エピソード5:世界の情勢
三日目。
キャラバンは、順調に進んでいた。
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シオンは、バルドから色々な話を聞いていた。
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「魔物は、どこから来るんだ?」
シオンが、聞く。
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「ダンジョンです」
バルドが、答える。
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「ダンジョン?」
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「ええ。地下に広がる、迷宮のような場所です」
バルドが、説明する。
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「そこから、魔物が湧いてきます」
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「なぜ、湧くんだ?」
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「分かりません」
バルドが、首を振る。
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「昔からそうなんです」
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「ダンジョンは、どこにでもあるのか?」
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「いえ、限られた場所にしかありません」
ガルスが、話に加わる。
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「大都市の近くには、必ずダンジョンがあります」
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「なぜだ?」
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「魔物を討伐するため、です」
ガルスが、説明する。
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「ダンジョンを放置すると、魔物が溢れます」
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「だから、冒険者が常に討伐している」
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「なるほど」
シオンが、納得する。
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「ダンジョンの中は、どうなっている?」
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「階層になっています」
ガルスが、答える。
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「深く潜るほど、魔物が強くなります」
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「何階層くらいあるんだ?」
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「ダンジョンによります」
バルドが、答える。
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「浅いところは十階層、深いところは百階層以上」
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「百階層……」
シオンが、興味を持つ。
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「深層は、誰も到達していません」
ガルスが、言う。
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「Sランクでも、無理です」
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「そんなに、危険なのか」
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「ええ。深層の魔物は、想像を絶する強さです」
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シオンが、黙って考える。
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「挑戦してみたいな」
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「え……」
ガルスが、驚く。
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「いや、無理ですよ!」
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「なぜだ?」
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「死にます!」
ガルスが、必死に止める。
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「Aランクでも、五十階層が限界です」
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「そうか」
シオンが、納得する。
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だが、挑戦する気は、消えていない。
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「他に、危険な場所はあるか?」
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「魔境、と呼ばれる場所があります」
バルドが、答える。
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「魔境?」
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「魔物が大量に棲む、森や山です」
バルドが、説明する。
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「冒険者でも、近づきません」
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「どのくらい、危険なんだ?」
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「Sランクでも、単独では無理です」
ガルスが、真剣な顔で言う。
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「なるほど」
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「シオン様、無茶はしないでくださいね」
バルドが、心配そうに言う。
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「分かっている」
シオンが、頷く。
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午後。
別の話題になる。
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「冒険者以外の職業は、あるのか?」
シオンが、聞く。
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「たくさんあります」
バルドが、答える。
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「商人、鍛冶屋、錬金術師、魔法使い……」
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「魔法使い?」
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「ええ。冒険者ではなく、研究や教育をする人たちです」
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「なるほど」
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「魔法学院という場所もあります」
バルドが、付け加える。
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「そこで、魔法を学べます」
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「俺も、行けるのか?」
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「もちろんです」
バルドが、頷く。
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「ただ、学費が高いです」
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「どのくらいだ?」
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「年間、金貨百枚です」
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「……高いのか」
シオンが、呆れる。
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「ええ。貴族の子弟が多いです」
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「そうか」
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しばらく、色々な話を聞いた。
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貨幣のこと。
貴族のこと。
王国のこと。
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シオンは、全てを真剣に聞いていた。
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「この世界、複雑だな」
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「ええ。でも、面白いでしょう?」
バルドが、笑う。
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「ああ、面白い」
シオンも、微笑む。
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夕方。
また野営地に着く。
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焚き火を囲んで、夕食を取る。
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「シオン様は、これからどうするんですか?」
ガルスが、聞く。
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「冒険者になる」
シオンが、答える。
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「その後は?」
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「分からない」
シオンが、首を振る。
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「色々、見てみたい」
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「いいですね」
ガルスが、羨ましそうに言う。
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「俺も、旅がしたい」
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「なぜ、しないんだ?」
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「お金がないんです」
ガルスが、苦笑する。
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「冒険者の収入は、そんなに良くないんです」
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「そうなのか」
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「ええ。Cランクでも、生活するので精一杯です」
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「じゃあ、Aランクは?」
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「Aランクは、裕福です」
ガルスが、答える。
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「報酬が、桁違いですから」
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「なるほど」
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「シオン様なら、すぐにAランクになれますよ」
ガルスが、確信を持って言う。
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「そうか?」
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「間違いないです」
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シオンが、少し考える。
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「Aランクか……」
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「目指してみては?」
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「そうだな」
シオンが、頷く。
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「挑戦してみるか」
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夜。
シオンは、また見張りをする。
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「あと四日で、都市に着く」
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楽しみだ。
どんな場所なのか。
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「新しい世界だ」
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シオンは、期待に胸を膨らませた。
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