部活動 5-6.17
ここまでお読みいただいてありがとうございます。
ユートライヒェンさんが絡みます。
ではでは~
「よかった。僕のことを忘れたかと思ったよ」
「すみません。俺、竹腰さんにひどいことをしてしまっているので、償わないといけないと思ったら、つい」
「ひどいことって?」
「その、あの、言わないといけませんか?」
「え、そんなに言いづらいことなのかい?」
「はぁ、自分勝手なことだったので、みっともないというか」
鉄臣君、責任を感じている分だけ、ばつが悪い。
「もしかして、無理やりかい?」
「言い方によっては、無理やりですかねぇ」
「マヤの方はどうだったんだい?」
「えーっと、アヤメさんの一声で受け入れてくれましたけど、時々、話題に持ち出してきてボクに反省を促します」
「へぇー、竹腰の大奥様がねぇ。・・・もしかして、婚約が白紙になった原因って」
「はい。 ・・・ボクです」
鉄臣君、ユートさんが引き気味なのが判った。
「マサキやマヤがはっきり言おうとしなかったのは、そのせいか・・・」
ユートさん、何やら考えを巡らしていた。
鉄臣君、特に自分から言うこともないので黙っていた。
ユートさん、意を決したように口を開いた。
「で、カナミはこれからどうするんだい?」
「はい。 竹腰さんが好きになった人とうまくいくように応援しようと思ってます」
「見損なったぞ! 君がマヤに手を出して破談に追い込んで【うまくいくように応援】だって?どれだけマヤの気持ちを弄んだら気が済むんだ!この偽善者め!」
ユートさんが鉄臣君の言葉に激昂した。
「あのー、ユートさん、勘違いしてますよ」
「気安くユートと呼ばないでくれるかな! ほかの子は機会を伺っているのかもしれないが、僕は不誠実な人間が大嫌いなんだよ」
「えっとですね、マーリンベルクさん。ボク、竹腰さんに手を出したりとか、していないんですけど」
「何を言うかと思えば、嘘をつくのもホドホドにした方が身のためだよ。呆れるほど卑怯だな」
「ホントですって。竹腰さんに聞いてください」
「ふーん、そこまで手なずけたってことか、はっ!それはそれはー。・・・でも、僕は許さないからね」
「え!、どうして、そうなるんですか?」
「大奥様のご厚意に甘えるにもほどがあるということを知るべきだったね」
「じゃあ、誰の言葉なら信じてくれるんですか」
「大奥様の言葉なら信じるよ」
「判りました。アヤメさんにお願いしますから」
「ふん! いいのかい? キミの思い通りにならなかったときに、罪の重さをその身で知ってもらうからね!」
「お昼ごはんの時に聞いていただければいいと思います。信じてくださいよ」
鉄臣君、マーリンベルクさんの信頼を失ったまま、食事をすることになってしまった。
= = = = =
鉄臣君、屋台のある階に降りてきた。
堀田さんが食事にしようと誘ったので、現役喪部部員が固まって移動するところについて行ったのだった。
『三石君、プールからユート君の機嫌がすこぶる悪いようだけど何があったんだい』
『ありえない勘違いをしていて、いうことを信じてくれないんです』
堀田さんがマーリンベルグさんのただならぬ雰囲気に気が付いた。
『誤解があるなら、僕が説明しようか?』
『なんか堀田さんの言うこともダメっぽいです』
「マサキはカナメとうまくいってるから、カナミのことを庇うだろ」
堀田さんと鉄臣君にマーリンベルクさんが割り込んでくる。
「そんなことはないよ」
「ふーん」
「だって、ほら。 竹腰君が気不味くて花見会に来なかったのに水平に転校してきたくらいだし」
「そ、それは、初めてで、舞い上がるというか、周りが見えなくなるって、女の子にはあるんだよ。従順になりたくなるような気持ちが」
