部活動 5-6.10
ここまでお読みいただいてありがとうございます。
ユート君、お決まりの美形が加わります。
ではでは~
鉄臣君、ユート君を部屋まで案内した。
「ユートさん、日本語上手ですね」
「ありがとう。父が話せるおかげかな。マサキと会話することも多いし」
客室通路を通って最後尾に来る。
「ここですね」
「あー、やっぱり【ユートライヒ】って書いてある」
ユート君は、がっかりしていた。
鉄臣君、部屋に入るとその広さに驚いた。
「おー、俺の部屋の倍以上だ」
「おそらく、スイートだね」
部屋の奥から布を抱えたスタッフが出てきた。
「申し訳ございません。お部屋の準備に手間取りまして」
「ああ、気にしないで。ご苦労さま」
スタッフを労うユート君。
「失礼します」
スタッフが部屋から出ていく。
後ろに控えていたクリスさんがスタッフを最後まで目で追う。
「じゃあ、後で」
鉄臣君、ユート君の荷物を置き、部屋から出ようとするとクリスさんが小声で話しかけてきた。
『三石さん、何か起きるかもしれませんので、気に留めおいてください』
『は、はい』
鉄臣君、クリスさんのただならぬ雰囲気に少し緊張して退出する。
「マーリンベルグ様、お部屋の施錠をお忘れなく。失礼いたします」
「クリスさん、ありがとう」
= = = = =
鉄臣君、部屋に戻って着替えようと思ったとき、さっき部屋にいたスタッフが不自然に思えた。
家具のない部屋の何にあんな布を使ってたのか?
鉄臣君、ごそごそと荷物を漁さると懐中電灯を取り出した。
海に来て花火を見るとなると夜歩くこと時のことを考えて持ってきたモノ。
栄養ドリンクの瓶くらいの大きさだが、自動車のヘッドライト並みに明るく数百m以上先まで照らせる。
寮を出るときにフル充電しておいた。
手に握りこんで部屋を出る。
ユート君の部屋を目指す。
途中の部屋の扉が少し開いていた。
鉄臣君、気になって中を覗き込むと黒服が倒れていた。
(ヤバい)
腰から力が抜けるような錯覚に陥った。
何かが身体に触れる感覚があった瞬間、部屋の奥にカエルのように飛び跳ねた。
≪バチバチバチ≫
よく似た音に聞き覚えがあった。
(スタンガン!)
音の方向に男が立っていた。
さっきのスタッフだ。
鉄臣君、懐中電灯を男の顔に向けて照らす。
強烈な光は、視界を奪うはずだ。
「三石、伏せて」
鉄臣君、言葉に反応して床にへばりつく。
≪パ、パ、パン≫
発砲音がすると鉄臣君の目の前に男が倒れてきた。
メイドさんと作業服の3人がドアのところに立っていた。
「しゃ、射殺?」
「三石さん、おケガはございませんか?」
「俺は大丈夫です」
「よかった」
鉄臣君、メイドの手を借りてヨロヨロと立ち上がった。
目の前でスタッフが身柄を拘束されている。
「メンバーの1人が応答しなかったので、参りました」
「撃ったんですか?」
「はい。岩塩弾ですので、死にはしません」
「クリスさん、桃園さんちは何屋さんですか?」
「今は、まだ申せません。犯罪は行っておりませんので、ご安心を」
鉄臣君、にっこりと微笑むメイドさんを見て大人の魅力はこういうものなのかなと思った。
= = = = =
「ユートさん、大丈夫ですか?」
「カナミ、花火じゃなく、やっぱり発砲音だったんだね」
「はい、なんか物騒な男がスタッフのふりをしていました」
鉄臣君、ユート君が少し不安そうな表情だったので、ぼかすように説明した。
「マーリンベルク様、三石さんが射撃のチャンスを作ってくださいました」
クリスさんが要点を押さえて説明する。
「大丈夫かい?」
「床に這い蹲っていただけです」
「不意打ちをかわし、おひとりでターゲットを一瞬行動不能にされました。おかげで速やかに捕縛、拘束しております」
クリスさんが切迫していた状況のこと説明する。
「クリスさん、大げさですよ。みなさんが来なかったら、あのまま終ってたかもしれません」
「いえいえ、咄嗟に対応されたのは、三石さんの技量が有ってこそです。あの一瞬のおかげで、全員無傷だったのです」
「カナミ、すごいな」
ユート君は少し興奮気味だった。
= = = = =
「カ、カナミ。着替えるから、声の聞こえるところに居てくれないかな」
「はい、いいですよ。ドアを開けておいてください。廊下にいますから」
「ドアの開けっぱなしは、恥ずかしいかな」
「じゃあ、俺は、ドアの前に立ってます」
「ありがとう。クリスさん、僕は大丈夫だから、ホノカの方に行ってあげて」
「かしこまりました。1名はドアの外に待機させますので、何事かあれば、対応いたします。では、失礼いたします」
「ありがとう」
クリスさんは、スタスタとその場から去っていく。
(クリスさんって、歩き方がどこか軍隊っぽいよな)
「カナミ、じ、じゃあ、入ってドアを閉めてくれないか」
「?、はい」
≪ガチャン≫
鉄臣君、部屋に入ると施錠する。
鉄臣君、部屋の中で不審者がいないか、ついつい警戒する。
「あ、あのさ、ドアの方を向いてくれないかな」
「あ、すみません。慣れてなくて」
(まあ、自分だけ着替えるのって、男同士でも気恥ずかしいってあるよな)
しゅるしゅると衣擦れの音がする。
着替えが終わったようだ。
コロンだろうか、かすかにいい匂いがする。
「カ、カナミ。もう大丈夫。着替え終わったから」
「は、はい」
鉄臣君、振り向いたところにジッパーをきちんと閉めたロングパーカーを着て、女性でいうところのセミロングの髪を後ろで束ねたユート君が立っていた。
胸筋が盛り上がっていた。
(白人で美形だと【かわいい】感じがするんだな。あっちは銀髪だっけ)
鉄臣君、自分でも不思議な感じだった。それでいいのか、このままBL展開か。
「じゃ、じゃあ、プールに行こうか」
「はい」
ユート君は、鉄臣君を誘うのもどこかモジモジしているような微妙な態度だった。
いかがでしたか?
ユート君、狙われています。
そのお話は、おいおい書いていきます。
次話をお待ちください。




