エピソード8:護衛任務中
# 第3章:冒険者始動編
## エピソード8:護衛任務中
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三日目の昼。
馬車は、順調に進んでいた。
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シオンは、警戒を続けている。
魔力感知で、周囲を探る。
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「今のところ、問題ないな」
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クラウスが、馬車から顔を出す。
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「シオン様、お疲れ様です」
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「問題ない」
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「本当に、歩きっぱなしで大丈夫ですか?」
クラウスが、心配する。
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「三日も、休まずに」
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「慣れている」
シオンが、答える。
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「そうですか……」
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クラウスが、感心する。
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「さすが、Bランクですね」
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「ところで」
シオンが、聞く。
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「何を運んでいるんだ?」
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「宝石です」
クラウスが、答える。
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「隣国で、高く売れます」
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「高価なのか」
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「ええ。金貨千枚分です」
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「……千枚」
シオンが、驚く。
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「それは、狙われるな」
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「ええ」
クラウスが、不安そうに言う。
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「だから、護衛を雇ったんです」
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「任せてくれ」
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その時――。
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シオンの魔力感知が、反応した。
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「……来たな」
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「え?」
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「止まれ」
シオンが、命じる。
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馬車が、止まる。
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「どうしたんですか?」
クラウスが、聞く。
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「盗賊だ」
シオンが、前方を見る。
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「前方、二百メートル先に」
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「に、二百メートル!?」
クラウスが、驚く。
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「そんな遠くから、分かるんですか」
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「ああ」
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シオンが、歩き出す。
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「ここで待っていてくれ」
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「え、お一人で……?」
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「問題ない」
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シオンは、前方に向かう。
シロも、一緒に。
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森の中から、人影が現れた。
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盗賊だ。
十人ほど。
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「やっと来たか」
盗賊のリーダーらしき男が、笑う。
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「護衛は、お前一人か?」
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「そうだ」
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「舐めてるのか」
リーダーが、怒る。
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「俺たちは、十人だぞ」
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「見れば分かる」
シオンが、淡々と答える。
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「だが、問題ない」
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「ほざけ!」
リーダーが、合図する。
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盗賊たちが、一斉に襲いかかる。
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だが――。
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シオンが、手を上げる。
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重力が、発動する。
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全ての盗賊が、地面に叩きつけられた。
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「ぐわっ!」
「何だ、これは!」
「動けない!」
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盗賊たちが、うめく。
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「これで、終わりだ」
シオンが、冷たく言う。
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身体の周りに、石の礫が十個程浮かぶ
それらを銃弾のように飛ばし、
それぞれ盗賊の眉間に吸い込まれる。
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ドン、ドン、ドン。
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盗賊たちが、次々と血を流し倒れる。
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そして動かなくなる。
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「……」
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シオンが、確認する。
全員、絶命している。
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「依頼通り、討伐完了だ」
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盗賊を生かしても、また悪事を働く。
次の被害者を出すだけだ。
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「これが、正しい」
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シオンは、何も感じない。
必要な処置をしただけだ。
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馬車に戻ると、クラウスが驚いている。
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「も、もう終わったんですか!?」
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「ああ」
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「信じられない……」
クラウスが、呆然とする。
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「十人を、一瞬で」
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「問題なかった」
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「すごい……」
クラウスが、感嘆する。
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「さすが、Bランクですね」
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その後、旅は順調に進んだ。
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隣国に、到着する。
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クラウスは、商品を売る。
大成功だ。
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「ありがとうございました、シオン様」
クラウスが、深々と頭を下げる。
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「おかげで、無事に取引できました」
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「仕事だ」
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「これは、報酬です」
クラウスが、金貨の袋を渡す。
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「金貨十枚、確かに」
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シオンが、受け取る。
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「それと、これも」
クラウスが、もう一つ袋を渡す。
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「チップです」
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「金貨五枚、入っています」
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「いや、これは受け取れない」
シオンが、断る。
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「受け取ってください」
クラウスが、頼む。
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「あなたのおかげで、大成功しました」
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「……分かった」
シオンが、受け取る。
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「ありがとう」
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「こちらこそ」
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帰路も、問題なく終わった。
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都市に戻ると、ギルドに報告する。
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「護衛任務、完了しました」
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「お疲れ様でした」
受付嬢が、笑顔で言う。
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「クラウス様から、絶賛されていましたよ」
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「そうか」
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「これで、Bランク依頼を四つクリアしました」
受付嬢が、確認する。
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「Aランク昇格試験を、受けられます」
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「分かった」
シオンが、頷く。
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「申請してくれ」
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「かしこまりました」
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シオンは、Aランクへの道を歩み始めた。
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