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有閑マダム達のグループに放り投げられた俺、致命傷を負う

作者: are2019
掲載日:2026/04/23

前作と続いていますが、読まなくても大丈夫です。

なんでこんな事に…


 ブランド物の服に身を包み、上品そうな奥様方からジロジロ見られている。

俺の側を通った奥様にはびくぅ!と怯えられてしまった。すいません…

胃が痛ぁい…


分かっている。


今、俺は有閑マダム改め有閑ママパパ会にまた来ていた。

 朝は完璧だった。前回、鯛はメデタイと書かれたネタTシャツを着てしまった反省を活かし、息子には有閑ママ会の奥様から頂いたお下がりの服を。俺はワイシャツを着てきた。何も描かれていない。会で浮かない。バッチリ!

新生児の娘と妻を家に置いて、1時間も早く集合場所付近に息子と到着。適当に時間を潰して10分前に集合場所へ行こうと思っていた。


SNSを見るまでは…


お気に入りの作家さんが付近で出店しており、尚且つ新作まで出していたのだ!これは行きたい、いや、行かねば!と行ってしまったのが駄目だった。可愛いよねダイオウグソクムシ。

そう、ダイオウグソクムシである。

ダンゴムシみたいな見た目の、ビッグな海洋系生物である。

それのリアルな革鞄が売っていた。とても出来が良かった。買いたくて妻に相談したら「最近頑張ってるからいいよ」とお返事が貰えた。凄いハイテンションだった。息子になんで僕に買うの?って言われて、違う。お前のじゃない。僕の!で喧嘩になりかけたが、小さいグソクムシもいますよ!とポーチサイズグソクムシを買う事で息子は満足してくれた。

そう、そして今、俺の体の前面を半分以上覆っている革鞄の正体がそれである。

つまりでっけぇダンゴムシを身体に貼り付けた中年のオッサンが高級住宅街のお家で開催されている有閑マダム会改め有閑ママパパ会に爆誕したのである。


…めっちゃ浮いていた。

当たり前だけどめっちゃ会で浮いていた。鯛はメデタイ以上!である。

俺、やっちゃいましたね…。

ダイオウグソクムシ君をそっと俺の横に置いた。置いても存在感はとても大きくて流石ダイオウグソクムシ君だった。可愛いね。そして俺はドリンクを頂いて壁になった。

俺は壁のシミ。シミです。どうぞ奥様方!楽しくお話ししててください!

 息子はポーチサイズのダイオウグソクムシ君を持って遊んで行った。虫好きの子供たちには大人気だった。

俺もあの中に入りたいな…入ろうかな〜

なーんて遠い目をしていたら、1人の奥様が目についた。このままお高いレストランに行けそうな奥様方の中で1人だけ、エスニック調の様な変わった服を来た奥様がいた。雰囲気もぽわんぽわんしていてちょっと浮世離れしていた。

話を聞いていたら今回有閑ママ会に初めてお呼ばれした岸田さんというらしい。

会で浮いている人間が1人じゃなくてちょっと慰められた。まぁ、あの奥様もお金持ちなんだろうなぁ〜

なんてのんびり壁になって話を聞いていたら

鞄自慢が始まっていた。

「その鞄!新作じゃないですか!」

「そーなのよ、素敵でしょう?30万したの〜夫が買ってくれて」

「素敵〜」

キャッキャッと話が盛り上がっている所でぽやんとした岸田さんがコチラを見た。その瞬間、目が見開かれた。

「あ〜〜〜ダイオウグソクムシ!!!可愛い〜!!!あっ触ってもいいですか?!」

さっきまで話を大人しく聞いていたのに目をキラキラさせて岸田さんが突進してくる。

いきなり話しかけられた俺はキョドった。

「ど、どうぞ〜」

「え〜鞄なんですね、凄い!リアル〜!!!」

えーと岸田さん?みんなブランド自慢してたんだからブランド物の鞄の話をしよう?

「これいくらだったんですか〜?」

岸田ァアア!!!聞くなぁあああ!!!

しかし、気の弱い俺はうっかり正直に話してしまった

「さ、35万です…」

カーーーーッと顔に熱が集まる。なんか恥ずかしい!!!買った事に後悔はないけどロッカーに入れときゃ良かった!!!

なんか30万の鞄の奥様から『え?それが?』みたいな凄い顔で見られてるんだけど!!!俺は壁です!壁に話しかけないでぇ!

「あら〜そんなカバンに35万だなんて。清水さんたらお金持ちねぇ」

30万円のカバンの奥様が嫌味を言ってくる。ここは逆らわない逆らわない!

