部活動 5-6.18
ここまでお読みいただいてありがとうございます。
楽しいお食事タイムです。
ではでは~
「堀田、三石って、なぜ、あんなに特別扱いなんだ?」
「あ、それ、わたしも知りたいな」
3年生の桧山さんと笠木さんが、揃って堀田さんに疑問を投げる。
「別に特別扱いってわけじゃないよ。モブ枠って、説明したはずだけど」
「じゃあ、生徒会に入ったのは?」
桧山さんは少々納得いかなかった。
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生徒会、それは単なる学園の運営執行部にとどまらず、現役学生とOGOB会の窓口役でもあり、卒業後、社会的影響力の大きい人材として認識されていた。
喪部が非公式部活動であるのは、<活動内容は、普通の学生生活を送る>という、意味不明なため、過去に水平学園部長会から承認が得られなかった経緯があった。
また、非公式ゆえに入部資格は明確でなく、部員の入部テストが生徒会すなわち喪部執行部によって、仕切られることが慣例となっている。
過去に喪部関係者以外の水平学園生徒会が存在した期もある。
しかし、喪部OGOB会の参加があるとないとでは、コネクションという点で、学校行事の質が段違いとなり、生徒会役員が再選することは無かった。
やはり、一般学生は、学校行事を派手で楽しく過ごしたいと思うのは今も昔も変わらない。
年月を経て生徒会は、喪部の執行部として継承され、学園の超エリートという位置づけに押し上げられた。
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「三石君を生徒会に入るように促したのは僕だからさ」
「なぜ?」
「言ったろう。モブ枠なのさ」
「そんなもの生徒会でなくてもいいだろう」
桧山さん語気が少し強くなる。
「OGOB会を納得させるためさ」
「う、・・・」
「僕や君がこの合宿みたいなこと、思いついたかい?一般学生の思いつきで納得させれらたかい?」
堀田さんの言葉は、自信に溢れていた。
いや、溢れているように見せていた。
実は堀田さんの詭弁で疑問を逸らした。
一般学生からアイデアを募り、生徒会が採用したとすれば、問題ない。
一般学生の採用者は、行事への特別参加できるとすれば、ほとんどの学生が応募してくるだろう。
何ら不都合はない。
(三石君の喪部入部には別の意味がある)
それは、桧山さんには関係なく、説明する必要もないので、堀田さんは隠して教えなかった。
このことは、堀田さんしか知らないが、弥刀さんは正解を予想できているようだった。
「春から盛大な花見会を見せられちゃ、わたしは納得かな。おまけに壇上から挨拶でしょ。あれは無理」
笠木さんは早々に降参した。
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従兄と堀田さんの会話を聞いていた十七一君は、別のテーブルで弄られる鉄臣君に目を向ける。
(俺じゃ、相手にされないんだろうな)
十七一君は中学から在外喪部部員として参加していたので、堀田さんや竹腰さん、マーリンさんの家柄を知っていた。
桃園さん、弥刀さんの家業は詮索してはいけないと聞かされていた。
楠木さん、久遠寺さんの才能は、見知っている。
ハイスペックな先輩に憧れて、発奮するが結果の伴わない自分が悔しいと思うことは少なくない。
その中に無名だった三石鉄臣が入り込んでいる。
当初、噂で、堀田さんに取り入って喪部に入部したとか、堀田さんの家をよく知らない生徒たちは、弱みを掴んでいるとか、とにかく悪い噂で盛り上がった。
そんな中で花見会で現役部員の代表だったり、勉強会を発案して奔走したり、伝え聞くと体育教官たちの信頼は、運動部系部長より突出しているとか、平部員とは格が違う。
生徒会入りが決まっている橘君や丸美さんが一目置くのも納得できる。
平部員だと遠巻きに眺めているしかない。
先輩に当たる従兄含めて平部員は、まだ私的に会話をしたことがないという。
いつも生徒会役員に囲まれて、近寄りがたい存在と見ていた。
三石鉄臣という人となりは、彼が挨拶の時、土下座して見せたあの態度でわかる。
彼は、喪部部員であることを負担に感じているほど謙虚なのだ。
逆に竹腰家の大御所から向けられる絶対的な信頼は、OGOB会から歴代稀に見る評価の高さに違いない。
そんな彼とこの合宿で会話しようと強く思うのだった。
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「鉄臣さん、ほらほら何か食べさせてよ。反省が足りないわよ」
「えー、ボク、お姐さんにお酌するように、仰せつかってますから」
竹腰さんがアヤメさん越しに口を指さし、要求してくる。
その向こうで薫子さまがニコニコと茶碗蒸しを召し上がっていた。
アヤメさんと反対側のユートさんが、鉄臣君のフォークを持った右手を掴んで、目の前の紙皿にあったサイコロステーキを突き刺し、自分の口に運んで、モクモクと咀嚼する。
「あー、ユートライヒェンってば、悪いマニーレン」
「そうかな?カナミが手伝ってくれただけだよ。なあ、カナミ?」
「ユートさん、ボクに振らないでください」
「鉄臣さん、わたしも、わたしも」
「かな坊、真綾が待ってるんだ、早く頼むさね」
『むー、ここだと不利じゃないか』
「ユートさん、何か言いました?」
「別に」
鉄臣君、再び右手を掴まれ、今度はブロッコリーと刺すように操られてしまった。
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「鉄臣くん、さっきから食べていないわね。はい、あーん」
鉄臣君、正面の久遠寺さんから抹茶塩を振ったエビの天ぷらを差し出される。
「あ、あの、だから、【あーん】は「あーん・・・」はい」
サクサクの衣に程よく蒸し上がったエビが絶品だった。
「おいしい?」
「はい、たぶん今まで食べた中で一番だと思います」
「そう、よかった」
久遠寺さんはそういうと齧った残りの天ぷらをそのまま食べた。
「あ、」
鉄臣君、戸惑った。
「何?あら、ごめんなさい。食べてしまったわ」
「「むー」」
横に座る副会長ふたりがむくれていた。
次に動いたのは楠木さんだった。
鉄臣君、目の前で楠木さんが茶碗蒸しを一口掬い上げフーフーと冷ますとツイと差し出してきた。
「鉄臣クン、どうぞ」
「え?」
「どうぞ。手が使えないでしょ」
「はい」
疑問を口にすることさえ許されない雰囲気だった。
それから一つの茶碗蒸しを分け合って食べることになった。
桃園さんは、クリスさんに頼んで揚げたての唐揚げを持ってきてもらう。
一口齧るとタイミングを計って言った。
「かなみ君、コレおいしいぃー。食べてみて」
鉄臣君、桃園さんのあまりに自然な仕草に乗せられ差し出された唐揚げパクリと口に入れて咀嚼した。
「じゅーしぃーだよねぇ」
「うん、鶏が違うんだろうな」
「じゃあ、はい」
桃園さんは、フーフーと軽く冷まして2個目を差し出すと鉄臣君が齧るのを見計らって、残った部分を食べてしまった。
「おいしいね」
嬉しそうな桃園さん、その横に控えるクリスさん。
クリスさん、誰にも気づかれず目立たないようにガッツポーズをしていた。
(餌付けされてるような気分がする)
鉄臣君、思ったことを口にする勇気はなかった。
いかがでしたか?
微妙な空気が漂います。
次話をお待ちください。




