第44話 救国の女神はザイコンの助けを借りて魔物を退けた。
「まずはタミラーシ様を取り戻します」と言って前に出たメーライトに、クアマダは「まずっ!」と言って距離をとって、「最強の矛は無いけど盾ならあるよ」と言ってタミラーシを見せる。
だが、メーライトは止まらずに「やると思いました。アルーナさん!」と声をかけると、光と共に「あいよ!キチンと呼んだな神様!」と言いながら、クアマダの後ろに現れたアルーナが「そのボンボンはこっちに渡せゴルァ!」と言いながら斬りかかる。
アルーナの声に、クアマダが必死に振り返り回避を取る。
アルーナにあわせて、「アナーシャさん!アーセスさん!」と指示を出しながら斬りかかるメーライト。
更に回避するクアマダの左腕をコレでもかと射抜いたのはアナーシャで、手から落ちたタミラーシをアーセスが土の精霊を使って保護をして戻る。
アルーナとメーライトを前にタミラーシを守る姿にクアマダは「おやおやおや。必死だね。それにたくさんの使徒だね。こっちに戦力を割いてアルデバイトは無事かなぁ?」と言ってメーライトを挑発する。
正直今もアルティやアーセワの目で見えている景色はコレでもかと魔物がアルデバイトを目指している。
あのアルティが肩で息をしていて余裕がない。
「あはは。ジリ貧だよねー。魔物ってどうして生まれると思う?世界の汚れなんだよ。今アルデバイトの土地は、人や魔物の血とかで汚れてるから、倒しても蘇るんだよね!それで僕の指示で野良にならずにアルデバイトを狙ってる。わかりやすいよねぇ」
「口ばっかりですね。魔物は3体倒して1体蘇る感じですよね。それならいつかは終わります」
「いつかはねぇ…。それまで国がもつの?」
「待たせません!アルーナさん!アナーシャさん!戻り次第最大攻撃!アーセスさんは土を綺麗にして!」
クアマダが挑発するように「戻せるの?ここはナイヤルトコだよ?アルデバイトは遠いよ?」と言うと、メーライトは「戻せます。さっきは気付かなかったけど、向こうには私の身体があります!行ってアルーナさん!アナーシャさん!アーセスさん!お願い!」と言って3人の使徒を消して、アルデバイトへと戻す。
3人の使徒は、アルデバイトに戻ると同時に、「月の戦乙女の本気だコノヤロウ!テンペスト・レイ!」、「一撃で殺せなくても!万本矢!」、「土の精霊、大地の浄化に力を貸して!」と言って行動を起こす。
クアマダも悪魔の力で見ているのか感嘆の声を上げる。
「ほほう。よくやるね。まあリミッターとフィルター付きの使徒達なら可能かな?第二段階のフィルターのみの子を酷使させると、君と身体のズレが酷くなる。そして今の君はリミッターとフィルターもない使徒の身体。確実に人に戻れなくなる」
「それはもう気にしていません!あなたを倒します!その身体に棲みつくなら、やりようはあります【切除】」
メーライトの切除の光を見て、「まずっ」と呟くクアマダを見て、メーライトは勝利を確信したが、クアマダはニヤリと笑うと、次の瞬間にはザイコンが左腕でクアマダを押し退けて、自身が切除の光を浴びてしまう。
切除されて出血の酷いザイコンを見て、クアマダは「うわぁ。魔物限定のジェノサイドアーツだ。すげぇや」と言いながら笑うと「女神、気は済んだ?」と聞いた。
「何を!?」
「まだまだ欺いてる途中だったんだよね。聞く?」
メーライトの動きが止まると、ゴゴゴゴ…と地響きの音がした。
「等価交換」
クアマダがそう呟くと「対価」「生贄」と続けて呟いて「あはは」と高笑いを始めた。
「この音…」
「魔界の扉が開きまーす!あははははは!」
愕然とするメーライトに、「命は等しいって知らないかな?それで、この世界に生きている命が減ったんだ、その数だけ魔界から魔物が来ても良くなるんだよね。人が死ねばその分もっと魔物が呼べるから、どんどん魔物の世界にするぞー」と言って小躍りするクアマダの後ろには大きな穴が開き、そこから禍々しい空気が流れてきた。
「魔物達が来るというなら!地表に出る前に!私が全て倒します!」
「あはは。そんな事しても無駄無駄。ダンジョンコアの力を使ってもやり切れないよー。君は詰んだんだよ。僕を殺しても世界は変わらない。世界の破滅は変わらない。君は誰も救えなかったのさ。僕は殺されても勝ち逃げって奴だね」
クアマダの高笑いに、メーライトは必死に思案を繰り返すが、何を考えても打開策がない。
アジマーやアーセスの力で、物理的に穴を塞いでも意味がないだろう。アルーナやアルティを置いて、魔物狩りをするのも限界が来る。
最適解が出なかったメーライトは、「それでも、最後までここで魔物を狩ります」と言って立ち上がり、剣を構えた。
その時、左腕を抑えながら蹲っていたザイコンが「生きる意味が見つかった」と呟くと、一気に前に出た。
メーライトの左肩からダンジョンコアを奪い取り、「俺は生きる」と言い左腕にダンジョンコアを埋め込んでそのまま止まらずに前に出ると、クアマダの首に右腕を絡めて走り続ける。
驚くクアマダを見たザイコンは、嬉しそうに「魔物が一つ減ったら、俺の意思で動けるようになったぞ」と言って穴にクアマダを引き摺り込む。
状況が理解できずに「何を!?」と言うクアマダを無視したザイコンは、「女神!俺はここに俺というダンジョンを作る!そして魔物共を魔界から現世に通さない、必死確実のダンジョンになる!その間に人々や生き物を産み増やし!この世界に魔物が入り込む余地を全て潰してしまえ!」と言うと、クアマダに向かって「勝ち逃げ?やらせるかよ」と呟く。
禍々しい光と共に大穴は一瞬で塞がり、強烈なプレッシャーを放つダンジョンへと変貌をした。




