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アメルとラメル


顔が見えていたとしたら確実にドヤ顔になっている口ぶりでアイリスが人の脳内で騒いでいるが、嘘ではないだろう。その証拠に先ほどまでは二人の表情に色濃く出ていた怯えと警戒が、大分薄まっているようには見える。


さすがアイリス頼りになるぜと伝えると、アイリスは《でしょー》と嬉しそうな返答を返してきた後、真面目な様子に戻ってく耐えてくる。


《とりあえず、今必要な情報だけ伝えるわね》


そう前置きをしてアイリスが伝えて来たのは、彼女達がここから離れようとしない理由だった。


ここから離れて安全な所に避難する意思を伝えたところ、どうやらここに放置していくわけにはいかないものがあるらしく、それを回収するまではこの船から離れられないと返してきたらしい。逆にそれさえ回収すれば、こちらの指示に従ってくれるそうなので、そうなれば話が早い。アイリスの言葉を波多野さんに伝えて、俺達は異世界人二人(の意思を伝えてくるアイリスの言葉)に従い、墜落して傾いた状態の船の中を移動する。ただ二人は墜落の時の衝撃で重傷ではないものの怪我を負っているようなのと、墜落した船体は半ば傾いて俺のディバインアームズに乗せて移動するようにした。結界で固定してあげれば落ちる心配もないしな。


そうして移動中もアイリス経由でいくつか情報を得る。


まず二人の名前はアメルとラメルという事。顔がそっくりのためそうではないかとは思っていたけど、やはり双子らしい。二人とも中学生か小学生くらいの体躯で小柄の上痩せぎすで同じような姿だが、多少体に丸みを帯びている方のアメルが女性体で、ラメルの方は男性体らしかった。中性的な感じはあるけど見た目的には女性よりなので、言わなければ姉妹にしか見えないとは思う。


そしてアメル達はやはりあの黒い機体から逃げてきたらしい。エルバートルという滅びかけていた世界から来たらしいが……この辺りは協会の方で聞いてもらえばいいだろう。そんな話をしている間に目的の場所に到着したからだ。


そこは鋼鉄の厳重そうな扉の部屋だった。アメルが開けるから降ろしてくれと伝えて来たのでディバインアームズから降ろすと、彼女は扉の横に着いたパネルを操作する。それぞれのパネルに記載されている文字はみたことがないものなので何が書いてあるかわからないが、彼女の小さな指がパネルの上を軽やかに滑った後顔を近づけて何かを覗き込み、そうして最後に何かを呟くとゆっくりと扉が開いていった。


こちらの世界でいうパスワード方式に虹彩認証、音声認証かな? 結構がっつりとしたセキュリティをしている辺り、中には重要なものがあるであろうことは伺える。


開いた扉から中へと入るアメルとラメルに続いて中に入ると、そこは殺風景な部屋だった。窓はなく、壁には装飾品のようなものもない。左右の壁には何も置かれておらず、正面にだけ棚が並んでいる。そしてその中にいくつかの白色の金属製の箱のようなものが並んでいた。これが目的のものなのは間違いないだろう。


「この箱が、その置いていけないものかな?」


俺がそう口にした言葉をアイリスが伝えてくれたのだろう、アメルがコクリと小さく頷く。それから箱の一つを引っ張り出して床に置いた。結構重そうに見えたが、アメルの細腕で持ち上げられるなら大した重さではないのかもしれない。尤もマナの力が絡めば、外見で力なんて判別はできないのだけれど。


床に置いた箱の横にラメルが跪き側面に配置されているパネルを操作するとガチャ、という音と共に扉が開く。


箱のサイズと数を見るとここの人数だけで持ち運ぶのは一見難しそうに見えるので(実際は俺は結界を利用して運べるし、そもそもるーを連れて来れば亜空間にしまえるので問題なんだけど)、中のものだけ持って行こうということなんだろう。アイリス経由でもその意思が伝わって来たので、俺もラメルの隣に膝をつき、箱の蓋を上へと押し上げる。


──中に入っていたのは、ソフトボール位のサイズの白銀に光る立方体だった。それが規則正しく横に6個ずつ2列。12個並んでいる。


なんだろうこれは? と思いつつ俺がその中の一つに手を伸ばそうとすると、後ろから覗き込んでいた波多野さんがぼそりと口にした。


「これ、白銀の巨人を呼び出すアイテムじゃないか?」

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