部活動 5-4.8
ここまでお読みいただいてありがとうございます。
先日、初めての評価をつけていただいてありがとうございます。
ストーカーの正体がわかります。
ではでは~
楠木さんにつきまとっていた男は<藤岡健太>。
相談しに行った警察署の警務科の現職警官だった。
楠木さんの登下校を見かけることがあり、一目で気に入った。
最初は、遠くから眺めるだけで満足していたが、我慢ができなくなりストーカー行為に及んだ。
その彼女が、ストーカー被害の相談に来た。
もう彼女を眺められない。
うっかり同僚に見つかると出世どころじゃない。
かといって彼女を忘れられそうもない。
彼女に想いを告げて、断られたら、署内に知れる前に殺そうと考えた。
定時まで勤務した後、近所のホームセンターで制服に似たシャツや道具を揃えて犯行に及んだ。
単独犯ということで、桃園家が処理をした。
<藤岡健太>は、翌日、無断欠席で上司が部屋を訪問してみると不在だった。
帰宅しないので事件性があるとして捜査になったが、足取りがつかめなかった。
捜査は続く。
<藤岡健太>の警察手帳と制帽が宅配便で警察署に届いた。
それらは鑑識に回されたが、手掛かりは得られなかった。
= = = = =
「鉄臣クン。どうして帰っちゃったの?」
≪ごめん、ビビっちゃって≫
「クリスさんはそんな風に言わなかったけど」
≪嘘じゃないから≫
「お礼もしたかったのに。ほのかちゃんもいるから、夕飯一緒に食べようかと思ったし」
≪じゃあ、ボクはいないほうがいいと思うよ。男だし≫
「また、そんな風に言う。鉄臣クンは、とく・・・特に味見役だから」
楠木さんは、正面に座る桃園さんをちらりと見た。
桃園さんの表情は張り付いたように動かなかった。
≪じゃあ、切るね≫
「え?あ、うん。おやすみ・・かな?」
≪うん、おやすみなさい≫
楠木さんはスマホの画面を見ていた。
顔をあげると親友に尋ねた。
「ほのかちゃん、鉄臣クンと何かあったの?」
彼女の瞳から雫が零れた。
楠木さんは、言葉が続かないことを切望した。
今の自分は、何も考えられないと思ったから。
代わりに親友を抱きしめた。
彼女が小さく震えているのに気が付いた。
「大丈夫、きっと大丈夫だよ」
何も知らないが、今言えることをつぶやいていた。
= = = = =
鉄臣君、寮の自室に戻ってきた。
スタンガンを初めて人に向けて使った。
「よく効いたなぁ」
あっさりとした感想しか出てこなかった。
楠木さんを害そうとした男だし、可能ならあのまま殺してもよかったと思った。
「死体の処理が、俺じゃ無理なんだよなぁ。せめて、クルマがあれば」
運転ができても免許がない。
これも困りごと。
「ご飯作って、今日は寝よ」
鉄臣君、この件に関しては、考えるのやめた。
= = = = =
冷蔵庫のあまりもので、具だくさんの煮込みスープを作って食べていたら、メールが届いた。
<喪部、夏イベント決定。日程は・・・>
堀田さんからのメールだった。
お盆前の土日に泊まり込みで海に行く。
土曜日の夜に花火大会があるので見ようと書いてあった。
集合場所は、学園の駐車場。
水着、着替え、寝具持参となっていた。
(寝具持参?寝袋を実家から送ってもらえばいいか。海辺のキャンプ場・・・プライベートビーチだな。もう、大概じゃ驚かないよ)
「土日かぁ。・・・お姐さんのバイト、丸美さんのバイトも休ませてもらわないとダメか!? 食費はどうするんだろ」
メールが届いた。
<喪部の部活だから、バイトはお休みでいいさね>
(お姐さん、情報速い!)
またメールが届いた。
<先輩、丸美の家庭教師、ボクんちでいいです>
(勝手に決めちゃだめだよ)
またメール。
<前略 音奈です。先輩へ。部活だし、バイトは気にしないでください。別の日でも構いません 草々>
(丸美さんのメールの文面って、大人しめで丁寧なんだ)
メールが届いた。
<鉄臣さん。水着、買いに行くけど、荷物持ちのバイトに来ませんか?>
(竹腰さんかな?これは今返事だな)
<材料の買い出しのついでなら、バイト代はいりません>
即答のようなタイミングで電話が掛かる。
「はい」
≪もう、水着を買いに行くんだから、ほかに何かないの?≫
「うーん、堀田さんの好みとか」
≪どうして堀田さんが出てくるのよ!≫
「え?」
≪あ・・・いいの、いいの。じゃあ、明日ね≫
「え?あー、はい、わかりました」
≪やっぱり、用事とかあった?大丈夫?≫
「いえ、予定は開けておきますけど、誘うんだったら堀田さんの方がいいんじゃないかなって思って」
≪いいの、鉄臣さんは気を回さなくていいから!≫
鉄臣君、竹腰さんの語気が強く聞こえた。
「すみません」
≪謝らないでよ。鉄臣さんは悪くないんだし。じゃあ、水着選んでねおやすみ ツーツー≫
「あ、切られた? 最後の水着がどうとかって聞こえなかったんだけど」
= = = = =
スマホを置く。
「ふー、言っちゃった」
枕を抱えて、顔を埋める。
「キャー、水着よ水着。どうしよう、かわいいの残ってるかなぁ。・・・男子が好きそうなのがいいよね。もう買ってるけど、やっぱりね、せっかくなんだし。山荘に行ってない分を取り戻さないとね」
枕に抱き着いて身悶えする乙女は、明日を心待ちにしていた。
いかがでしたか?
夏イベントが見えてきました。
中身は、喪部ならではにします。
次話をお待ちください。




