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【完結】地上でいちばん難しいバレンタインの贈り物 〜天使が天使に恋してます!?悪魔と軍師も混ざる秘密の奇跡〜  作者: 久茉莉himari


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10/16

【10】大天使、止められない恋の予感。〜幸せな一日の終わり、軍評定が開かれる〜

そして、翌朝。


ルチアーノのヴィラで、男二人で朝食を取っていると、ルチアーノが言った。


「俺様……。

この後、アンジュちゃんとお出かけして、夕方には戻って来るから、

お前はロクシー先生とバレンタインデー当日の打ち合わせでもしてろよ」


ルシアンが、静かにイタリアンローストのコーヒーが入ったカップを置く。


「なぜ?

お前がアンジュさまと出掛けるのだ?」


そう無表情で問うルシアンに、ルチアーノがわざとらしく肩をすくめる。


「お前がアンジュちゃんの好みのものを聞き出せないから、

俺様が代わりにウィンドショッピングがてら、欲しいものを探るのッ!」


そして、髪をふわっとかき上げる。


「俺様とアンジュちゃん……

昨日のドライブをかねたお買い物で、気が合っちゃってさ☆」


すると、ルシアンが音もなく立ち上がった。


「私が、行く」


「ん?お前も行くのか?」


のんびりと訊くルチアーノに、ルシアンが静かに告げる。


「……いや。

私が車を運転し、

私とアンジュさま二人で"お出かけ"をしてくる……!」





そして、ルチアーノからの電話を受けたロクシーがスマホをテーブルに置くと、

食後のマシュマロココアを飲んでいるアンジュに言った。


「アンジュちゃん!

もうすぐバレンタインじゃない?

昨日、ルチアーノと買い物していて、

街の雰囲気を感じなかった?」


アンジュがパッと青い瞳を輝かせる。


「感じたぞ!

どこも贈り物や花の予約でいっぱいだった!」


ロクシーの目が、ほんの少し細められる。


「バレンタインって……

親しい人に……お花とプレゼント渡すからね〜。

特に最近は、お菓子とか……」


「……お菓子!

そう言えば……!たくさんあったな!」


にっこり微笑むアンジュに、ロクシーが続ける。


「それで、ルシアンがどんな物があるか、

リサーチしたいんだって。

聖バレンタインの祝日だから……」


その瞬間、アンジュの頭に神の言葉が蘇った。


――「地上にて、聖人の効力を見届けよ」


神がおっしゃっていた……!


もしや、ルシアンは神から、

「聖バレンタインの効力を見届けよ」という使命を

受けているのか……!?


私は幅広かったが、

ルシアンは"聖バレンタイン"のみの効力を……!


ならば、私はルシアンの上司、

大天使ガブリエルとして協力するのみ!


「ならば、私も行こう!

ルシアンに協力したいと伝えてくれ!」





そして、午前10時。


ヴィラの正面玄関に停められていた、

ルチアーノの深緑のフェラーリに乗って、

ルシアンとアンジュは走り去った。


車が見えなくなると、ルチアーノが小躍りする。


「ロクシー先生!

上手く行ったでありますね!

ルシアンが自分から、

アンジュちゃんと二人でショッピングに行くとは……!

しかも、自分で運転して!ラブ❤️」


ロクシーがギロリとルチアーノを睨む。

軍師の目で。


途端に、額に汗が噴き出すルチアーノ。


「ロ、ロクシー先生……?」


ロクシーが淡々と告げる。


「あんた……見てなかったの?

ルシアン、アンジュちゃんを後ろのシートに乗せたよね?

あんたとアンジュちゃんなら、それで正解。

でも、恋人なら……助手席じゃない?」


「……た、確かに!」


ルチアーノが慌てて胸ポケットからネタ帳を取り出し、

ペンを走らせる。


「それにね……。

アンジュちゃん……

ルシアンに『協力する』って言ったのよ……。

何の迷いも無く、ね。

恋してる女子じゃなかった!」


「……なんと!」


ヘナヘナと倒れようとするルチアーノの襟首を、

ロクシーが掴む。


「おじさんが乙女ぶるな!

さあ、あんたの水晶玉と、

私のカメラの映像で、

ルシアンとアンジュちゃんの行動を観察するわよ!」


ルチアーノが上ずった声を出す。


「……私のカメラ!?

ロクシー先生、俺様の車にカメラを!?」


「付けたに決まってるでしょ!

