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救援へ向かう

《ぴっ! だって! ぴっ! だって! 久遠可愛い!》


やかましい!


脳内で騒ぐアイリスに突っ込みを入れつつ視線を振ると、そこには眉を吊り上げたリリアンジュさんがいた。


彼女はインカムのマイクを口に近づけ、大きい声で恐らくは通信相手とのやり取りをしている。ただ概ねが頷くだけなので、具体的なやり取りは解らないけど……


とりあえず話しかけられる状況ではないので視線を穴の方へ戻すと、すでに荒木さんと東風ヶ瀬さんが戦闘を開始していた。二人は俺の結界の外に飛び出し魔術を放っている。東風ヶ瀬さんは変わらず射撃系の魔術を使い、荒木さんは鍬……は鍬なんだけど、その刃の部分に巨大な土を纏わせていた。その結果、鍬というより、彼の体より大きい大鎌のようになっている。荒木さんはそれを振り回し、黒い機体を沈めていっていた。大鎌を数度振り回すごとにガラクタとなった機体は地面へと墜落して動かなくなる。


東風ヶ瀬さんの方も同様だった。何発か魔術を叩きつける毎に、機体は墜ちていく。


──そう、()()()の後にだ。


ダンジョンのここにくるまでにかなりの数のモンスターを倒したが、ここにいるメンバーは殆ど一撃でモンスターを屠っていた。攻撃特化ではない波多野さんはともかく残りの3人はほぼ確殺だ。


だけど今二人は黒い機体を沈めるために数回攻撃を叩き込んでいる。より強力な術を使えば一撃も狙えるのかもしれないけど……今使っている力だと腕や足を吹っ飛ばすことはできても機体全体を砕くことはできていないようだ。ようするにそれなりに防御力が高いと考えられる。


そして黒い機体だが、まだまだ穴の向こうから増え続けている。


「俺達も参戦すべきか? るーの術ならあいつら切り裂けるだろ」


るーの使う攻撃である空間を断ち切る術は、いうなれば相手の防御力無視の術だ。マナを使って行う術である以上一応対抗する術はあるが、荒木さん達との戦っている姿を見ている限りはおそらく通用する。問題はコストがわりかし重い事だけど……


「くーの結界で穴塞いじゃう?」

「俺の結界は攻撃を無効化するわけじゃないからなぁ……」


房総ダンジョンで封じたポータルに比べるとサイズもでかいし、向こうから出てこようとしている状態じゃ"隠蔽"も意味がない。断続的に攻撃されたらそこまで長くは持たないだろう。多少の時間稼ぎになるだろうけど……


「何にしろ、俺達も参戦するか」


荒木さんも東風ヶ瀬さんも苦戦しているわけではないけど、次から次へと黒い機体が出てくる状態では息をつく暇がない。るーはともかく俺は火力が心許ないが、手数が増えるだけでも違うだろう。尤も俺もるーも継戦能力に難があるが、そう思って踏み出そうとした時だった。


「二人には別の仕事があるわ。中層に戻って頂戴」


後ろから声を掛けられた。リリアンジュさんの声だ。


今から中層へ? と思い、その意図を問おうと口を開こうとしたら、その前にリリアンジュさんが言葉を続ける。


「中層にもこれと同じ穴が開いたらしいわ。そしてこちら程ではないけど、やはり黒い機体が出現している……ルーティエさん、貴女下層のポータルの入り口にテレポート先を設定していたわね?」

「ん」

「そこにテレポートして二人で戻って頂戴。多分貴女達だけの方が早いでしょう?」


リリアンジュさんの言葉に、俺とるーは頷く。多分速度でいえば1級の探索者を入れても俺達はトップクラスの移動速度を出せる。そして箒にタンデムをすることは可能だけど、ソロの方がより速度を出す事が可能だ。


「中層に潜っていた後続の準一級、二級が探索に入っている。急いで向かって」

「……了解! るー、ここにテレポートのポイントを張って! 」

「ん!」


戦闘に突入しているなら、ここで詳しく話を聴いている場合じゃない。一級の中でも多分トップクラスの攻撃力を持っている荒木さんと東風ヶ瀬さんが一撃で沈められていない敵だ。準一級以下の探索者では間違いなく苦戦する。


「おっけ、張った! いこ、くー!」


るーが俺の手を握り、転移する。視界が切り替わり、目の前に出現したポータルに飛び込んだ俺達は、中層に戻ると即座にディバインアームズを大きくして跨る。


「ドローン固定する」


房総ダンジョンでやったように、結界を使ってドローンを固定する。それからディバインアームズを浮上させると、俺とるーは横に並んで一気に加速する。


そして飛行したままの状態で、俺はリリアンジュさんと通話を開く。


「詳しい情報をください。中層の何階ですか?」

『二階の荒野よ』


くそっ、地上が近いな……!


『現地に着いたら二級の撤退をフォローして。準一級はある程度戦えるでしょう。すでに負傷者もでているわ、急いで!』

「了解。そちらは?」

『少なくとも波多野さんが船の乗員と接触、救助出来るまではここに踏みとどまるわ。ただ中層の状況を見て手に余るようなら一度こちらに戻って。その時の状況によるけど私達もそちらへ向かうわ』

「了解です。そちらも状況が変わったら連絡を」


あの船の所に留まっているなら、るーの力ですぐに迎えに行けるからな。撤退もすぐに出来るし2階に戻ればすぐにあちらの面子を援軍に呼べる。あちらの4人はひとまず気にしないでいいだろう。


《リリちゃんお嬢様言葉じゃなくなってるわねぇ》


いや今その突っ込みはいいだろ! キャラを作っている余裕がなくなってるだけだろうし!


「るー、怪我人もいるらしい、急ごう!」






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