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部活動 5-6.6

ここまでお読みいただいてありがとうございます。


さあ、イベントが始まります。


ではでは~


「お姐さん、こんにちは」

鉄臣君、下げた頭をあげずにアヤメさんに軽い挨拶をする。

「はい、こんにちは。薫子さん、この子がかな坊さね」

「まあ、この方が・・・。鉄臣さん、初めまして、真綾ちゃんの祖母の竹腰(たけのこし)薫子(かおるこ)です」


「初めまして、薫子さ・・ま。みついしかなみです。竹腰家の皆様には、お世話になっております」

鉄臣君、竹腰さんのお祖母ちゃんに改めて挨拶をしてから、ちょっと緊張した。

薫子さんはアヤメさんと違うタイプの存在感のある人だった。

鉄臣君、薫子さんは、落ち着きがあり、包容力が半端じゃなさそうだと感じた。

竹腰家が迷ったときはアヤメさんが判断するが、盤石の基礎を固めているのが薫子さんと見えた。


「お祖母ちゃん、明日まで船にいるの?」

「ええ、そうよ。おじいさんは会合で外出してるしね。真綾ちゃんとゆっくりしてもいいかなと」

「うれしいー。たまに帰ってきても、夜には戻っちゃうから」

竹腰さんが薫子さんに甘える。


「ごめんね。おじいさんが心配するから、帰らないとね」

「お祖母ちゃんたち、仲いいもんね」


「ところで真綾ちゃん、かな坊さんはどうして頭を下げてるの?」

鉄臣君、頭を下げたままで、薫子さんの問いにニヤリと笑う竹腰さんの気配を感じた。

「うーんとね。・・・三石さんはぁ、いつも謝ったフリが上手なの」

「えーーーー。ちょ、竹腰さん、なんてこと言うんですか。ボクは、悪いと思ったら素直に謝りますよ。逆に悪いと思わなかったら、理解してもらうまで・・・」

鉄臣君、つい顔をあげて反論してしまったが、笑いを堪える竹腰さんを見て、言葉が止まる。


「信用無いなぁ。わたしだって、少しは見る目はあるもん」

「でも、婚約の件で迷惑かけたのは、許してもらえるような話じゃないし」

鉄臣君、どうしても負い目を感じてしまう。


「じゃあ、指輪買って」

「え?」

「指輪よ、ゆ、び、わ」

竹腰さんは左手の指を伸ばして見せた。

「あのー、経済的な償いは、内臓売るくらいしか方法がないんで・・・」

鉄臣君、選択肢の中で一番高額になりそうな収入の方法を回答する。


「何てこというのよ!そんな指輪は欲しくないわよ!」

怒りを露わにする竹腰さん。

「すみません」

鉄臣君、勢いに圧されしゅんとする。


「もう、じゃあ、今度買いに行くから、三石さんが選んで」

「?」

「何よ?」

「ボクが選ぶことに何か意味があるのでしょうか?」

「何言ってるの?あなたに選んでもらったら、うれ・・・」

言葉の途中で両手で口を押える竹腰さん。

目だけが周りを見回す。


「さあ、まさ坊。案内しておくれさね」

「はい、たぶん、こちらです」

堀田さんが船内案内図のコピーを持って、みんなを引率する。


「真綾ちゃん、行きましょうか」

「コクコク」

薫子さんの言葉に口を押えたまま、頷く竹腰さん。

鉄臣君、ごく自然に竹腰さんの荷物を持って、後ろからついていく。

「ふふ、真綾ちゃん。口は禍の元よ」

薫子さんは、嬉しそうに竹腰さんに話しかけていた。


 = = = = =


客室は中層階にあった。

最後部にスイートルームがあるらしく、廊下には数人のサングラスの大柄な黒服がそこかしこに立っていた。

(今日もVIPが来るんだろうな)


客室のドアには、マスキングテープが貼ってあり、名前が書いてあった。


「あれ?堀田さん、弥刀さんと竹腰さんと同室じゃないんですか?」

堀田様と書かれた部屋を見て鉄臣君少し弄るように言ってみた。

「残念だけど僕はひとりだよ」

「それは残念ですねぇ」

堀田さんは軽く受け流し、鉄臣君は諦めが悪く絡みつく。


鉄臣君、自分の名前を見つけて立ち尽くす。

<イベントディレクター 三石様>

鉄臣君、口をパクパクする。


「どうしたんだい?三石ディレクター」

鉄臣君、まさかの一人部屋だった。


「堀田さーん。なんですか、これは?」

「客室は、一人部屋が用意できたんだよ」

「そうじゃなくて、イベントディレクターって」

「あれ?おかしいね。何かの手違いだよ、きっと」


「今、三石ディレクターって言いましたよね?」

「そうかい?」

「知らない人が誤解するんでこういうのは止めてくださいよ」

「うーん、旅のしおりには、記載済みなんだけど」

「いくらリア充のイケメンでも、やって良いことと悪いことがありますよ!」


 = = = = =


鉄臣君、荷物をがらんとした部屋に置き、船内探検をしようと思った。

部屋を出たところ、生徒会メンバーがいたので、ついていくことにし、船内探検はお預け。


上層階には、屋台があった。

メニューが違う。


目の前で握ってくれる寿司の屋台、天ぷらも目の前で揚がる。

ステーキを焼く鉄板焼き、蕎麦を打つ蕎麦屋、スイーツはパティシエが一つ一つ仕上げていく。

etc.etc.

容器は安いスチロールや紙製。


なんか違う。


喪部OGOBとおそらく来賓は、談笑しながら食事をしていた。

(アヤメさんや薫子さんは、リボンを身に付けてたな)


金品のやり取りの気配はない。

「えーーっと。これ、屋台って言いますか?」

「屋台だよ。どこか違ってる?」

「なんか、ちがーう」

鉄臣君、堀田さんに問いかけ、返ってきた答えに納得できなかった。

「もう三石イベントディレクターは、厳しいのね」

やり取りを見ていた弥刀さんは、クツクツと笑っていた。


「みついし君、みんなとご飯食べようよぉ」

「あ、はい」

鉄臣君、桃園さんに誘われて、生徒会メンバーたちとお好みのメニューを選んで朝食?を食べることにした。


「食べなきゃ損だな」

鉄臣君、日ごろやむを得ず抑えていた食欲を全開にするのだった。

いかがでしたか?


鉄臣君、神輿として担がれた感充分です。


次話をお待ちください。

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