「ははは〜いや、うちなんて車もない貧乏ですよ〜」「あら、うちは3台…」



「運転手がいらっしゃるんでしょう?」



…。一瞬で場が静まった。

みんな発言した岸田さんを見つめる。

岸田さんは不思議そうな顔をした。

その顔を見て、この場にいる皆は理解した。あ、素で言ってるこの人。

「…いや〜高い買物でしたね。妻に理解があって助かりました〜」

はははーと固まった空気をなんとか流そうと適当に口を開いた。

そこでまた岸田さんがパンッと手を叩いて発言した

「高い買物といえば気になってたんですよ!川浦さんのネックレス、1000万円するやつですよね!」

ザワッと奥様方が一斉に川浦さんを見る

川浦さんはアワアワしていた。奥様方の中でも地味な装いをしていた人で、さっきから頷くだけで全然喋っていなかった。

装飾品もネックレスしかない。可愛らしい小さいネックレスだ。

30万円奥様が凄い目で川浦さん見ていた。なんかまた胃が痛くなってきた…。自慢している人がいたら自慢させてあげようよぉ。その方が平和じゃぁん。

「えーーーっ、川浦さんそんなに高いの付けてたの!?」

「は、はい。よく分かりましたね岸田さん」

「そういうの好きで詳しいんですよね〜」

カーーーッと顔を赤くした川浦さんを囲んでみんなキャイキャイしだす。

皆が注目してこちらを見なくなった頃合いをうかがっていたのだろう。

タイミング良く主催者の奥様である藤原さんが近寄ってきた。

「…先生、ちょっとあちらへ…」

耳元で呟かれる奥様の艶のある小声

ピキィ!と身体が固まった

シチュエーション的には昼ドラ展開のお誘いだが絶対違う

ギギギッと音を立てそうな感じで首を回して藤原さんを見た。顔は引きつっている自覚がある。

藤原さんはもじもじしていた。

「ご迷惑だと理解はしているんですけど…どうしても我慢できなくて…。ね?お願いします」

セリフだけ切り取ると凄い誤解されそうですね!周りの奥様方に気が付かれるとヤバイので可及的速やかに俺は藤原さんについていった。

「あの、これなんですけど…」

ゴフッ。それを見た瞬間。俺は心の中で吐血した。


広い廊下で二人っきりになると藤原さんは薄くてキラキラした本を俺に差し出した。つまり同人誌。同人誌である!大学生時代に友達に請われて描いた同人誌!つまり!俺は!昔の未熟なヘタクソな自分の絵を見せられている!!!


実は俺の職業は漫画家である。現在は何も連載していないが、若い頃は原作付きで作画していた。エロは金になったので特にいっぱい描いた。

ペンネームを変え、最近まで連載していた少年漫画で検索しても、昔のエロ漫画がヒットしてしまうので、奥様方には言わないようにしていたのだが、藤原さん、ちょっと描いた絵でごぼう抜きという、エロ時代のペンネームを当ててきてしまった。

漫画家殺すにゃナイフはいらぬ。昔の漫画持ってこい。誰が言ったんだっけ…。

プロになる前の作品なんて目に毒も毒である。というか良く持ってましたね???当時100部くらいしか刷ってなくてほとんどはけたって聞いたけどォ。エェ…捨ててぇ…。いやうちにもあるけどォ。押し入れの奥の奥にしまい込んで。一応思い出の品だし?

しかもこの同人誌、中身が男同士のチョメチョメする奴のエロ同人誌である…。依頼してきた奴が当時食べるのも苦労した俺にいい金額で頼んできたんだよなぁ〜。

「あの、ご迷惑なのは分かっているんですけど、サインください!」

うん十年前の自分の作品をこんなに綺麗に保管していてくれていたのである。嬉しいは嬉しい。

真っ白になりながら「あ、ハァイ」と頷いた。

ササッと書いてペンを藤原さんに返した時だ。

「藤原さーーーん!これなんですけど」

岸田さんの声が聞こえてきた。

藤原さんはサッとペンを隠し、本を袋に直ぐ仕舞おうとーーー

「えっ、凄い!君と俺の3日間じゃないですか!稀少本!」

岸田ァァアアアアアアアア!!!!!!チラッと見ただけでなんで分かるんだよ!!!!!

さてはネックレスもチラッと見ただけで1000万円って看破したな!!!?

「すごーい、えっ見てもいいですか?というか清水さんと藤原さんって、ごぼう抜き先生のファンなんですか?絵が綺麗ですよね!」

ピキッと藤原さんと俺は固まった。

キラキラした目で岸田さんが見てくる。



「…………ハイ」



俺は自身が砂になっていく気がした。





息子よ…男同士のエロも描く漫画家のファンのおっさんと、男同士のエロも描く漫画家のおっさん、どっちがマシかな???

最後までお読み頂き有難う御座いました。


適当に楽しく書いたので満足です。

https://ncode.syosetu.com/n4254lw/

前作がこちらになります。宜しければ宜しくお願い致します。

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― 新着の感想 ―
続きが供給されるのを超待っている _( ˙꒳˙ _ )_
岸田さん、鑑定持ちですか? www
岸田さん…どんな方面であれ価値あるものを見出せるすばらしい目をお持ちでw でも、でも、あらあらうふふなお茶会で好奇心旺盛なマダム達の興味を引く発言はやめてあげてww 藤原さん…ファンだったんでしょう…
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