エピソード3:住居と食料
二週目。
ちゃんとした家を作ることにした。
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岩の間では、限界がある。
雨が降れば濡れる。
寒い夜は、耐えられない。
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「家を作ろう」
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前世で見た、サバイバル番組を思い出す。
木の枝を組んで、葉っぱで覆う。
それだけの、簡単な小屋。
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だが、それでも家は家だ。
ないよりは、遥かにマシだ。
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「材料を集めよう」
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森に入って、太い枝を探す。
柱になりそうな、真っ直ぐな枝。
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何本も集めて、拠点まで運ぶ。
重い。
汗が、滲む。
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次に、細い枝を集める。
横に渡す用だ。
これも、たくさん必要だ。
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そして、大きな葉っぱ。
屋根を覆うための、葉っぱ。
何十枚も集めた。
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「さて、組み立てるか」
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太い枝を、地面に立てる。
四本。
四隅に、一本ずつ。
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だが、すぐに倒れる。
安定しない。
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「地面に、埋めないとダメか」
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石で穴を掘る。
手が、痛くなる。
だが、諦めない。
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穴に枝を埋めて、土をかける。
固める。
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これで、倒れなくなった。
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「次は、屋根だ」
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柱の上に、横の枝を渡す。
蔓で、縛る。
しっかりと。
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骨組みができた。
家っぽくなってきた。
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「あとは、屋根と壁だ」
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葉っぱを、骨組みに乗せていく。
何枚も、何枚も。
重ねて、重ねて。
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一日がかりで、完成した。
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小さな小屋。
一人で入るのが、やっとの広さ。
天井も、低い。
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だが、自分で作った家だ。
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「……できた」
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感慨深い。
前世では、家なんて作ったことがなかった。
誰かが作った、既製品に住んでいた。
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だが、これは違う。
自分で、一から作った。
自分の手で。
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「俺の家だ」
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中に入ってみる。
暗いが、温かい。
風も、入ってこない。
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「いいじゃないか」
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その夜、初めて家の中で寝た。
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以前よりも、遥かに快適だ。
安心できる。
守られている、という感覚。
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「やっぱり、家は大事だな」
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三週目。
食料の確保を、安定させることにした。
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魚だけでは、栄養が偏る。
肉も、欲しい。
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「狩りを、始めるか」
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森を歩いて、動物を探す。
ウサギのような、小さな生き物を見つけた。
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「あれを、狩ればいい」
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だが、どうやって?
槍で突く、か。
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そっと、近づく。
音を立てずに。
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だが、すぐに気づかれる。
逃げられる。
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「難しいな……」
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何度も挑戦するが、失敗ばかり。
動物は、警戒心が強い。
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四週目。
ようやく、一匹捕まえた。
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槍を投げて、命中した。
ウサギが、倒れた。
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「やった……!」
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初めての狩り。
成功した。
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だが、複雑な気持ちだ。
命を奪った。
自分の手で。
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「……ごめん」
ウサギに、そう言った。
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だが、生きるためだ。
俺も、生きなければならない。
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「ありがとう」
感謝の言葉を、告げた。
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家に戻って、解体する。
やり方は、分からない。
だが、やるしかない。
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手が、血で染まる。
気持ち悪い。
だが、目を背けずに、続ける。
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肉を、火で焼く。
じゅうじゅうと、音を立てる。
いい匂いがする。
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一口、食べる。
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「……美味い」
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魚とは、全然違う。
肉の味がする。
力が、湧いてくる。
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「これだ」
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一ヶ月。
無人島に来て、一ヶ月が経った。
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振り返ってみる。
最初は、何もできなかった。
水を探すのも、必死だった。
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だが、今は違う。
家がある。
食料も、確保できる。
火も使える。
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「生き延びられる」
確信が、強くなった。
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まだ不安定だ。
狩りは、難しい。
失敗することも、多い。
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だが、確実に前進している。
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「このまま、続けよう」
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五十年。
まだまだ、長い。
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だが、焦らない。
一歩ずつ、確実に。
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「生き延びて、強くなる」
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それが、俺の目標だ。




