表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
38/62

魔法少女二人でダンジョンへ④


周囲に轟音と、振動が響き渡る。


その音の発生元には、たった今ガラクタと化したマンモスタンクの押しつぶされた残骸が転がっていた。


『すっごい音』

『えっぐい攻撃だな』

『これルーティエちゃん無双できるんじゃね?』

「いや、そこまで有効な攻撃じゃないぞこれ」

「ある程度天井高くないと使えないし自重があって動きがとろい奴じゃないとあまり使える攻撃じゃないからねー」


ドローン経由で映し出された光景に対して流れるコメントに突っ込んだ俺の言葉に、るーも同意して言葉を繋ぐ。


コメントにある通り、目の前の光景はるーの手によって起こされた事だった。


彼女がやった事は単純だ。出現したマンモスタンクを中層の天井ギリギリに転移させただけ。空を飛ぶ能力などもなく動きも鈍いマンモスタンクはなすすべもなく自由落下して地面に叩きつけられ、この惨状となったわけである。


ただこれ、ルーが言っている通りマンモスタンクみたいな奴相手じゃないと使えない。対象指定ではなく場所指定で転移させる技だから、動きが早いと狙いが付けずらいのよな。まぁ相手の動きを先読みすればいいんだけど……そもそもの話飛行タイプとか身軽なタイプでは殆ど意味がない。


そもそもるーのメインの攻撃方法はこんな適当なやり方じゃなくて、多分実際リスナー達が目にしたらもっとエグいと思う攻撃だ。じゃあなんでそっち使わないんだって話だけど、まぁ単純に魔力節約以外の何物でもないんだよね。


「……っと」


視界のスミ、離れた場所からこちらを狙う機体が視界に入ったので、銃口が火を噴くのと同時に結界を極小で展開して弾丸の軌道を変更させる。


「ほいっ」

「そりゃ」


次の瞬間その機体が正面に出現したので、俺はそれを間髪入れず一瞬だけ出現させた結界の刃で断ち切った。こちらの倍ほどのサイズの人型に近い機体は、左右を綺麗に断ち切られて音を立てて後方へと倒れて伏す。


『軽く倒すなぁ、そいつも中層の中ではそこそこ強いんだけど』

『なんで遠距離の狙撃を弾けるのさ』


そりゃこちとら異世界ではディバインアームズに跨って高速起動しながらシューティングゲームみたいな弾幕を躱したり弾いたりしていたんだ。それに比べたら単体の攻撃の対処なんて楽勝にも程がある。


というか、


「そもそも1級の人たちならこれくらい余裕で対処するでしょ」

『そりゃね』

『あの人たちはもう別の存在みたいなもんだしね』

『農狂とか大抵の攻撃は筋肉で弾き返すしな』


いや、筋肉じゃなくて魔力で強化した皮膚で弾き返しているだけだとは思うけど。まぁ運動エネルギーも乗るから普通の人間は正面からわざわざ受け止めようとはしないだろうけどさ。


『それと連携が綺麗すぎる。何今の』

『息ぴったりすぎひん?』

「そりゃファーマントでは7年間コンビ組んで動いてたからね」


ファーマントではオリジナルの杖の使い手はリーダー的存在であり最低限しか動くことのなかった”時間”を除いた6人は、能力の相性からそれぞれ”強化”と”創造”、"光熱"と"破砕"、そして"結界”の俺と"空間"のるーが組んで動くことが多かった。勿論大人数で動く事や単体で動く事も多かったけど。


コメントに対して答える俺の横で、るーがむふーと鼻息を荒くしてドヤ顔で口を開く。


「そうだよ、私とオリジナルの7人の中でも一番息がぴったりなんだから! 普段も一緒に過ごしてたし!」

『同棲してたって……コト?』

「まぁ……同棲っていえば、同棲?」


住居は提供されてたけど基本的にはでっかい建造物の中で個別に部屋も割り振られてたから、どちらかというと同じマンションとかの住人みたいな気がするけど……ただるーは最初まだファーマントになじんでいない俺の世話役みたいな役目もになってたから確かに当初から一緒にいたし、親しくなってからはるーが俺の部屋に入り浸ってからなぁ……


「そうだよー。同じベッドで寝たりしてたし、お風呂も一緒に入ってたりしたからもはやるーと私は一心同体!」

『一緒のベッド!?』

『お風呂も!?』

「いやまぁ風呂は大浴場だけどな? 皆で一緒に入ったりしてただけだよ」

『……つかぬ事をお伺いしますが』

「何?」

『そのお風呂に一緒に入った子達も女の子で?』

「そりゃ身の回りに居るのは皆女神の眷属だし」


そう答えたところで、コメントの流れが一度止まった。そして数秒後一気にコメントが加速する。その流れが早くて内容は読みきれないが、だいたいこんな感じだった。


『これは、セーフ? アウト?』

『トワちゃん今は可愛い女の子だけど本当は男の子なんだよね?』

『ギルティ案件では?』

『俺は百合スキーなのでセーフだなぁ』

『女の子になって異世界美少女達と一緒にお風呂とか……グギギ(血涙)』

『イチャイチャしてるところ見せてくれるなら許す!』


「いや、ファーマントにいた時俺はずっと女だったから……」


最初の頃は男としての意識が強かったからそう言う事はしなかったけど、さすがにずっと女の子しかいない中で暮らしてたんだぞ? しかも彼女達についているものは俺にもついてたわけで。半年もする頃にはそんな事はもう殆ど気にならなくなってきたわ。まぁそのころにはもうるーが距離感近くなってた事もあるけど。


だけど、そんな俺の言葉は通用しないようで、コメントの流れは収まらない。どういう嫉妬だよと思いつつ、これはしばらく放置しておいた方がいいかなと視線を動かすと、丁度視線の先にある機体が映りこんだ。


それは4本の脚を持った胴体に、人型の上半身を持つ白銀の機体。


「見つけた」


そいつの名前は”ケンタウロス"。今回の俺達のターゲットであるレア機体が、視界の彼方、遠くを駆けていた。


──それにしても、"ケンタウロス"な。足は確かに4本なんだけど、その形状も体の形も蜘蛛っぽいんだよな。これどっちかっていうと"アラクネ”の方が正しい呼び名なのでは?




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