エピソード5:魔力の発見
三年と一ヶ月。
体の中の温かい塊。
それが、魔力だと分かった。
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「どうやって、使うんだ?」
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知識がない。
誰も教えてくれない。
自分で、見つけるしかない。
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「まずは、よく観察しよう」
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毎朝、瞑想することにした。
目を閉じて、座る。
呼吸に集中する。
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そして、体の中を探る。
魔力を、感じ取る。
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丹田に、温かい塊がある。
それが、魔力の核だ。
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「ここから、何か出ているな」
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細い糸のようなものが、全身に伸びている。
魔力の通り道、か。
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全身を、張り巡らされている。
血管のように。
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「これが、魔力の流れか」
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三年と三ヶ月。
毎日、観察を続けた。
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魔力の流れが、だんだん見えるようになってきた。
どう流れているのか。
どこが太くて、どこが細いのか。
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「理解が、深まってきた」
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だが、まだ使えない。
観察するだけで、操作はできない。
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「どうすれば、動かせるんだ?」
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三年と六ヶ月。
魔力を動かす練習を始めた。
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意識を集中する。
魔力核の魔力を、動かそうとする。
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動け。
動け。
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だが、動かない。
びくともしない。
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「……難しいな」
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何度も試す。
だが、全く動かない。
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「やり方が、間違ってるのか?」
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三年と九ヶ月。
ある日、ふと思いついた。
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「力で押すんじゃなく、引っ張ってみるか」
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魔力を、押すのではなく引く。
優しく、そっと。
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すると――。
微かに、動いた。
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「……動いた?」
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本当に微かだが、確かに動いた。
魔力が、少しだけ動いた。
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「これだ……!」
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嬉しかった。
本当に、嬉しかった。
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三年九ヶ月かけて、ついに魔力を動かせた。
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「やっと、スタートラインに立てた」
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四年目。
無人島に来て、四年が経った。
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魔力を、少しずつ動かせるようになった。
最初は微かだったが、徐々に大きく動かせるようになってきた。
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丹田から、肩まで。
肩から、腕まで。
腕から、手のひらまで。
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「少しずつ、届く範囲が広がってる」
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四年と三ヶ月。
ついに、手のひらまで魔力を流せるようになった。
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手のひらが、温かくなる。
魔力が、満ちている。
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「ここまで来た」
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だが、まだ外には出せない。
体の中で動かすことはできても、外に出すことはできない。
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「これが、最大の壁か」
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四年と六ヶ月。
外に出す練習を、毎日続けた。
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手のひらに魔力を集める。
そして、外に押し出す。
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だが、出ない。
何かが、邪魔をしている。
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「体の表面に、バリアがあるのか?」
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それを、突破しないといけない。
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「もっと強く、押し出してみるか」
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力を込めて、外に押し出す。
強く、強く。
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すると――。
微かに、手のひらが光った。
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「……出た?」
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ほんの一瞬だが、確かに光った。
魔力が、外に漏れた。
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「やった……!」
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四年と九ヶ月。
魔力を外に出す練習を、続けた。
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最初は一瞬だけだった。
だが、徐々に長く出せるようになってきた。
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今は、数秒間光らせることができる。
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「安定してきた」
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五年目。
無人島に来て、五年が経った。
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魔力を外に出せるようになった。
手のひらから、光が漏れる。
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「これが、魔法への第一歩だ」
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だが、まだ光るだけだ。
炎にも、水にもならない。
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「次は、属性をつける」
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火、水、風、土、雷。
どれでもいい。
まずは、一つ使えるようになろう。
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「火から、始めるか」
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新しい挑戦が、始まる。
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