エピソード6:操作の基礎(
五年と一ヶ月。
火の魔法に、挑戦し始めた。
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「炎を作るには、どうすればいい?」
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考える。
火とは、何なのか。
熱と光。
燃焼。
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「イメージが、大事なのか」
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手のひらに魔力を集める。
そして、火をイメージする。
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赤い炎。
熱い。
揺らめく。
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全てを、頭の中で描く。
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魔力を、そのイメージに沿って成形する。
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だが――。
何も起きなかった。
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光るだけ。
炎には、ならない。
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「……ダメか」
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五年と三ヶ月。
何度も試したが、炎にならない。
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「イメージだけじゃ、足りないのか」
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考える。
何が足りないんだ?
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「形、か?」
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ただイメージするだけじゃなく、魔力で形を作る。
炎の形を。
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「やってみよう」
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手のひらに魔力を集める。
そして、炎の形をイメージする。
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揺らめく炎。
細かく、具体的に。
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魔力を、その形に成形する。
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難しい。
すぐに崩れる。
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だが、諦めない。
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五年と六ヶ月。
何百回と試した。
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失敗の連続。
だが、少しずつコツを掴んできた。
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イメージと形。
両方を、同時に維持する。
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「もう少しだ……」
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そして、ある日――。
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手のひらから、小さな炎が灯った。
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「……出た!」
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マッチの火ほど。
小さいが、確かに炎だ。
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魔力で作った、本物の炎。
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「やった……!」
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初めての魔法。
五年半かかった。
長かった。
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だが、ついに成功した。
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「これが、魔法か」
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五年と九ヶ月。
火の魔法を、練習し続けた。
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最初は数秒で消えた。
だが、徐々に長く維持できるようになってきた。
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今は、一分以上維持できる。
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「慣れてきたな」
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大きさも、調整できるようになった。
小さく、マッチの火ほど。
大きく、拳ほど。
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「コントロールできてきた」
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六年目。
無人島に来て、六年が経った。
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火の魔法を、マスターした。
次は、水だ。
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「水の魔法も、覚えよう」
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火と同じように、イメージする。
透明で、冷たい水。
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だが、水は火よりも難しい。
形が、定まらない。
流れる。
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「難しいな……」
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六年と三ヶ月。
何度も試して、ようやく水滴が一つ出た。
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ほんの少しだが、水だ。
魔力で作った、水。
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「できた」
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六年と六ヶ月。
水の魔法も、マスターした。
手のひらいっぱいの水が、出せる。
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「これで、川に行かなくても水が飲める」
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便利だ。
本当に、便利だ。
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七年目。
次は、風の魔法だ。
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風は、空気の流れ。
目に見えない。
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「どうやって作るんだ?」
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考える。
魔力で、空気を動かす。
渦を作る。
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「回転、か」
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魔力を、渦巻き状に動かす。
回転させる。
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すると――。
微かに、風が吹いた。
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「成功だ」
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七年と三ヶ月。
風の魔法も、マスターした。
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火、水、風。
三つの属性を、使えるようになった。
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「順調だな」
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七年と六ヶ月。
次は、土の魔法だ。
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地面を動かす。
だが、重い。
簡単には動かない。
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「小さな石だけを、動かそう」
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小石を、魔力で浮かせる。
少しずつ、持ち上げる。
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「できた」
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七年と九ヶ月。
最後は、雷の魔法だ。
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電気を作る。
魔力同士を、こすり合わせる。
摩擦で、電気を発生させる。
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パチッ。
小さな火花が散った。
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「成功だ」
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八年目。
無人島に来て、八年が経った。
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五つの属性を、全て習得した。
火、水、風、土、雷。
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「基礎は、固まった」
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だが、まだまだだ。
威力も、小さい。
制御も、粗い。
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「これから、本格的な修行だ」
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次は、精密制御。
魔力を、もっと細かく操る。
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「限界まで、極めてやる」
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