そういうとユートさんが、チラリと鉄臣君の方を見る。
気まずい沈黙が、ある人の一声で霧散する。
「かな坊、こっちきてお酌しておくれさね」
「あ、はい」
鉄臣君、早々にアヤメさんに見つけられて、呼ばれて隣に座らされる。
それを合図に喪部部員が屋台に食事を選びに分かれて行った。
「お曾祖母様ぁ、この男ったらホント反省が適当で、ユートライヒェンのところには、すぐに飛んでいくのよ」
アヤメさんの声に気が付いたのか、竹腰さんが屋台に行かず傍にいた。
「真綾、かな坊の仕事なんだし、その言い方は酷さね。アハハ」
鉄臣君、上機嫌のアヤメさんに背中をバシバシ叩かれていた。
マーリンベルクさんは意を決して質問するが、周りの目を憚ってヒソヒソと小声だった。
『大奥様、マヤは、その、この男に辱めを受けたのではありませんか?』
「へ? うーん、それはまだじゃないかねぇ。・・・真綾、かな坊に襲われたらどうするさね?」
「えー、そういうのは困っちゃうよぉ」
「ちょ、お姐さん、何言ってるんですか!竹腰さんもマジで返さないでください」
鉄臣君、アヤメさんと竹腰さんのやり取りに焦って、判断力が途切れかかっていた。
「マーリンベルクさん、誤解しないでくださいね。ボク、そんなつもりは全くないですからね」
鉄臣君、もう根拠のない弁解をするしかなかった。
「ユートライヒェンってば、何か、わたしが心配?」
「あ、ああ。カナミが酷いことをしたって、白状したからね」
竹腰さんはここにきて、ようやく何の話か見当がついた。
「そ、そうそう、この男は、ヒドイことしたんだよ」
「じゃあ、その、日本語で操っていうのかな」
「きゃー、ないない。わたしたち、キスだってまだだよ」
マーリンベルクさんの目には、見ようによっては照れている竹腰さんが映った。
「言った通りでしたでしょ。誤解されることはしてませんから」
鉄臣君、自信満々マーリンベルクさんに主張する。
「・・・そういうことなんだね。・・・マサキ、この緊張状態をどうして教えてくれなかったんだい」
「いやー、実際、どこまでのものか計り知れなくてね」
マーリンベルクさんは、心配そうに近くに寄ってきていた堀田さんに話を振った。
「ユートさんも気になるぅ?」
弥刀さんが興味津々会話に混ざってくる。
「カナメ、面白がってるだろ」
ジトーと睨むマーリンベルクさんをしり目にくつくつと愉快そうに笑う弥刀さんだった。
= = = = =
鉄臣君、誤解が解けてマーリンベルさんを再びユートさんと呼ぶことを許された。
「カナミ、一つ聞きたいんだけど、いいかな?」
「あ、はい。なんでしょうか?」
「君は、誰と付き合っているのかな?」
「えぇー、ユートさんも聞くんですね。傷に塩を塗るような質問をされると正直へこむんですよ。ボクだって」
『・・・ごめん。いや、君を見ていると確認しておかないといけない気になってね』
ユートさん、小声だが、目を見て質問してくる。
「俺、変なオーラが出てるのかなぁ」
鉄臣君、がっくり肩を落とす。
「で、お相手は誰かな?」
「いませんよ。へこみ過ぎて、ぺったんこになっちゃいそう」
「そうなんだ」
鉄臣君、ユートさんがどことなく楽しんでいるように見えた。
「なんか、うれしそうですね。俺がモテないのわかってて、言ってるんでしょ」
「エッ、そんなこちょは、にゃいよ」
「噛みましたね」
鉄臣君、少しだけツッコミを入れた。
「鉄臣さん、わたしの友達はそんなことしないよ。アハハ」
鉄臣君、明るく笑う竹腰さんにバシバシ背中を叩かれる。
「「「むーーーー」」」
鉄臣君は、気がつかなったが、向かいの席に料理を見繕って集まった3人がむくれていた。
いかがでしたか?
とりあえず、ユートさんの誤解は早い段階で解けました。
次話をお待ちください。




