エピソード10:Aランク昇格申請
# 第3章:冒険者始動編
## エピソード10:Aランク昇格申請
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ダンジョンの入口。
重厚な石造りの門が開かれ、受験者たちが中へと進んでいく。
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シオンも、その列に並んでいた。
肩には、小さな魔獣シロが乗っている。
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「行くか」
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「キュー」
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中に入ると、すぐに薄暗い通路が続いていた。
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シオンは指先に魔力を集め、小さな光を生み出す。
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「これで十分だな」
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通路を抜けると、第一階層に出る。
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そこには、三匹のゴブリンが待ち構えていた。
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「来たか」
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ゴブリンが叫び、武器を振り上げる。
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だが――。
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シオンは足を止めない。
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重力魔法を発動。
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ゴブリンたちは、その場に押さえつけられ、動けなくなる。
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「無視でいいな」
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シオンは、そのまま通過した。
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第二階層。
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五匹のオークが現れる。
分厚い皮膚と、巨大な斧を持つ魔物だ。
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「少し硬いか」
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だが、問題にはならない。
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重力で押し潰し、一瞬で制圧。
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「効率重視だ」
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第三階層。
第四階層。
第五階層。
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スケルトン、コボルト、リザードマン。
次々と魔物が現れる。
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だが、全て重力と魔法で即処理。
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戦闘時間は、数秒にも満たない。
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「……遅いな」
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周囲を見回すが、他の受験者の姿はない。
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既に、大きな差がついていた。
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第十階層。
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空気が変わる。
魔力の密度が濃くなり、緊張感が増す。
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巨大なワームが地面から飛び出してきた。
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「厄介だな」
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だが、重力で拘束し、魔力弾で貫通。
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一撃で沈む。
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「この調子なら問題ない」
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第十五階層。
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ここで、ようやく他の受験者と遭遇した。
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剣士バルトが、巨大なトロールと戦っている。
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「くそ……!」
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剣を振るうが、傷は浅い。
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「手伝おうか」
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「シオン!? もう来たのか!」
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「ああ」
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シオンは即座に重力を発動。
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トロールを地面に叩きつける。
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「今だ」
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バルトが首を斬り落とす。
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「助かった……」
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「下はもっと危険だ」
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「分かってる」
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シオンは、先へ進んだ。
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二十階層。
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ワイバーンが天井から襲いかかる。
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「キュー!」
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「落ち着け」
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重力で墜落させる。
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地面に激突し、そのまま絶命。
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二十五階層。
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通路には、倒れた受験者たち。
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「大丈夫か?」
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「魔物が……強すぎて……」
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「無理はするな。戻れ」
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「ああ……」
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シオンは、静かに頷き、先へ進む。
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二十八階層。
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三匹のオーガが道を塞ぐ。
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「面倒だな」
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重力最大出力。
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三体同時に圧殺。
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「次だ」
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二十九階層。
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巨大なドラゴン亜種が咆哮する。
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「でかいな」
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圧縮火球で撃破。
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一撃。
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そして――。
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三十階層。
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最深部。
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広大な空間。
壁には無数の爪痕。
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中央に、巨大な魔獣がいた。
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黒銀の毛並み。
剣のような牙。
赤く光る瞳。
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巨大なサーベルタイガー型魔獣。
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「……ボスか」
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ガアアアアア!
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咆哮と同時に突進。
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速い。
残像すら残す速度。
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巨大な爪が振り下ろされる。
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ドンッ!
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地面が砕ける。
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「直撃すれば即死だな」
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シオンは手を上げる。
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重力、発動。
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魔獣が空中で停止。
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必死に抵抗する。
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「……根性はある」
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出力を上げる。
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地面が陥没。
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動きが止まる。
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右手に魔力を集中。
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圧縮火球、形成。
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「終わりだ」
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放たれた火球が直撃。
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ドォォォン!!
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爆発。
炎と衝撃が広がる。
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煙が晴れる。
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そこには、黒焦げの魔獣。
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完全討伐。
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「……終わったな」
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試験時間、半日。
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前例のない速さだった。
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Aランク昇格は、ほぼ確実だった。




