エピソード7:辺境都市到着
七日目。
一週間の旅が、終わろうとしていた。
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「見えてきましたよ」
バルドが、前方を指す。
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遠くに、巨大な城壁が見える。
高さ、二十メートルはある。
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「あれが、ラルスです」
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シオンが、目を細める。
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「大きいな」
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「ええ。辺境では、最大の都市です」
バルドが、誇らしげに言う。
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「人口は、十万人以上です」
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「十万……」
シオンが、驚く。
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無人島では、一人だった。
それが、十万人。
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「想像できないな」
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キャラバンが、都市に近づく。
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城壁が、どんどん大きくなる。
圧倒的な、存在感。
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「すごいな」
シオンが、感嘆する。
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「初めて見る、都市だ」
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「気に入っていただけると、嬉しいです」
バルドが、笑う。
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城門に、到着する。
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門の前には、衛兵が立っている。
重装備の、兵士たち。
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「止まれ」
衛兵が、手を上げる。
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キャラバンが、止まる。
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「入場料を、払え」
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バルドが、馬車から降りる。
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「私と商品は、商人登録があります」
バルドが、証明書を見せる。
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「よし」
衛兵が、確認する。
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「では、護衛と旅人は?」
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「護衛五名と、こちらの方です」
バルドが、シオンを指す。
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衛兵が、シオンを見る。
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「……強そうだな」
衛兵が、呟く。
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シオンの雰囲気で、分かるのだ。
ただ者ではない、と。
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「冒険者、か?」
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「まだです。これから登録します」
シオンが、答える。
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「そうか」
衛兵が、頷く。
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「入場料は、銅貨百枚だ」
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バルドが、袋を渡す。
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「護衛五名分と、シオン様の分です」
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「よし」
衛兵が、確認する。
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「通れ」
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門が、開く。
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キャラバンが、ゆっくりと中に入る。
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そして――。
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都市の光景が、広がった。
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「……すごい」
シオンが、目を見開く。
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石畳の道。
両側に並ぶ、建物。
行き交う、人々。
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活気に、満ちている。
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「これが、都市か」
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「ええ。賑やかでしょう?」
バルドが、嬉しそうに言う。
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「ああ」
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シオンは、周りを見渡す。
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色々な人がいる。
商人、冒険者、子供、老人。
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皆、生き生きとしている。
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「いいな、これ」
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五十年ぶりの、人々。
五十年ぶりの、賑わい。
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「懐かしい」
シオンが、呟く。
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キャラバンは、商業区に向かう。
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バルドの倉庫が、そこにあるのだ。
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「シオン様、ここでお別れです」
バルドが、寂しそうに言う。
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「そうか」
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「一週間、お世話になりました」
シオンが、頭を下げる。
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「いえいえ、こちらこそ」
バルドが、手を振る。
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「命を救っていただいた上に、安全に旅ができました」
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「お互い様だ」
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バルドが、袋を取り出す。
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「これは、約束の登録料です」
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シオンが、受け取る。
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「ありがとう」
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「それと、これも」
バルドが、もう一つ袋を渡す。
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「これは?」
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「当面の生活費です」
バルドが、笑う。
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「銀貨五十枚、入っています」
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「いや、これは受け取れない」
シオンが、断ろうとする。
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「受け取ってください」
バルドが、真剣な顔で言う。
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「命の恩人への、感謝の気持ちです」
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「……分かった」
シオンが、頷く。
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「ありがとう。大切に使う」
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「はい」
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ガルスが、前に出る。
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「シオン様、ギルドまで案内します」
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「頼む」
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「こちらです」
ガルスが、歩き出す。
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シオンは、バルドに手を振る。
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「また、会おう」
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「ええ、きっと」
バルドが、笑顔で手を振り返す。
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シオンとガルスは、ギルドに向かう。
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街を歩きながら、ガルスが説明する。
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「ここが、商業区です」
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「色々な店が、あるな」
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「ええ。武器屋、防具屋、道具屋、宿屋……」
ガルスが、指を差す。
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「全て、揃っています」
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「便利だな」
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「ギルドは、中央区にあります」
ガルスが、先導する。
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しばらく歩くと、大きな建物が見えてきた。
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三階建ての、立派な建物。
入口には、大きな看板。
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「冒険者ギルド」
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「あれが、ギルドか」
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「ええ。着きましたよ」
ガルスが、笑う。
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シオンが、建物を見上げる。
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「ここで、登録するんだな」
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「ええ。行きましょう」
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二人は、ギルドに入った。
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中は、広いホールになっている。
受付カウンター。
依頼掲示板。
そして、たくさんの冒険者。
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「賑やかだな」
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「ええ。いつも、こんな感じです」
ガルスが、説明する。
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「受付に、行きましょう」
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シオンは、新しい世界に、足を踏み入れた。




