エピソード10:登録完了
試験から、一時間後。
シオンは、ギルドマスターの部屋にいた。
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ダリウスが、書類を見ている。
試験結果の、報告書だ。
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「……信じられん」
ダリウスが、呟く。
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「魔力測定、上限突破」
「戦闘技術、Bランク試験官を一瞬で制圧」
「実技試験、的と壁を破壊」
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「規格外だ」
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シオンは、黙って座っている。
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「シオン、お前は何者だ」
ダリウスが、真剣な顔で聞く。
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「無人島で、五十年修行した者だ」
シオンが、正直に答える。
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「五十年……」
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ダリウスが、深く息を吐く。
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「普通じゃないな」
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「そう言われる」
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「初期ランクを、決めなければならない」
ダリウスが、考える。
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「本来なら、全員Fランクからスタートだ」
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「だが、お前は違う」
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「明らかに、Aランク以上の実力だ」
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「どうする?」
シオンが、聞く。
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「Bランクからスタートさせる」
ダリウスが、決断する。
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「これでも、異例だ」
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「分かった」
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「だが、条件がある」
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「条件?」
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「Bランクの依頼を、四つクリアしろ」
ダリウスが、説明する。
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「それで、Aランクに昇格させる」
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「いいだろう」
シオンが、頷く。
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「ありがとう」
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ダリウスが、ギルドカードを取り出す。
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金属製の、小さなカード。
そこに、シオンの名前が刻まれている。
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「これが、お前のギルドカードだ」
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シオンが、受け取る。
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カードには、こう書かれている。
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名前:シオン
種族:(???)長命種
ランク:B
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「Bランクか」
シオンが、カードを見る。
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「ああ。大切にしろ」
ダリウスが、言う。
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「これが、お前の身分証明だ」
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「分かった」
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「それと、忠告だ」
ダリウスが、真剣な顔で言う。
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「お前の実力を、むやみに見せるな」
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「なぜだ?」
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「妬まれる」
ダリウスが、答える。
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「強すぎる者は、敵を作る」
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「そういうものか」
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「ああ。特に、貴族や権力者には気をつけろ」
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「分かった」
シオンが、頷く。
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「ありがとう」
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「いや、いい」
ダリウスが、手を振る。
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「お前のような逸材は、大事にしたい」
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「何かあったら、相談してくれ」
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「そうする」
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シオンは、部屋を出た。
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ホールに戻ると、受付嬢が待っていた。
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「シオン様、登録完了です」
受付嬢が、笑顔で言う。
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「おめでとうございます」
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「ありがとう」
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「こちらが、初心者向けの資料です」
受付嬢が、冊子を渡す。
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「依頼の受け方、報酬の受け取り方、注意事項などが書いてあります」
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「助かる」
シオンが、受け取る。
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「何か、分からないことがあれば、いつでも聞いてください」
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「ああ」
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シオンは、依頼掲示板を見る。
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たくさんの依頼が、貼られている。
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魔物討伐。
護衛。
採集。
探索。
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「色々、あるな」
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「ええ。Bランクなら、中級の依頼が受けられます」
受付嬢が、説明する。
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「どれか、気になる依頼は?」
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シオンが、掲示板を見る。
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一つの依頼が、目に留まる。
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「オーガ討伐、か」
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「それは、難易度が高いですよ」
受付嬢が、注意する。
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「Bランクでも、パーティ推奨です」
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「そうか」
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シオンが、少し考える。
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「じゃあ、これにする」
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「本当に、大丈夫ですか?」
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「ああ」
シオンが、頷く。
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「やってみる」
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「分かりました」
受付嬢が、依頼書を取る。
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「では、受付手続きをします」
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シオンは、初めての依頼を受けた。
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新しい冒険が、始まる。
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その夜。
シオンは、宿の部屋にいた。
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窓の外を、見る。
都市の夜景。
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「ここまで来たな」
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五十年前。
無人島に、一人で降り立った。
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そこから、五十年。
ひたすら、修行した。
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そして今。
文明圏に、戻ってきた。
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「新しい人生が、始まる」
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冒険者として。
この世界で。
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「楽しみだ」
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シオンは、ギルドカードを見る。
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Bランク。
これが、スタートライン。
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「ここから、どこまで行けるか」
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シオンは、微笑んだ。
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明日から、冒険者としての日々が始まる。
どんな出会いが、待っているのか。
どんな冒険が、あるのか。
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「全部、楽しみだ」
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シオンは、ベッドに横になる。
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久しぶりの、人の世界。
久しぶりの、賑やかな街。
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「悪くないな」
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そう思いながら、眠りについた。
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無人島修行を終えた男。
規格外の強さを持つ男。
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彼の冒険は、今、始まったばかりだ。




