部活動 5-6.11
ここまでお読みいただいてありがとうございます。
ユート君関係で危険な香りがします。
ではでは~
少し前。
「ユートライヒェン、変わってないね」
「そうね、花見会の時もあんまり変わった感じがしなかったわね」
竹腰さんのユート君の感想に同意する久遠寺さん。
「着替えに行きましょうよぉ」
「ほのかちゃん、珍しく急かすね」
「そ、そう?た、たぶん早くプールで泳ぎたいからかな。船のプールって初めてだから」
「ふーん」
急ぐ桃園さんに何となく訳アリのような気がする楠木さんだった。
「ねえねえ、ほのかちゃんとあおいちゃんて、キスしたりする?」
「「え、えぇー!!!」」
ふたり揃って顔を真っ赤にする。
「真綾ちゃん。なんでそういうことを言うの!」
「そ、そうだよ。わたしたち、そんなのしないもん」
言葉は違うが、否定するふたり。
「ごめん、ごめん。前の学校(女子高)の時にね、仲のいい子同士が付き合ってたりしたから、聞いてみただけ。ふたり仲がいいから」
「あおいちゃんとは仲良しだけど、キスは違う気がするぅ」
「だよねー」
「やっぱり、そうよね。・・・もし、そんな雰囲気になったら、する?」
「「ええっ!」」
質問を重ねる竹腰さんに戸惑うふたり。
「・・・そんな雰囲気になったら、・・・するかも」
楠木さんの爆弾発言!
「あ、あおい・・ちゃん?」
「あ、あの、あくまでそんな雰囲気になったらの話だよ。そんな雰囲気にならないと思うけど」
「わたしも同じかな」
「し、紫苑さんも!」
ユリユリな発言に桃園さんピーンチ・・・かな?
「ほほー、やっぱり」
「真綾ちゃん!やっぱりって何!」
もうパニック寸前の桃園さん。
「うーん、なんだろう。かわいいものに【ちゅっ】てする感じ?」
「そう言われたら、・・・だけど、それって、付き合ったりの話じゃないよねぇ」
「そうよね」
竹腰さんと桃園さんはなんとなく同意した。
『それにファーストキスは・・・としたいもん』
「え、え、何々?誰とキスがしたいの?」
桃園さんのぽしょぽしょの独り言を聞き逃さなかった竹腰さんは、狩人のように追いつめる。
「あーん、内緒だもーん」
その様子を少し離れたところで、恋人繋ぎのリア充カップルが温かい目で眺めていた。
そのころ後輩ふたりは、ユート君を案内する鉄臣君について行って、黒服に止められていた。
= = = = =
「すみません。ここから先は、しばらくご遠慮ください」
がっしりとした黒服が丁寧に応対する。
「えー、先輩たちは通ったじゃないですかぁ」
「はい、その通りです。申し訳ございません」
橘ひよりの言葉を否定せず、頑として通さない黒服。
「もう、じゃあ、いいです。着替えに行こ」
「あ、うん」
丸美音奈に促されて自室に向かう橘ひよりだった。
「大きな音がしたときは、カギをかけて、部屋から出ないようにしてください」
「「・・・」」
黒服の言葉に言葉が出ないふたり。
そのまま部屋に向かった。
黒服は、ふたりを見送ったあと、ユート君の部屋の方に注意を向ける。
布を抱えたスタッフがいるのに気がついた。
そのまま、こちらに歩いてくる。
スタッフは、小さく会釈をして、そのまま通り過ぎて、そこから一番近い部屋に入っていった。
喪部のイベントなので、施錠しない人もいて入ることはできるが、そこが事前の打ち合わせでは、女性の部屋ということで不審に思った。
黒服は、後を追うように部屋に入ると≪バチバチ≫と音がして、静かになった。
扉がほんの少し開いて、そのまま固定されたように動かなかった。
部屋の前を鉄臣君が通りすぎ、その少し後にクリスさんが通り過ぎる。
しばらくすると少し開いていた扉は、静かに開いていく。
ちょうどそのとき、鉄臣君が部屋から出てきた。
= = = = =
「チーフ、ブラボー4応答ありません」
「ブラボー4の配置は?」
クリスさん、警備詰め所で警護打ち合わせ中に緊急事態と認識する。
「マーリンベルク様の部屋前警護です」
「何!誰もいなかったぞ。・・・アーチャー3名ついてこい。急ぐぞ」
「「「はっ!!」」」
速やかに行動を開始する桃園家関係者。
= = = = =
パタパタと足音が部屋の前で止まる。
スタッフの恰好をした男は、通路側の壁を背にするように立つ。
少年が部屋を覗き込み、倒れた黒服の傍にしゃがみこんだ。
(時間がない。小細工は抜きだ)
目の前の少年に近づき、スタンガンを押し付け、ボタンを押そうとした刹那、少年がカエルのように飛び跳ねた。
(素人じゃないのか?)
少年が振り向くと目が合った。
(急いで片付けよう)
男は少年の表情から、反撃はないと判断した。
それが間違いだった。
予想もしない明るい光で視野に白く残像が残り、視野を奪われた。
「三石、伏せて」
後ろから、女性の声がした。
男は、背中に重い衝撃を感じ、意識が真っ暗なところに堕ちていった。
= = = = =
橘ひよりと丸美音奈は、部屋の中でじっとしていた。
言われた通りカギを掛けていた。
≪丸美、大丈夫?≫
「うん、橘は?」
お互い隣の友人の安否を確認し、通話を続ける。
≪ボクも大丈夫≫
「・・・いつまでこうして居ればいいのかな」
≪先輩たちがいるから、大丈夫だよ。もう着替えた?≫
「まだ」
≪着替えて待っていようよ≫
「そうね。そうする」
いかがでしたか?
アクションには程遠いのは重々承知しております。
鉄臣君には、合法手段しかさせません。ご了承ください。
次話をお待ちください。




