部活動 5-5.4
ここまでお読みいただいてありがとうございます。
帰宅までがバイトですw
ではでは~
いつものように鉄臣君が真ん中。
竹腰さんが鉄臣君に密着して窮屈。
「ねえねえ、お曾祖母様、今日ね、久しぶりに靴擦れしちゃった」
「ありゃー、大丈夫かい?」
「大丈夫、鉄臣さんが傷テープ持ってたから」
「へー、かな坊、準備いいね」
「た、たまたまですよ」
「お曾祖母様、鉄臣さんがね、わたしが幸せになれるように頑張るって」
「真綾・・・」
竹腰さんが鉄臣君の決意を報告するとアヤメさんが神妙な面持ちになった。
「好きな人に巡り合ったら、手伝ってくれるんだってー」
「・・・かな坊ー。よろしく頼むさね」
竹腰さんのがっかり感を露わに話すのでにアヤメさんが呆れたように鉄臣君に声をかける。
「・・・ボク、間違ってますか?」
鉄臣君、理不尽な扱いを感じて、控えめに不満を漏らす。
「間違っちゃいない、間違っちゃいないけど、はぁー」
溜息を漏らしたせいなのか、がっかりしているみたいなアヤメさんだった。
「あのレストランでご飯食べてきたよ」
「そうかい。それで電話番号を聞いてきたんだね。美味しかったかい?」
「うん。鉄臣さんも味の研究してたみたい」
「かな坊、いよいよウチの料理番になるんだね」
「バイトですからね。プロとしてなら、お金を貰えませんよ」
「じゃあ、竹腰に永久就職でどうだい?」
「アハハ、それ、どういう就職ですか。あ、あのー今日のご飯代は、バイトの天引きでお願いします」
死語なので意味が解らない鉄臣君だった。
「真綾、割り勘にしたのかい?」
「そうだ、思い出した。お曾祖母様、この男ってば、わたしの奢りじゃ食べられないって」
「ちょ、竹腰さん、誤解されるような言い方はしないでくださいよ」
「だってぇー」
「それだったら、得した分、払うってことで」
鉄臣君、奢られる立場じゃないのと誤解されるのが嫌だったので、食事代を払う理由を作った。
「なんだい?得した分って」
アヤメさんが何気なく尋ねた。
「あ、あのね、しょれは・・・」
竹腰さんが俯いてぽしょぽしょつぶやく。
「うん?真綾、なんか有ったのかい?」
曾孫の心配をするアヤメさん。
「な、何もありませんから。だよね、竹腰さん」
鉄臣君、慌てて身の潔白を主張する。
「じゃあ、どうして真綾の元気がなくなったんだい?」
「うっ、そ、それは」
鉄臣君、理由を第3者に説明するのは、恥ずかしくなった。
「かな坊、筋の通らないことは許さないからね」
アヤメさんの言葉は、いつもと違う凄みがあった。
「やましいことじゃないと思います』
鉄臣君、語尾が小声になる。
「じゃあ」
「わたし、大丈夫。あのね、・・・もう、恥ずかしいじゃない」
アヤメさんの詰問の前に竹腰さんが口を開いたが、怒られた。
「すみません」
鉄臣君、理由が理由なので謝るしかない。
「・・・言ってみな。真綾が大丈夫っていうなら、大目に見るさね。もう、昔みたいに初夜っていうのもなんだしね」
アヤメさん、ふたりの態度と話しの流れから、一線を越えたと思ったらしい。
「お、お曾祖母様! キスもまだだから!」
竹腰さんがすぐに否定した。
「・・・なんだい、そうなのかい。・・・ちょっと心配したじゃないか。で、なんなんだい?」
アヤメさんの反応は薄かった。
「鉄臣さんがね。わたしを見ながら食事をするのって得してる気分なんだって。かわいい人を見ながら食事ができる特等席って。・・・もう、恥ずかしいよぉ」
頬を隠し、クネクネ身悶える竹腰さん。
「かな坊、じゃあ、バイト代は、【真綾を見ながら食事】で充分さね」
「お姐さん、現金をお願いします。学費と生活がかかってるんです。お願いします」
鉄臣君、真顔で支払い条件の変更を告げるアヤメさんに縋りつく。
「アハハ、将来、真綾が幸せになれるように頑張ってくれるから、現金払いも仕方ないか」
鉄臣君、バイト代の支払い条件は変更されずに済んだ。
= = = = =
「ありがとうございました。明日、いつも通りで」
「ああ、頼むよ」
「リクエストありませんか?」
「そうだね。豆腐でどうだい?」
「木綿ですか?絹ですか」
「どっちでもいいよ。その辺は任せるよ」
「はい。努力します」
「じゃあ、おやすみ」
「鉄臣さん、今日はありがとね。おやすみなさい」
「はい。ごちそうさまでした。おやすみなさい」
= = = = =
「お曾祖母様、惚れさせるって難しいかな?」
「そうだね、ウチもウチの人と暮らして、【いつの間にか】だったからねぇ。正直、わからないさね」
「そうかぁ。ねえねえ、鉄臣さんから見てかわいいっていうのは、どうなのかな?」
「かな坊の好みは知らないけど、まわりの娘が基準なら真綾は大丈夫さね」
「えへへー、ちょっと安心。堀田さんと要さんって、ほんと仲がいいの。もう夫婦みたい」
「そうかい。婚約を無理にしなくて正解だったってわけだ」
「えーーーー、わたし、早く婚約したいー。指輪欲しいぃー」
「ぷっ。じゃあ、かな坊に強請ってみな」
ダダをこねる演技をする竹腰さんを見て、ふき出すアヤメさん。
「じゃあ、そうしようかな」
「かな坊、慌てるだろうね」
「たぶん。・・・でも、張本人なんだもん、いいよね」
「そうさね。遠慮はなしでいいさね」
帰路のクルマの中で、アヤメさんと竹腰さんは機嫌は良かった。
竹腰家における鉄臣君の立場は、本人の知らないところで固められていく。
いかがでしたか?
鉄臣君、傍目と違って精神的には追いつめられています。
次話をお待ちください。




