エピソード9:精密操作への挑戦
十三年と一ヶ月。
新しい目標を立てた。
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「魔力の粒子を、一つ一つ制御する」
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今まで見えていなかったものが、見えるようになった。
魔力は、無数の小さな粒子で構成されている。
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その一粒一粒を、制御できれば――。
可能性は、無限だ。
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「やってみよう」
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十三年と三ヶ月。
魔力の粒子を、じっくり観察した。
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目を閉じて、集中する。
魔力核の中を、見る。
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無数の粒子が、蠢いている。
光の粒のように。
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「これを、一つずつ動かすのか……」
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途方もなく、難しそうだ。
だが、挑戦する。
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一つの粒子に、意識を向ける。
動け。
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だが、動かない。
周りの粒子と、一緒に動いてしまう。
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「個別に、制御できない」
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十三年と六ヶ月。
何度も試した。
だが、一つだけ動かすことができない。
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「意識の向け方が、間違ってるのか」
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考え方を、変えてみた。
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一つの粒子を動かすのではなく、周りを固定する。
そうすれば、一つだけ動かせるはずだ。
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「やってみよう」
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周りの粒子を、意識で固定する。
動かないように、押さえつける。
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そして、中心の一つだけを動かす。
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すると――。
動いた。
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「できた……!」
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微かだが、確かに一つだけ動いた。
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「これが、粒子制御の第一歩だ」
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十四年目。
粒子制御を、練習し続けた。
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最初は一つだけだった。
だが、徐々に増やせるようになってきた。
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五つ。
十個。
百個。
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「だんだん、できるようになってきた」
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十四年と三ヶ月。
粒子レベルでの制御ができると、魔法の質が変わった。
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同じ火球でも、密度が全く違う。
圧縮とは、また別の次元だ。
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「これは、革新的だ」
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粒子を自在に配置できる。
最適な形に、組み替えられる。
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「効率が、格段に上がった」
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十四年と六ヶ月。
粒子制御を使って、新しい魔法を開発した。
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火と水を、粒子レベルで混ぜる。
相反する属性を、一つの魔法に。
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すると、蒸気が発生した。
高温の、強力な蒸気。
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「組み合わせが、できるようになった」
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火と風で、爆発。
水と土で、泥。
雷と水で、電撃の連鎖。
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「可能性が、無限に広がった」
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十四年と九ヶ月。
だが、問題も出てきた。
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粒子制御は、集中力を極限まで使う。
長時間は、維持できない。
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十分で、限界だ。
それ以上は、頭が痛くなる。
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「持続時間が、短いな」
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実戦では、使いにくい。
瞬間的な一撃には向いているが、長期戦には向かない。
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「バランスを、考えないと」
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十五年目。
無人島に来て、十五年が経った。
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粒子制御を、習得した。
だが、まだ完璧ではない。
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「持続時間を、延ばさないと」
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集中力を、鍛える。
瞑想の時間を、増やす。
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朝、三時間。
夜、三時間。
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ただ座って、何も考えない。
心を、空にする。
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「無心が、大事だ」
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十五年と三ヶ月。
瞑想の効果が、出始めた。
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集中力が、格段に上がった。
長時間、一つのことに集中できる。
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粒子制御の持続時間も、延びた。
今は、三十分維持できる。
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「だいぶ、良くなった」
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十五年と六ヶ月。
精密操作を、実戦で使ってみた。
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狩りだ。
大型の獣を、相手にする。
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粒子レベルで制御した火球を、放つ。
小さいが、密度が高い。
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獣に、命中する。
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一撃で、倒れた。
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「威力、すごいな」
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以前なら、何発も必要だった。
だが、今は一発で終わる。
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「効率的だ」
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十五年と九ヶ月。
精密操作を、完全にマスターした。
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粒子制御。
複数糸操作。
圧縮制御。
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全てを、自在に使える。
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「ここまで来たか」
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十六年目。
次の目標を、考えた。
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「限界に、挑戦しよう」
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今までは、安全圏でやってきた。
だが、これからは違う。
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崩壊する寸前まで、圧縮する。
限界まで、魔力を絞り出す。
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「危険だが、やる価値はある」
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新しい挑戦が、始まる。
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