エピソード11:昇格試験(前編)
ダンジョンの入口。
シオンが、戻ってきた。
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試験官が、驚く。
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「もう、戻ったのか!?」
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「ああ」
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「まだ、半日しか経っていないぞ」
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「三十階層まで、行った」
シオンが、答える。
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「ボスも、倒した」
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「……本当か」
試験官が、信じられない様子。
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「証拠は?」
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シオンが、ボスの牙を出す。
大きな牙。
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「これだ」
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「……確かに、ボスの牙だ」
試験官が、確認する。
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「信じられん」
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「他の受験者は?」
シオンが、聞く。
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「まだ、誰も戻っていない」
試験官が、答える。
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「そうか」
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「お前、化け物か」
試験官が、呆れる。
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「半日で三十階層とか、聞いたことがない」
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「そうなのか」
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「ああ。普通は、三日かかる」
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「なるほど」
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その日の夜。
バルトが、戻ってきた。
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疲労困憊の様子。
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「やっと、二十階層だ……」
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翌日。
他の受験者が、続々と戻ってくる。
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だが、三十階層まで到達したのは――。
シオンだけだった。
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「全員、失格だ」
試験官が、宣言する。
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「三十階層に到達したのは、シオンのみ」
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「よって、シオンのみ合格とする」
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受験者たちが、ざわつく。
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「マジかよ」
「一人だけかよ」
「シオン、すごすぎる」
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バルトが、シオンに話しかけてくる。
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「おめでとう、シオン」
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「ありがとう」
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「お前、本当に化け物だな」
バルトが、笑う。
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「半日で三十階層とか、異常だぞ」
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「そうか」
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「俺も、いつかAランクになりたい」
バルトが、決意する。
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「お前を見て、やる気が出たよ」
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「頑張れ」
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ギルドに戻ると、大騒ぎになった。
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「シオンが、合格した!」
「しかも、半日で!」
「信じられない」
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ダリウスが、シオンを呼ぶ。
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「おめでとう、シオン」
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「ありがとうございます」
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「お前は、今日からAランクだ」
ダリウスが、新しいギルドカードを渡す。
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名前:シオン
種族:(???)長命種
ランク:A
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「Aランクか」
シオンが、カードを見る。
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「感慨深いな」
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「お前なら、当然だ」
ダリウスが、言う。
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「だが、気をつけろ」
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「何をですか?」
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「Aランクは、目立つ」
ダリウスが、警告する。
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「貴族や、権力者の目に留まる」
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「前にも、言っていましたね」
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「ああ」
ダリウスが、頷く。
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「特に、お前は若い」
「しかも、規格外の強さだ」
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「注目される、と」
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「ああ。良い意味でも、悪い意味でも」
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「気をつけます」
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「それと」
ダリウスが、付け加える。
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「明日、祝賀会がある」
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「祝賀会?」
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「ああ。Aランク昇格を祝う会だ」
ダリウスが、説明する。
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「ギルドの慣例だ」
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「分かりました」
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「貴族も、来るかもしれない」
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「……そうですか」
シオンが、少し不安になる。
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「大丈夫だ」
ダリウスが、励ます。
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「俺も、一緒だ」
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「ありがとうございます」
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その夜。
宿の部屋で、シオンは考えていた。
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「Aランクか」
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一つの、区切りだ。
ここまで来れた。
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「だが、まだ上がある」
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Sランク。
伝説の冒険者。
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「いつか、目指したいな」
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だが、今は焦らない。
一歩ずつ、進もう。
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「まずは、明日の祝賀会だ」
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シオンは、ベッドに横になる。
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シロが、隣で寝ている。
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「キュー」
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「お前も、成長したな」
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体長、八十センチ。
だいぶ大きくなった。
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「これからも、よろしくな」
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シオンは、眠りについた。
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