エピソード2:オーガ討伐(後編)
シオンが、手を上げる。
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重力が、発動する。
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オーガの体が、地面に押さえつけられた。
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「ぐあっ!」
オーガが、うめく。
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動けない。
まるで、巨大な岩で押さえつけられているように。
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「何だ、これは……!」
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「重力だ」
シオンが、説明する。
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「お前を、地面に固定している」
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「く、くそ……!」
オーガが、必死に抵抗する。
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だが、動けない。
重力が、強すぎる。
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「力を、抜け」
シオンが、言う。
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「抵抗しても、無駄だ」
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「くそ……」
オーガが、諦める。
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シオンが、近づく。
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「なぜ、村を襲った」
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「……腹が減ったからだ」
オーガが、答える。
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「森の獲物が、減った」
「仕方なく、人間を襲った」
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「そうか」
シオンが、頷く。
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「だが、それは許されない」
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「分かっている……」
オーガが、目を閉じる。
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「殺せ」
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シオンが、少し考える。
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「いや」
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「……は?」
オーガが、目を開ける。
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「殺さない」
シオンが、言う。
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「なぜだ」
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「お前は、生きるために襲った」
シオンが、説明する。
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「悪意ではない」
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「それでも、人を殺した」
オーガが、反論する。
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「俺は、死ぬべきだ」
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「確かに、そうかもしれない」
シオンが、認める。
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「だが、もう一度チャンスをやる」
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「チャンス……?」
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「二度と、人を襲うな」
シオンが、真剣な顔で言う。
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「もし襲ったら、次は容赦しない」
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「……分かった」
オーガが、頷く。
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「約束する」
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シオンが、重力を解除する。
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オーガが、立ち上がる。
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「行け」
シオンが、言う。
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「森の奥に、行け」
「そこなら、獲物もいるだろう」
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「……ありがとう」
オーガが、頭を下げる。
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「命の恩人だ」
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「気にするな」
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オーガは、森の奥に消えた。
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シオンは、一人残された。
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「さて、どうする」
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依頼は、オーガの討伐だ。
だが、殺していない。
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「証拠が、必要だな」
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シオンが、考える。
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オーガの棍棒の破片を、拾う。
これが、証拠になるだろう。
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「これで、いいか」
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シオンは、都市に戻った。
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ギルドに、報告する。
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「オーガ討伐、完了しました」
シオンが、受付嬢に言う。
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「本当ですか?」
受付嬢が、驚く。
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「証拠は?」
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シオンが、棍棒の破片を出す。
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「これです」
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「オーガの棍棒……」
受付嬢が、確認する。
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「確かに、本物です」
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「では、報酬を」
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「少々お待ちください」
受付嬢が、奥に向かう。
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しばらくすると、ダリウスが出てきた。
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「シオン、本当にオーガを倒したのか」
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「はい」
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「一人で?」
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「ええ」
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「……信じられん」
ダリウスが、呆れる。
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「Bランクでも、パーティ推奨なのに」
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「問題ありませんでした」
シオンが、答える。
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「そうか」
ダリウスが、頷く。
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「では、報酬だ」
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金貨五枚を、受け取る。
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「ありがとうございます」
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「シオン」
ダリウスが、呼び止める。
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「お前、本当に強いな」
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「そうでしょうか」
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「ああ。Aランクでも、ここまで早くは倒せない」
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「そうですか」
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「気をつけろ」
ダリウスが、警告する。
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「噂が、広まるぞ」
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「分かっています」
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シオンは、ギルドを出た。
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すでに、周りの冒険者たちが噂している。
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「あいつ、オーガを一人で倒したらしいぞ」
「マジかよ」
「Bランクになったばかりなのに」
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シオンは、気にせず宿に戻る。
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部屋で、金貨を数える。
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「金貨五枚か」
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初めての、報酬だ。
自分で稼いだ、お金。
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「悪くないな」
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シオンは、窓の外を見る。
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「次の依頼も、頑張ろう」
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冒険者としての、日々が始まった。
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