エピソード15:理論の完成
四十年と一ヶ月。
最後の十年が、始まった。
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「全てを、完成させよう」
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魔力操作。
圧縮理論。
疑似重力。
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全ての理論を、一つにまとめる。
統一理論を、作る。
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「それが、目標だ」
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四十年と三ヶ月。
木の板に、全ての理論を書き出した。
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何百枚にもなった。
全てが、理論で埋め尽くされている。
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「これを、整理しよう」
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一つ一つ、見直す。
重複を削る。
矛盾を修正する。
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時間がかかる。
だが、丁寧にやる。
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「完璧に、しよう」
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四十年と六ヶ月。
理論の核心が、見えてきた。
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「全ては、魔力の粒子に帰結する」
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粒子の配置。
粒子の運動。
粒子の相互作用。
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全てが、ここから始まる。
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「粒子理論、か」
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四十一年目。
統一理論の構築を、進めた。
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魔力粒子理論。
これを、基礎とする。
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そこから、圧縮理論が導かれる。
さらに、重力理論が導かれる。
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「全てが、繋がった」
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四十一年と三ヶ月。
統一理論が、ほぼ完成した。
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「シオン式魔力統一理論、か」
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我ながら、大げさな名前だ。
だが、それにふさわしい。
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この理論があれば、全てが説明できる。
予測できる。
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「理論の完成だ」
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四十一年と六ヶ月。
理論に基づいて、新しい魔法を開発した。
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「理論魔法、か」
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今までにない、独自の魔法。
理論から導き出した、最適な魔法。
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試してみる。
魔力を、理論通りに配置する。
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すると――。
想像を超える威力が出た。
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「……すごい」
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理論の力。
経験だけでは、たどり着けなかった。
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「知識は、やはり力だ」
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四十二年目。
理論魔法を、さらに発展させた。
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複合理論魔法。
複数の理論を、組み合わせる。
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圧縮と重力。
粒子制御と空間操作。
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全てを、同時に使う。
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「最強の魔法だ」
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四十二年と三ヶ月。
ある日、試してみた。
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島の端から、海に向かって撃つ。
複合理論魔法を。
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すると――。
海が、割れた。
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「……嘘だろ」
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海面が、真っ二つに割れた。
海底が、見える。
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しばらくして、戻った。
だが、確かに割れた。
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「強すぎる……」
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四十二年と六ヶ月。
威力を、制御することにした。
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「強ければいい、ってわけじゃない」
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加減が、必要だ。
状況に応じて、使い分ける。
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「コントロールが、大事だ」
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四十三年目。
理論を、さらに洗練させた。
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無駄を削る。
効率を上げる。
美しくする。
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「理論も、芸術だ」
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四十三年と三ヶ月。
ふと、気づいた。
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体が、また変わっている。
筋肉が、さらについた。
だが、無駄がない。
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「最適化されてるな」
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川で水面を見る。
まだ若い顔。
二十代に見える。
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「実年齢は、五十八歳か」
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長命種の恩恵。
見た目は、ほとんど変わっていない。
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「不思議だな」
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四十三年と六ヶ月。
理論の記録を、整理した。
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何百枚もの木の板。
全てを、きれいに並べる。
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「これが、俺の財産だ」
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四十年かけて、構築した理論。
全てが、ここにある。
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「誇らしいな」
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四十四年目。
理論を、実践で確認した。
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予測通りに、魔法が発動する。
計算通りに、威力が出る。
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「完璧だ」
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理論に、穴がない。
全てが、整合している。
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「完成したな」
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四十四年と三ヶ月。
次の課題を、考えた。
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「応用、か」
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理論を、どう使うか。
どう活かすか。
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「実戦での、応用だ」
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四十四年と六ヶ月。
応用の訓練を、始めた。
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理論を、瞬時に計算する。
最適な魔法を、選択する。
状況に応じて、使い分ける。
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「実戦での判断力が、必要だ」
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四十五年目。
無人島に来て、四十五年が経った。
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理論を、完成させた。
応用も、マスターした。
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「あと、五年だ」
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最後の五年。
何をするべきか。
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「全てを、統合しよう」
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知識、技術、経験。
全てを、一つにまとめる。
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「それが、完成だ」
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最終段階が、始まる。
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