2章ー2(高遠真紀の想い)
「だって あなたは わたしに下心があって
昼間 助けてくれた訳じゃないんでしょう?
今までの男子って 下心ばかりで
わたしの本当の気持ちを 知ってくれないんで
すもの。」
と 高遠真紀は そう言って
自分の思いを 語り出した。
「わたしに釣り合う人だなんて 空野くんは
言うけど あなたのような いかにも
平凡が歩いてますっていう風で 見た目は
パッとしないけど やるときは
やるって言うか 多分あなた自身も
自分の中にある 強い正義感を
わかってないというか あなたって
本当は 自分でも思ってもないほど
すごい人間なのよ」
と 言って一回 間を取ってから
続けたのだった。
「わたしも いきなりあなたを好きに
なったとは 思ってない。
だけど多分 付き合ってくれたなら
あなたの内にある すごい力を引き出せると
思うし その力を見てみたいの」
「そしてそのとき わたしはあなたを
本気で愛していると思うわ。
だから本気で 付き合いたいと思うし
本気でわたしと 付き合って欲しいの。
お願いどうしても あなたじゃないと
ダメなの」
と 強く言い放って こう続けた。
「そういう訳だから わたしとお付き合い
しましょ 空野くん。
それとも女の子に 恥をかかせるつもり?」
と 高遠真紀は 己の中にある思いを
空野陽こと 僕に一気に言い放ったのだった。
空野陽こと僕は かなり圧倒されてしまって
いたが 彼女の想いは 言いたいことは
なんとなくわかったので 彼女の気持ちに
答えてもいいんだろうかと 思いつつも
さすがに女の子に 恥をかかせるつもりは
なかったので こう言うことにした。
「わかった。言いたいことはわかった。
こんな僕でも良かったら 付き合おう。
でも今まで 一度も付き合ったことは
ないから 高遠さんの思っているほどの
人間だとは 思えないけど。
それでもいいかな」
そう言ったとたん 高遠真紀はいきなり
近寄って腕を組んで 少し小さめな声で
「それでもいいの。あなたじゃないと
ダメなの」
と 耳もとで言われて これにはさすがに
僕は反射的に 腕を振りほどいて
「わかった わかったから高遠さん」
と 言っていたのだった。
そして ちょっとというか かなり
恥ずかしかったから
「ま まだ腕を組むのとかは
早いんじゃないかなぁ」
と 動揺を隠せずに その後に ごめんと
僕は言ったのだった。
「もちろん付き合うから」
とも言うことにした。
少し落ちつきを取り戻すことに 成功したときに
もしかして これは大変なことなんじゃないかな?
しまった この高校の男子生徒を敵に回してしまった。ほぼ全ての男子生徒をだ。
それは ちょっと困るというか 女子と
付き合うには そんな困難をも乗り越えないと
いけないということかと 自分自身に
言い聞かせる自分がいた。