エピソード1:オーガ討伐(前編)
翌朝。
シオンは、ギルドに向かった。
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初めての依頼。
オーガ討伐。
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「どんな魔物なんだろう」
シオンが、考える。
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受付で、詳細を聞く。
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「オーガ討伐の依頼ですね」
受付嬢が、資料を取り出す。
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「場所は、北の森です」
地図を広げる。
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「都市から、徒歩で三時間ほどです」
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「どんな魔物なんだ?」
シオンが、聞く。
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「体長三メートルの、巨人型魔物です」
受付嬢が、説明する。
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「怪力で、知能も低くありません」
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「危険度は?」
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「Bランクです」
受付嬢が、真剣な顔で言う。
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「単独での討伐は、推奨しません」
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「分かった」
シオンが、頷く。
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「報酬は、金貨五枚です」
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「金貨五枚……」
シオンが、驚く。
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「それだけの価値がある依頼です」
受付嬢が、説明する。
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「オーガは、村を襲います」
「放置できません」
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「なるほど」
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シオンは、北の森に向かった。
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都市を出て、街道を歩く。
緑豊かな、森の道。
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「いい天気だな」
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三時間後。
森の奥に、到着した。
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木々が、密集している。
薄暗い。
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「ここか」
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シオンは、魔力感知を使う。
周囲の魔力を、探る。
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「……いた」
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前方、二百メートル先。
強い魔力の反応。
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「あれが、オーガか」
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シオンは、そっと近づく。
音を立てずに。
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木の陰から、覗く。
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そこには――。
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巨大な人型の魔物がいた。
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体長、三メートル。
筋肉質の体。
醜悪な顔。
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「確かに、大きいな」
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オーガは、何かを食べている。
動物の死骸だ。
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「気づかれていないな」
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シオンが、考える。
どうやって、倒すか。
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「正面から行くか」
それとも、奇襲か。
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「いや、正面からいこう」
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実力を、測りたい。
このオーガが、どのくらい強いのか。
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シオンは、木の陰から出る。
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オーガが、気づく。
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「グルルル……」
低い唸り声。
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オーガが、シオンを見る。
鋭い目つき。
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「人間、か」
オーガが、喋った。
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「喋れるのか」
シオンが、驚く。
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「当然だ」
オーガが、立ち上がる。
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巨体が、シオンを見下ろす。
圧倒的な、存在感。
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「貴様、冒険者か」
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「そうだ」
シオンが、答える。
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「俺を、殺しに来たのか」
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「依頼だ」
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「くだらん」
オーガが、笑う。
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「お前程度で、俺は倒せん」
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「やってみないと、分からない」
シオンが、構える。
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「面白い」
オーガが、武器を取る。
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巨大な、棍棒。
木を削って作った、原始的な武器。
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「来い、人間」
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オーガが、構える。
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シオンも、構える。
素手で。
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「武器は、ないのか」
オーガが、首を傾げる。
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「必要ない」
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「舐めるな!」
オーガが、怒る。
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棍棒を、振り下ろす。
凄まじい速さ。
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だが――。
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シオンが、避ける。
軽く、横に。
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棍棒が、地面に叩きつけられる。
ドン、という音。
地面に、クレーターができた。
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「速いな」
シオンが、評価する。
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「まだまだ!」
オーガが、連続で攻撃する。
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振り下ろす。
横薙ぎ。
突き。
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全て、シオンは避ける。
余裕で。
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「……なぜだ」
オーガが、焦る。
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「全く、当たらん」
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「動きが、読めるからだ」
シオンが、答える。
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「くそ!」
オーガが、さらに激しく攻撃する。
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だが、全て空振り。
シオンに、一撃も当たらない。
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「そろそろ、こちらの番か」
シオンが、呟く。
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オーガが、大きく振りかぶる。
全力の一撃。
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「これで、終わりだ!」
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棍棒が、振り下ろされる。
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だが――。
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シオンが、手を上げる。
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棍棒が、止まった。
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シオンの手のひらで、受け止められている。
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「……は?」
オーガが、固まる。
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「素手で、俺の棍棒を……」
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「重力で、止めただけだ」
シオンが、淡々と答える。
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「重力……?」
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シオンが、手を握る。
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すると、棍棒が砕けた。
粉々に。
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「な、何……!」
オーガが、後ずさる。
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「お前、何者だ……」
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「ただの、冒険者だ」
シオンが、一歩前に出る。
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オーガが、恐怖する。
初めて、恐怖を感じた。
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「待て……!」
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だが、シオンは止まらない。
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次の瞬間――。
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戦いは、終わった。
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