エピソード4:パーティの誘い
ゴブリンの巣を制圧して、三日後。
シオンの評判は、さらに広まっていた。
---
「オーガに続いて、ゴブリンの巣を一人で」
「しかも、ジェネラルもいたらしいぞ、それを一瞬でだぞ」
「化け物か」
---
ギルドのホールで、噂話が絶えない。
---
シオンは、受付で報酬を受け取っていた。
---
「お疲れ様でした」
受付嬢が、笑顔で言う。
---
「金貨三枚です」
---
「ありがとう」
シオンが、受け取る。
---
「シオン様、人気ですね」
受付嬢が、小声で言う。
---
「パーティの勧誘、たくさん来ています」
---
「そうか」
---
「断り続けるんですか?」
---
「ああ」
シオンが、頷く。
---
「ソロの方が、やりやすい」
---
「そうですか……」
受付嬢が、少し残念そうにする。
---
その時、また声がかかった。
---
「シオン!」
---
振り返ると、ゴルドがいた。
前に、パーティに誘ってきた戦士だ。
---
「ゴルドか」
---
「また頼みに来た」
ゴルドが、真剣な顔で言う。
---
「俺たちのパーティに、入ってくれ」
---
「前も断ったはずだが」
---
「分かってる」
ゴルドが、頷く。
---
「だが、お前の強さが必要なんだ」
---
「なぜだ?」
---
「Aランクの依頼に、挑戦したい」
ゴルドが、説明する。
---
「だが、俺たちだけじゃ無理だ」
---
「お前が、Aランクに上がればいい」
シオンが、答える。
---
「それが、できないんだ」
ゴルドが、苦笑する。
---
「俺たちは、Bランクが限界だ」
---
「そうか」
---
「頼む」
ゴルドが、頭を下げる。
---
「一度でいい。協力してくれ」
---
シオンが、少し考える。
---
「悪いが、断る」
---
「なぜだ!」
ゴルドが、食い下がる。
---
「お前がいれば、絶対にクリアできる」
---
「それが、問題だ」
シオンが、説明する。
---
「俺がいると、お前たちは依存する」
---
「依存……?」
---
「ああ。俺に頼りきりになる」
シオンが、真剣な顔で言う。
---
「それは、成長を妨げる」
---
「……」
ゴルドが、黙る。
---
「お前たちは、自分の力で上がるべきだ」
---
「だが……」
---
「俺は、力を貸せない」
シオンが、断固として言う。
---
「すまない」
---
ゴルドが、肩を落とす。
---
「そうか……分かった」
---
ゴルドは、去っていった。
---
シオンは、少し胸が痛んだ。
---
「厳しいことを、言ったな」
---
だが、それが正しいと思う。
安易に力を貸すことは、相手のためにならない。
---
「自分で、成長してほしい」
---
その日の午後。
また別の冒険者が、声をかけてきた。
---
今度は、魔法使いの女性。
Bランクの徽章。
---
「シオン様、ですよね」
---
「そうだ」
---
「私はエリナと申します」
女性が、丁寧に自己紹介する。
---
「魔法使いです」
---
「何か?」
---
「パーティに、入っていただけませんか」
エリナが、頼む。
---
「私たちは、魔法特化のパーティです」
---
「魔法特化?」
---
「ええ。全員、魔法使いです」
エリナが、説明する。
---
「あなたも、全属性使いと聞きました」
---
「そうだが」
---
「ぜひ、一緒に」
---
「悪いが、断る」
シオンが、即答する。
---
「……なぜですか」
エリナが、悲しそうに聞く。
---
「ソロでやりたいんだ」
---
「理由を、聞いてもいいですか」
---
シオンが、少し考えて答える。
---
「力量が、合わないからだ」
---
「力量……」
---
「俺は、強すぎる」
シオンが、正直に言う。
---
「一緒にやっても、バランスが取れない」
---
「そんな……」
エリナが、ショックを受ける。
---
「すまない」
---
「いえ……」
エリナが、項垂れる。
---
「正直に言ってくれて、ありがとうございます」
---
エリナも、去っていった。
---
シオンは、ため息をつく。
---
「何人に、断ればいいんだ」
---
その夜。
宿の部屋で、シオンは考えていた。
---
「パーティ、か」
---
確かに、一人で戦うのは効率的だ。
だが、寂しくもある。
---
「五十年、一人だったからな」
---
人と一緒に、冒険したい気持ちもある。
---
「だが、今は無理だ」
---
力量差が、大きすぎる。
普通の冒険者とは、レベルが違う。
---
「Aランクになれば、変わるかもしれない」
---
Aランクの冒険者なら、もっと強い。
一緒にやれる可能性がある。
---
「まずは、Aランクを目指そう」
---
シオンは、決意を新たにした。
---
あと一つ、Bランクの依頼をクリアすれば、Aランク昇格試験を受けられる。
---
「次で、最後だ」
---
シオンは、ベッドに横になる。
---
「頑張ろう」
---




