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救国の女神は本の続きを書く。  作者: さんまぐ
救国の女神が最後の使徒を喚ぶまで。

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第39話 救国の女神は自分の意思で戦場に向かう。

アーセワとアーシルがいればどんな食材もご馳走に変わる。


子供達も老人達もお腹いっぱいになった所で、メーライトはタミラーシに、「ザイコンさんは…、今どこですか?」と聞く。


タミラーシは辛そうな顔で「すでにお分かりかと思いますが、儀式の完遂の為にアルデバイトに行っています」と答える。


「断る事はできないのですね」

「ええ、埋め込まれた魔物の部分が、融合の手袋を持つ、叔父上の支配から逃れられません」


ザイコンの姿を思い浮かべながら、「その中で、最大限の努力をしてくださった」と言葉を発すると、「はい。メーライト嬢に、儀式を理解していただき、協力を仰ぐと曲解する事で諸々を可能にしています」とタミラーシが答える。


だからアルデバイトの城からメーライトを連れてこられたし、時間稼ぎも出来ていた。


「アルデバイトの地が無傷だったのは…」

「巨大な餌場と罠、ザイコンはそう思い込む事で…」

「アルデバイトの人達が帰って来れる場所を作り、そこから逃さずに…」

「はい。アルデバイトを戦場にして儀式を完遂する目的です」


これにはアノーレが「はぁ!?ここからアルデバイトなんて遠すぎるって!アルティだけじゃダメじゃん!」と慌てたが、メーライトは余裕の表情で「それも見越したから平気だよ、アノーレさん」と言う。


メーライトが席を立つと、「タミラーシ様、皇帝陛下には、私なりの方法で人々を救いますとお伝えください」と言い、メーライトは立ったままのアイを見て「同化」と呟くと、アイの目が開き、「うん。成功した。アーセワさん、アノーレさん、アーシルさん、これで私も戦えるからね」とアイが言う。

その声と口調はメーライトで、「え?」「神様?」「え?」と驚く。


アイがメーライトの顔で微笑むと、「うん。このアイは人造人間で、心が死んでしまってたの。だから私がこの子の心になって皆と戦うの」と説明をする。


「はぁぁぁ?危ないって!」

「平気だよ。この子の身体は強いんだよ。ね?アーテル?」

「そうだよアイの身体は強いよ」


アノーレがメーライトを見て、「神様?なんかこっちの神様はボーッとしてるけど?」と聞く。確かにメーライトは前後不覚に近い感じでフラフラとしている。メーライトは驚くこともなく「うん。アイと同化してる時は、食事とか寝る事とか、トイレとかは全部そっちの私がやる感じなんだ」と説明をした。


アーシルがアイとメーライトを見ながら「それでどうやってアルデバイトに帰るの?帰れるの?」と聞くと、メーライトは説明が足りないまま「そうだよアーシルさん」と答えると、「アーテル、私の身体を抱っこしてね。まだ私はこの身体に慣れてないから慣らさないといけないの」と言う。


アーテルは笑顔で、「わかったよアイ。この神様もアイによく似てて可愛いね。守るよ」と言うと、手慣れた感じでメーライトの身体を抱き、メーライトがようやく「アイとアーテルには司書様が飛行能力をくださっていたから、飛んでいけるの」と説明をする。


「…まあそれなら良いけど」と言ったアノーレが「神様、シムホノンの最後の手紙を読んでおくれよ」と言った。


忘れてたメーライトが身体の持つ手紙を手に取って最後の一枚を見た。


[メーライト様、私の予想では、メーライト様は最強の白い神子にお名前と人生を授けて、足りない心を、黒い神子で補ったのではないでしょうか?この者なら体内の宝具がどんな状況にも対応できます。そのお力でどうぞ人々をお救いください]


シムホノンと話した時の喜びを思い出したメーライトが「ふふ」と笑うと、アノーレが興味深そうに「なんだって?」と質問をする。


アノーレに向かって「司書様はアイだけだと思っていたみたい」と言ったメーライトがアーテルを見て「アーテルも居るから皆を助けられるはず。私、頑張ります」と誰に言うでもなく言った。



メーライトはアイの姿のままタミラーシに挨拶をした。


「それではタミラーシ様、私はこの儀式に介入して、私なりの最良を求めて参ります」

「ご武運を、メーライト嬢」


アーセワ達を消して、一度は振り返ったメーライトだったが、「あ、忘れてた。この身体に付与した能力、試すようでごめんなさい」と、突然タミラーシに言うと、「【切除】」と続けて光の帯でタミラーシを撫でる。


ブンコー達は驚いたが、撫でた光の先には黒いモヤがいた。

モヤを見てメーライトが「多分成功した感じです」と言う。


「メーライト嬢?」

「悪い部分だけを切り離して、光で追い出してみました。きっとタミラーシ様のお身体は、少しだけお元気になられたと思います」


何のこともなく話すメーライトだったが、タミラーシは確かに重く辛くない身体に驚いて、目を丸くしてメーライトを見る。


「うまく行ってたら嬉しいです。できたらビエンテ様の説得をお願いします」

メーライトはアーテルと扉を開けると「飛ぶよお姉ちゃん」と言う。


「ふふ。お姉ちゃんって呼んでくれた。嬉しい」と言ってアーテルが飛ぶと、メーライトもアイの身体に指示を出して飛ぶ。


メーライトの設定付けが上手いのは、荒唐無稽な事柄でも「こんな動きをしてほしい」と願うとアイの身体が補正してくれるようにしていた。


これにより動けていた。


「それでは!」と言ってメーライトは天高く飛んで行った。

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