あんたがアンジュちゃんと出掛けると決まった昨日にね!

ほら、立って!」


「は、はい〜……」


そうしてロクシーを先頭に、

ルチアーノも歩き出した。





ルシアンは完璧なドライビングテクニックを駆使し、

フェラーリを運転していたが、

顔色は車と同じ――

真っ赤と真っ青を足した緑色になっていた。


この狭い空間で、アンジュと二人きり――


アンジュはルシアンに、

なぜか『聖バレンタインについて』の知識を

ずっと話し続けているが、

ルシアンはそれどころでは無かった。


いつものルシアンなら、

アンジュの話す一言一句を瞬時に記憶する。


だが、それを邪魔するのは――

アンジュから漂ってくる『香り』だった。


今まで数百年以上も気にしていなかった、

アンジュから漂う、

天界の花園に咲く花のような甘い香りが、

ルシアンの脳を直撃。


――それは、甘く、切なく、心臓まで直撃する。


そうして、ドライブ中も、それからも、

様々な直撃を浴び続けるルシアンがいた。


アンジュの素直な喜び、

発見を告げてくる美しい笑顔。


北風にたなびく金色の髪。


俯いた睫毛の先に宿る、太陽の光さえも。


二人で歩く道を、

半歩下がって歩こうとするルシアンの手を、

アンジュが引っ張る。


「それでは、バレンタインを満喫出来ないぞ!」


その白く細い指先が、

まるで重力を持つように、重い。


――大天使の自分がなぜ……?


ルシアンは、アンジュに引っ張られるまま、

アンジュの横に立つ。


そして、アンジュがにっこり笑う。


ルシアンは、

目を直撃されても、

目を瞑ることは出来なくなっていた。


――アンジュさまの笑顔を見逃したくない――


それは、

"恋は誰にも止められない"

その瞬間の始まりを、

ルシアンに確実に告げていた。





そして、二人はスマホでバレンタイン関連の写真を撮り、

ランチを共にし、

おやつのデザートも一緒に食べた。


アンジュは、ずっと楽しそうだった。


ルシアンは、

アンジュに誘われて入った花屋で、

アンジュが店員にあれこれ質問している隙に、

薔薇の花を一輪買った。


白い花弁の縁は、

薄いピンク色で縁取られている。


可憐で美しく、

まさにアンジュそのもの。


そして、金色のリボンを巻いてもらい、

そっと車に隠した。


そして、あっと言う間に夕暮れ時に。


アンジュは何の屈託も無く、

「帰りは助手席に乗っていいか?」と、

自分から言って来た。


ルシアンは何も言えず、

無言で助手席の扉を、震える手で開いた。


アンジュが、ふわりと乗り込む。


ルシアンも運転席に乗る。


ヴィラへの帰り道。


アンジュは熱心に、窓の外を見ていた。


夕陽に照らされる、

アンジュの美しい横顔も。


漂う香りも。


ルシアンに向かって流れる、金の髪も。


ルシアンを、ただ、幸せにしてくれた。





そしてヴィラに戻ると、

ロクシーとルチアーノと四人で、

ロクシーとアンジュが泊まるヴィラでディナーを取る。


アンジュは、

ロクシーやルチアーノから質問されるまでも無く、

自分から、

今日あった出来事を楽しそうに一つ一つ話していた。


その話に、

ロクシーとルチアーノも笑顔が絶えない。


ルシアンも、

いつもの無表情に、ほんの少し、

笑みが浮かんでしまう。


そして、デザートを食べると、

アンジュは「眠い」と言い出した。


目を擦るアンジュに、

「赤くなってしまいます!」と

ルシアンが寄り添い、

寝室へと連れて行く。


アンジュは寝室に入ると、振り返り言った。


「今日は楽しかったな!」


少し眠そうな、その笑顔はあどけない。


そして、静かにドアが閉まる。


ルシアンは、小さく呟く。


「私も本当に楽しかったです、アンジュさま」と。





そして、深夜二時――


ロクシーとルチアーノは、

二人でビデオ通話をしていた。


ロクシーが鋭く言った。


「ルチアーノ……

このままじゃ……

バレンタイン作戦なんて無理よ!」


ルチアーノは、

深紅のハンカチで目元を押さえる。


「俺様も……

分かっております……ッ!」


そして――

軍師ロクシーによる軍評定が始まった。

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