂のお礼をする。

ただ、初対面の人だと緊張してしまいます。

ましてや、突然夜中に迷惑をかけてしまった。

気まずい。


「服は、今洗濯して、乾燥機にかけてる。下着は、すぐに乾かしたからもう着られると思うよ。替えがないから、ごめんね」

「いえ、わたしが悪いんです。平気ですし」


「そう、それは良かった。イッチャン、Tシャツ有った?」

≪はい。おろしていないのがありました≫

「貸すけどいい?」

≪はい、いいです≫

「ありがとね」

彼がTシャツを見つけてくれたみたいだった。


寮母さんが廊下に行って帰ってくると手に透明の袋に入った白い何かを持っていた。

「新品のTシャツだから、気にせず使うといいよ」

「あの、必ずクリーニングして返します」

「大丈夫、あの子は、困ってる人相手だと細かいこと気にしないから」

彼は、寮母さんに信用されているみたい。


「これを着なさい。洗ってあるけど、一番古いからごめんね」

寮母さんは、前開きのスウェットを貸してくれた。


寮母さんは小柄なので、Tシャツ含めて彼女の服だと入らないだろう。

結果的にというか思った通りというか、男物のTシャツでも胸に余裕がなかった。

薄い無地の柔らかいコットンのTシャツだと、ブラの形が浮き出してしまう。

寮母さんはそれを見越してスウェットを貸してくれたようだ。

小さめなので、ぴっちりと身体の線が出てしまう。


寮母さんが自室に案内してくれてついて行く。

部屋の中は、女性らしいインテリアをまとめられていた。


「紅茶でいい?」

「あ、いえ、お構いなく」

「ここまで来たんだから、遠慮はなしよ」

「はい。すみません」


お茶を淹れるまで、寮母さんは何も聞かなかった。


「あ、あの、彼は、来たりしないんですか?」

「イッチャンは、今、バイト中」

「え? こんな遅くにですか?」

「風呂掃除だからね。気にしなくていいよ。あの子が、言い出したことだし」

彼は、わたしがお風呂を出るまで、じっと待っていたんだ。

そう思うと周りを見ていない自分が情けなくなり、目が熱くなってくる。


「夕飯は食べたかい?」

「い、いえ」

「食べないとだめだよ。栄養のバランスが第一だよ」

「え、でも」

「はい、はい。イッチャンも夜食食べるだろうから、一緒に食べなさい」


 = = = = =


寮母さんがお鍋を作ってくれた。

なぜだろう、家族でお鍋を囲んでいるような錯覚する。

そうか、気づかないうちに寂しかったのかもしれない。


みんなで囲むお鍋は、暖かく、久しぶりだった。


隣に彼が座っている。

ニキビのヒドイ顔を見られなくて、良かった。

ここにきて、男の子と並んでお鍋を食べていることを意識してしまう。


夜遅くに男の子と食事。

夜遅くに男の子と

夜遅く


ど、どうしよう。

服はまだ乾かない。


「お嬢さん、もう遅いから、泊まっていく?」

「え、あ、はい!」

(しまったー。思わず、はいって言っちゃったー)


「そうかい、そうかい。じゃあ」

そういうと寮母さん冷蔵庫の方に歩いて行った。


「イッチャン、飲むかい?」

「あのー。未成年なんで遠慮しておきます」

彼は、言葉とは別に寮母さんが持ってきた発泡酒をチラチラ見ていた。


「フ、フーン。この子の前じゃぁねぇぇ」

「ひぃーーーーーー」

寮母さんの一言で彼は悲鳴のような声を出した。

うーん、お鍋、うまうま。


 = = = = =


今、わたしは、彼のお布団で寝ている。

彼の枕も使っている。


寮母さんの部屋は、寮生や元寮生の荷物を一時的に預かっていて、かたずけないとわたしが眠るところがなかった。

夜も遅い。

彼が【嫌じゃなかったら】と提案してくれた。


同性代のお、男の子の匂い。


いくらなんでも、これはダメじゃないの?

初対面の男の子のお布団で寝るなんて。


彼はすぐそばで眠っている。


落ち着かない。

何度も寝返りをうってしまう。

そのたびにベッドが軋む。

か、彼が目を覚ますんじゃ?

そう思うとますます眠れない。


気持ちが昂り、汗ばんできているかも。

思わず寝返りをうってしまった。

ベッドが軋む。

あーん、彼に聞こえたら、どうしよう。


きちんと眠らないと。

そう思って、深呼吸をする。

鼻腔に彼の匂いを感じて、落ち着かなかったはずなのに、いつの間にか眠っていた。


 = = = = =


(あの子、大丈夫かな。空き部屋がないから、俺の部屋で寝てもらったけど)

寮の廊下で毛布に(くる)まり、しばらくすると眠ってしまった寮生がいた。


彼は彼女に部屋の鍵を預けて、ある意味安心して眠りについた。


 = = = = =


≪コンコン。コンコン。起きてくれる?≫

「?」

見慣れない天井で目が覚めた。


「?、?、?。あ、彼の部屋だった」

廊下からの声は、寮母さん。


そっとカギを開けて、顔を出す。

「おはようございます」


「見つかると困るから、わたしの部屋に急いで」

「あ、はい」


彼の部屋を片付けていない。

「あ、あの、お部屋を」

「いいから、ここに女子がいたら、問題になるからさ」

「す、すいません」

慌てて、寮母さんの部屋へ。

いかがでしたか?


楠木さん図らずも男子の部屋にお泊りでした。


次話をお待ちください。

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