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部活動 5-6.13

ここまでお読みいただいてありがとうございます。


鉄臣君、桃園さんの心境を理解できたのでしょうか?

それはさておき、次はユート君の番です。


ではでは~


「三石さん、お加減はいかがですか?皆様がお待ちです。ご案内いたします。こちらに」

いつの間にか、クリスさんと入れ替わったメイドさんがいた。

鉄臣君、なぜか鈍痛の残る顎をさすりながら、メイドの案内でプールのある最上階デッキに上がってきた。


海の上で何も遮るものはなく晴天のおかげで眩しかった。

夏特有の霞んだ景色の先に陸地が見える。

かなり離れてきたのが解った。


(船が大きいから、ほとんど揺れを感じないんだ)

鉄臣君、久しぶりの船旅(?)がこんなクルーズ船になるとは思いもしなかった。



「せんぱーい」

正面から元気のいい聞きなれた声が聞こえる。

声のほうを見ると見慣れた後輩がふたり。


橘ひよりが目立つように手を振っていた。

眩しい光を目を細めて躱すとその後ろで隠れるようにこっちを睨んでいるのが丸美音奈いた。

(丸美さん、やっぱりなんか怒ってる)


タンクトップのラッシュガードにショートトランクス姿の橘ひより。

鉄臣君、橘ひよりに違和感を感じた。

(なんだろ?なんか変)


橘ひよりが駆け寄ってくる。

遊び相手を見つけた仔犬のような印象がする。


後ろに隠れていた丸美音奈が、隠れるための橘ひよりを追いかけるようについてきた。


「カナミ、遅かったね」

鉄臣君、声を掛けられて、すぐ脇のデッキチェアに腰掛けるユート君に気が付いた。

夏の日差しを避けるためかパーカーをきっちり着ていた。


「ユートさん、すみません。ちょっと込み入った事情があったので遅くなってしましました」

「そんなにかしこまった言葉遣いは不要だよ。僕も秋から水平に通うから、学友として接してくれるとうれしいな」

鉄臣君、金髪のイケメン様はさわやかな笑顔は、直視するには眩しすぎた。


眩しすぎた。


鉄臣君、眩しいと錯覚したのは間違いで、立ちくらみがする。

日ごろの無理のおかげで、若いのに炎天下ではツラいものがあった。

続けて脚が冷たくなるような感覚に襲われた。


「カナミ!大丈夫かい?」

ユート君が鉄臣君を抱え込むように手を広げたその瞬間。


フニュー


鉄臣君、手の平に感じる妙に柔らかい感覚で正気を戻ってきた。

この感覚、覚えがある。

迫田さん・・・思い出すと同時に汗が噴き出す。

(え?誰?)

モニュ

鉄臣君、身体を離そうと手に力が入ってしまったのだった。

パーカーの越しにユート君のその感触をより堪能する結果に。


「カ、カナミ。そ、その大丈夫かい。そ、そ、で、できれ」

「ドーーーン!」

「うヴぉあ」

≪ザッパーン≫

固まるユート君、両手で突き飛ばす竹腰さん、飛ばされプールに落ちる鉄臣君。


 = = = = =


「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」

鉄臣君、プールサイドで床に頭を擦りつけている。


「ひどいなぁ。僕が男だと思っていたなんて」

「ごめんなさい、勘違いでした」

「でも、どうして男だと思ったんだい?僕って、そんなに魅力無いかな?」

少し悲しそうな表情をするユート君改めユートさん。


「いえいえいえいえいえ。魅力が無いなんてことないですよ」

鉄臣君、力いっぱい否定する。


「スーツ姿で靴が女性用に見えなかったのと堀田さんが【ユート君】って呼んでいましたし、ユートさんは【僕】っておっしゃってましたから、単なる思い込みでした」

「カナミが僕を【ユートさん】と呼ぶから、てっきりわかっていたと思ってたよ」

「堀田さんも【さん付け】なんですよね。ボク」

「あーーー」

お互い行き違いを納得することができた。


ユートさんはパーカーを脱ぐと黒のビキニだった。

手を頭の後ろに回してポーズを取ると輝くように魅力的だった。

「どうだい? カナミ。 誤解が解けたなら、立ってくれるかな」

「あ、はい。ありがとうございます」

鉄臣君、ユートさんのポーズはスルーして、よろよろと立ち上がる。


「・・・と、ところで、どうだったかな?」

ユートさん、顔がほんのりと桜色になっていた。

「? なんでしょう?」

「うーん、やっぱり恥ずかしいから、いい」

「・・・女の子って、柔らかいですね」

「ドーーーン!」

「うヴぉあ」

≪ザッパーン≫

照れるユートさん、両手で突き飛ばす竹腰さん、飛ばされプールに落ちる鉄臣君。


 = = = = =


「竹腰さん、いくらなんでもひどいよー。力いっぱい突き飛ばすなんて」

「ふん。ユートライヒェンの胸で喜んだりして」

「べ、別に喜んで・・・たかも。いやいや、ボク、男だし。故意で触るつもりないから・・・」

「ジーーーーー」

鉄臣君、竹腰さんの追及に反省するしかなかった。


「ユートさん、すいません。あ、あの、変な気持ちでしたことじゃないんで、不可抗力で、・・・許してください」

「ぷっ。カナミは、大変だね。大丈夫、僕は、気にしていないよ。・・・ちょっと意識もらっちゃったし」

鉄臣君、ユートさんが少し照れくさそうな仕草をかわいいと思って見とれてしまった。


「竹腰さん!」

「チッ」

鉄臣君、ファイティングポーズで3度目を狙う竹腰さんに警戒して身構えた。

舌打ちする竹腰さん。


「竹腰さん、どうして不機嫌なんですか?」

「三石さんには、関係ありぃません」

「えー、ボクが突き飛ばされてるんだけどー」

鉄臣君、竹腰さんの理不尽な態度が納得できなかった。


 = = = = =


「せんぱーい。泳ぎましょうよぉ」

「橘さん、ごめんね。今はユートさんのエスコートの仕事だから」

「そうですか」

「ごめん」

鉄臣君、しょんぼりする橘ひよりが気の毒に思えた。


鉄臣君、腕に抱きついてくる橘ひよりをよく見て、違和感がはっきりわかった。

(橘さん、胸が・・・。話題にしないほうがいいだろうね)


「カナミ、僕のエスコートは、あんまり意識しなくていいよ。せっかくのイベントなんだしさ」


「ユートライヒェンさん、ありがとうございます」

「ユートでいいよ。ヒヨリ」


「ユートさん、先輩って筋肉かっこいいと思いませんか?」

「ヒヨリ、僕が直視するには、まだ刺激が強いかも」

「先輩、ボクなんか全然なくて。どうしたら、先輩みたいになれますか?」

顔を赤くするユートさんを他所に、橘ひよりは、鉄臣君の手をとって自分の胸を確かめさせた。


「た、た、橘さん!?」

鉄臣君、声が裏返る。


「?」

鉄臣君のその態度が不思議に思える橘ひよりだった。

いかがでしたか?


特に隠さない場合でも、誤解が生じたりします。

知人が、電話だと高確率で女性と間違われるいうのが元ネタです。


次話をお待ちください。

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