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救国の女神は本の続きを書く。  作者: さんまぐ
救国の女神が追いやられた土地を開放するまで。

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第20話 救国の女神はアーセスを喚ぶ。

メーライトはシムホノンとの会話なんかを思い出しながら泣いていた。


だが、目に光は残っていて、救済のペンを持つと「アーセワさん、アルーナさん、アノーレさん、アナーシャさん、アーシルさん、アジマーさん、来て」と使徒達を喚び、現れた使徒達に「皆、私も頑張るから助けて」と言う。


「お任せください」

「おうよ!次は負けねえよ!」

「やるよ!」

「当然。任せて」

「うん。勿論だよ!」

「任せなさい」


ベッドに座りながら使徒達を喚ぶメーライトの姿は、陽の光もあり神話の一幕に見えてしまう。


感涙する老騎士と老神官を追い出したアーセワが、「ではまず、お着替えをしましょう」と声をかける。


「あ、寝間着だ」

「ずっと着てたからね。馴染んじゃってわからないよね。オムツも取らないと」

「え!?お…オムツ?」


メーライトは手を下腹部に持っていくと数秒して真っ赤になる。


アルーナが「ずっと寝てたんだから仕方ないだろ?馬車の中でもオムツだよ」と言って笑うと、アーシルが「年頃の女の子にはキツいよねぇ」と言って軽口を叩いた。


メーライトは身支度を済ませると、食事を摂りながらシムホノンが用意してくれた本と手紙を見る。


手紙には追いやられた土地の由来、魔物が跋扈していたアルデバイトの土地、魔物を全て追いやられた土地の奥に追いやる事でアルデバイト自体は平和になったが、代わりに追いやられた土地は危険地帯だという事。

その為に、冬までの間にヤヅマーミ砦から近い魔物の巣を破壊しておく事、後はカオデロスと共に失った医師や生産職の代わりを使徒で補う必要がある事が丁寧に書かれていた。


メーライトの説明に、アーセワは「確かに、では魔物の群れが来る前に街を作る必要がありますね」と言う。


「ナイヤルトコが攻め込んでこないのなら、拠点作りだな」

「長い目で見て最後に勝つ。これだかんね神様」


メーライトは改めてシムホノンを凄いと思った。

世界にはたくさんの物語が溢れていて、メーライトが喚べる本の選定なんかでもキチンとされていて、メーライトの直感を邪魔しないように、それでいて必要な職業を喚べるだけの紹介文も欠かさない。


メーライトは医師、薬師、コック、大工、農夫、畜産職人などを次々に喚びだし、不足してしまった人員達を埋めていくが、それでも1人にのしかかる負担は物凄いもので、難民の中から経験者を募ったとしても、ヤヅマーミ砦にいるアルデバイト人全てを助けるには無理がある。



だがそれすらシムホノンは予測していた。


[メーライト様、人不足を埋められる使徒様をこちらの本なら御呼びする事が可能です。この物語は世界の為に命を捧げようとした姉妹の物語。メーライト様なら今のアルデバイトの為に相応しい方を正しくお呼びできます。よろしくお願いします]



【精霊王の娘達】

人間や魔物が戦いで汚した世界。

神が遣わした精霊を見られる人の姿をした人ならざるもの、その男は精霊の力を借りる事ができる為に精霊王と呼ばれるようになる。

精霊王は人間の娘達との間にたくさんの娘を授かった。

それは使命と目的があったからこそだった。


精霊王は人ならざる者ながら人と何も変わらない。

定命の存在で、世界を浄化し続ける為にも後継者が必要で、沢山の子供達を迎え育てていく。


物語はワースとワーターという双子の娘が2人の力を合わせれば、なんとか父親である精霊王と同じだけの力を発揮する事が出来た事で最悪の筋道へと進む。


精霊王が死を恐れてこの世の決まりすら破壊してしまおうと、不死を手に入れようとしてしまう。


世界が復旧困難な所まで破壊されてしまい、どうする事もできない中、ワースとワーターは世界と同化する事で世界を復元し、他の姉妹達が世界中に散っていく、そんな終わりを迎えた。



「うん。わかる。わかります、司書様。私はアーセスさんに来てもらう」


メーライトは救済のペンを走らせる。

土の精霊達との親和性は精霊王に匹敵したが、それだけだと言われ、最後は活火山が噴火しないように火山島に旅だったアーセス。

確かにアーセスの得意な力は、土の精霊を用いた事だったが、アーセスは父親と同じように全ての精霊と心を通じ合わせていた。

火山島の噴火を無事に納めたアーセスは、島民から感謝を告げられて幸せな生涯を過ごす。



書き上げたメーライトは「アーセスさん。来てください」と言う。


喚ばれたアーセスは、小麦色の肌で現れると「寒っ」と言ってから、「神様、喚んでくれてありがと。全部わかってる。私にお任せさ」と言うと、「火の精霊、冬が来る前にここを少しでも暖かくしよう。土の精霊、本領発揮するよ。土壌をよくして野菜を育てやすくして、後はとっておき。土人間!」と言って外に100人の土人間を生み出す。


「神様、これだよね?人足ならこの子達もやれる。大工と組めば家だってすぐさ。まずは木こりかね?」

「うん!ありがとうアーセスさん!」


3日の時間をかけてシムホノンが用意した本から、必要な使徒達を全て呼び出したメーライトは、老神官から一度国王陛下との謁見を頼まれていた。


それはアーセワが「神様はお疲れで、感情が乱れる場合がありますので、日を改めてください」と止めて翌日になった。


翌朝、朝食を食べたメーライトの元に、アノーレとアーセワがやってくると、「神様、アジマーとアーセスに仮設の家を造らせる。アーシルとアナーシャで警戒。私達とアルーナと神様で謁見ね」、「神様、感情を乱しますと、我々が暴走してしまい、家作りなんかが台無しになります。生産職の使徒達も感情を乱してしまうとよろしくないので、私達もお供しますし、神様の心が乱されないようにします。後、アーセスの能力ですが、低く伝えるようにしますので、口裏合わせをお願いします」と話し始めた。


「アーセワさん?なんで?アーセスさんは凄い方ですよ?」

「神様…100人の土人間が、この先200、300って増え続けたら、人間の奴らは何にもしなくなるから、出せるのは100人、戦闘にしてもそんなにやれないって事にしたいんだよ」

「アノーレの言う通りです。ただでさえここの人間は、神様に依存を始めています。過小報告は必要な事です」


メーライトはそういうものなのかと思いながら頷いていた。

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