エピソード13:貴族とのトラブル
# 第3章:冒険者始動編
## エピソード13:貴族とのトラブル
---
Aランクになって、三日後。
シオンに、異変が起きた。
---
宿から、追い出された。
---
「どういうことだ?」
シオンが、宿の主人に聞く。
---
「すまない……」
主人が、申し訳なさそうに言う。
---
「お前には、もう部屋を貸せない」
---
「なぜだ」
---
「貴族様からの、命令だ」
主人が、小声で言う。
---
「ヴァレンタイン子爵様が……」
---
「あの男か」
シオンが、理解する。
---
「他の宿も、同じだ」
主人が、付け加える。
---
「どこも、お前を泊めない」
---
「そうか」
---
シオンは、宿を出た。
---
他の宿に行くが、全て断られる。
---
「貴族様の命令で……」
「申し訳ない……」
---
どこも、同じ答え。
---
「締め出しか」
シオンが、呟く。
---
商店も、同じだった。
---
「物を売れません」
「すまない」
---
食料も、買えない。
装備も、買えない。
---
「徹底してるな」
---
シオンは、仕方なく野宿することにした。
---
都市の外。
森の中。
---
焚き火を起こす。
---
「久しぶりだな、野宿」
---
シロが、隣にいる。
---
「キュー」
---
「お前がいるから、寂しくないな」
---
夜。
シオンは、焚き火のそばで休んでいた。
---
だが――。
---
魔力感知が、反応した。
---
「……来たな」
---
シオンが、目を開ける。
---
周囲に、複数の気配。
五つ。
---
「暗殺者、か」
---
シオンが、立ち上がる。
---
影から、人が現れる。
---
全身黒装束。
顔を隠している。
---
五人の暗殺者。
---
「シオン、だな」
一人が、低い声で言う。
---
「そうだ」
---
「依頼で来た」
暗殺者が、短剣を抜く。
---
「悪く思うな」
---
「ヴァレンタインの依頼か」
シオンが、聞く。
---
「……」
暗殺者は、答えない。
---
だが、肯定と同じだ。
---
「やめておけ」
シオンが、警告する。
---
「お前たちでは、勝てない」
---
「舐めるな」
暗殺者が、怒る。
---
「俺たちは、Bランクだ」
「対個人戦では、Aランクにも勝てる」
---
「そうか」
シオンが、構える。
---
「では、やるか」
---
暗殺者たちが、動く。
---
速い。
一瞬で、シオンの周りを囲む。
---
そして、一斉に攻撃。
---
短剣が、シオンに向かう。
---
だが――。
---
シオンが、手を上げる。
---
風魔法。
---
強風が、暗殺者たちを吹き飛ばす。
---
「ぐわっ!」
---
暗殺者たちが、後ろに飛ばされる。
---
「次は、これだ」
シオンが、手を握る。
---
火球が、五つ出現する。
---
それぞれの暗殺者に向かって、飛ぶ。
---
「くそ!」
暗殺者たちが、避ける。
---
だが、火球が追尾する。
---
ドン、ドン、ドン。
爆発。
---
暗殺者たちが、吹き飛ぶ。
---
「ぐああ!」
---
「まだだ」
シオンが、続ける。
---
水魔法。
---
水の鞭が、暗殺者たちを縛る。
---
「動けない……!」
---
「そして、これだ」
シオンが、手を握る。
---
雷魔法。
---
水の鞭を通して、雷が流れる。
---
バチバチバチ。
---
「ぎゃああああ!」
暗殺者たちが、痙攣する。
---
水を解除する。
---
暗殺者たちが、地面に倒れる。
ボロボロだ。
---
「最後だ」
シオンが、重力を使う。
---
暗殺者たちが、地面に押さえつけられる。
---
「う、うう……」
---
シオンが、近づく。
---
「ヴァレンタインに、伝えろ」
冷たく言う。
---
「俺に、二度と関わるな」
---
「さもないと、次は命はない」
---
「わ、分かった……」
暗殺者のリーダーが、震える声で言う。
---
「もう、あんたには関わらない……」
「絶対に……」
---
暗殺者たちが、完全に怯えている。
---
対個人戦のプロである自分たちが、一方的にやられた。
しかも、複数の魔法を自在に使いこなされた。
---
「化け物だ……」
---
シオンが、重力を解除する。
---
「行け」
---
暗殺者たちが、逃げる。
這うようにして。
---
シオンは、焚き火に戻る。
---
「これで、伝わるだろう」
---
シロが、鳴く。
---
「キュー」
---
「ああ。もう大丈夫だ」
---
翌日。
貴族街では、噂になっていた。
---
「あの暗殺者たちが、ボロボロで戻ってきたらしい」
「シオンという冒険者に、一瞬でやられたって」
「あの暗殺者たちが、ここまで怯えるとは……」
---
ヴァレンタインは、青ざめていた。
---
「化け物……」
暗殺者の報告を聞いて、震える。
---
「もう、関わらない方がいい……」
---
だが、すでに遅かった。
---




