エピソード9:任務完了と評価
護衛任務から、二日後。
シオンの評判は、さらに高まっていた。
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「VIP商人の護衛を、一人で成功させたらしい」
「盗賊十人を、一瞬で制圧したって」
「化け物だな」
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ギルドのホールで、噂が飛び交う。
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シオンは、受付で昇格試験の手続きをしていた。
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「Aランク昇格試験は、一週間後です」
受付嬢が、説明する。
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「分かった」
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「試験は、実技試験です」
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「どんな内容だ?」
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「ダンジョンでの、魔物討伐です」
受付嬢が、答える。
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「指定された魔物を、倒してください」
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「了解した」
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「それまで、お待ちください」
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シオンは、一週間の休暇を取ることにした。
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宿で、シロと過ごす。
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「キュー」
シロが、部屋で飛び回る。
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「成長したな」
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体長が、五十センチになった。
日に日に、大きくなっている。
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「このままだと、部屋に入らなくなるな」
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シオンが、苦笑する。
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その日の午後。
クラウスが、訪ねてきた。
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「シオン様、お時間よろしいですか」
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「どうぞ」
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クラウスが、部屋に入る。
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「実は、お礼に来ました」
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「もう、十分もらっている」
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「いえ、別のお礼です」
クラウスが、小箱を出す。
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「これを」
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シオンが、開ける。
中には、指輪があった。
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「魔法の指輪です」
クラウスが、説明する。
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「空間魔法が、込められています」
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「空間魔法?」
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「ええ。小さな空間に、物を収納できます」
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「便利だな」
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「ぜひ、受け取ってください」
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「……ありがとう」
シオンが、指輪を受け取る。
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「大切に使う」
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「それと」
クラウスが、付け加える。
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「もし、また護衛が必要な時は、指名させてください」
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「いいだろう」
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「ありがとうございます」
クラウスが、頭を下げる。
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クラウスが去った後、シオンは指輪を試す。
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魔力を込めると、小さな空間が開く。
そこに、物を入れられる。
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「これは、便利だ」
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今まで持ち歩いていた荷物を、全部入れる。
金貨も、武器も、全て。
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「身軽になった」
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その夜。
ダリウスから、呼び出された。
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「シオン、来てくれたか」
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「はい」
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「お前の評判を、聞いた」
ダリウスが、言う。
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「すごいな」
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「そうでしょうか」
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「謙遜するな」
ダリウスが、笑う。
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「お前は、間違いなくAランクの実力がある」
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「ありがとうございます」
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「だが、気をつけろ」
ダリウスが、真剣な顔になる。
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「目立ちすぎると、妬まれる」
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「分かっています」
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「特に、貴族だ」
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「貴族?」
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「ああ」
ダリウスが、説明する。
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「強い冒険者は、貴族に目をつけられる」
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「雇おうとする、のか」
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「それもある」
ダリウスが、頷く。
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「だが、中には嫉妬する者もいる」
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「なるほど」
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「もし、貴族から接触があったら、気をつけろ」
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「分かりました」
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一週間が、過ぎた。
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昇格試験の日。
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シオンは、ギルドに向かった。
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試験会場は、都市の外にあるダンジョン。
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ギルドから、馬車で向かう。
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他の受験者もいる。
五人ほど。
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全員、Bランク。
ベテランの冒険者たちだ。
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「お前が、シオンか」
一人の男が、声をかけてくる。
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「そうだ」
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「噂は聞いてる」
男が、言う。
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「すごいらしいな」
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「そうでもない」
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「謙遜するな」
男が、笑う。
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「俺はバルト。よろしくな」
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「よろしく」
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ダンジョンに、到着する。
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入口は、大きな洞窟。
暗い。
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「ここが、試験会場か」
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試験官が、説明を始める。
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「これより、Aランク昇格試験を始める」
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全員が、注目する。
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「ルールは、簡単だ」
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試験官が、続ける。
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「ダンジョンの三十階層まで、潜れ」
「そして、ボスを倒せ」
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「三十階層……」
受験者たちが、ざわつく。
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「制限時間は、三日だ」
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「分かった」
シオンが、頷く。
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「では、始めろ」
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試験が、開始された。
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